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3053 DB E03 002 / Ep.III [Maerklin-Lok]

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 一昨日、このブログからもリンクしているHiLoさんのブログで、1965年刊行の鉄道ファン誌が紹介され、E03 002 + A4üm(UIC-X)数両の快走するシーンの表紙が出ていました。確かに60年代の鉄道趣味誌は、我が国の鉄道も新たな車輌が次々と登場していましたが、当時の多くのファンにとってドイツの鉄道は憧れの一つだったように思います。私もこの誌面を初めて見ましたが、今なら例えばICE3が鉄道ファンの表紙を飾るようなイメージです。

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この美しいE03牽引の快走する写真を見て、思わず我が家のE03しかも表紙の写真と同じ002号機を引っぱりだしてみたくなりました。

[実車について]
E03形は、1963年にBZA Münchenから委託を受けたTU Hannover(ハノーファー工科大学)のMölbert教授による空力特性の研究によって1:20スケールモデルなどを使っての風洞実験などを経て先頭部形状などが決定されました。(造形については不明)
1964年にはHenschel社で原寸大の先頭部分のモックアップが完成、1965年2月11日に002号機が初めてE03(4両の量産先行機)としてロールアウトしました。興味深いのは、4両の量産先行機は同時進行で製造されていましたが、お披露目時に完成していたのは002号機のみでした。そこでこの002号機に001号機のプレートを付け完成セレモニーに登場しています。つまり実際は002号機なのですが、写真には001号機のプレートが付けられた姿になっています。
真実はもちろんわかりませんが、メルクリンからリリースされたモデルの車体番号がトップナンバーの001ではなく002号機というのは、敢えて最初に落成したE03の車体番号にしたのではないか..と思えてきました。

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E03を受注したSIEMENS(電装)とHenschel(躯体と機械部分)からDBに引き渡されたのは1965年2月18日に002号機が最初で、その後3月(001)、4月(004)、5月(003)と残りの3両が完成しています。最後の003号機がDBに引き渡されたその日からミュンヘンでIVA(国際交通博覧会)が開催され、そのまま会場に展示されました。そして残りの3両は、ミュンヘンとアウグスブルグ間で初めての最高速度200Km/h運転を体験できる臨時列車が運転されました。DBは恐らくIVA開催に合わせてE03のお披露目を考えていたでしょうが、この製造間もないE03機関車による200Km/h運転を一般乗客を乗せて成し遂げたのは、当時だったからできたことなのかも知れません。

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私自身は、この様子をリアルに知る世代ではありませんが、この流麗で強力な機関車を会場で見るだけでも十分なインパクトがあり、さらにアウグスブルクまでの体験乗車までできたのですから、そのインパクトは十分であったと容易に想像がつきます。

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▲ E03の3軸動輪台車

E03はミュンヘン機関区に配属となり、TEEなどの牽引に就きますが、当初は200Km/h運転可能な路線は限られていたはずで、1970年に量産型の103.1形が登場するまでは、Augsburg - München路線で4両のE03でのみ200Km/h運転ができなかったと考えられます。
E03 002は1968年のUIC番号化で103 002となり、廃車後はNeuenmarktにあるDDM(ドイツ蒸気機関車博物館)敷地に留置されていたのを見た記憶があります。現在は残念ながら公的な保存対象にはならず、譲渡先を探している状態にあるようです。

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[モデルについて]
このモデルは3053で1966年から68年に掛けてリリースされました。つまり1965年の公式デビューの翌年にはリリースされていたことになります。メルクリンは最新で最高の機関車を常にリリースする歴史があるので量産先行車であっても実車の開発時点から同時進行でモデルの開発をしていたことは頷けます。それは、その後の120形機関車でもそうですし、ICEも同様で今に至ります。

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▲ 製造メーカー銘板です。SIEMENS(電装系)とHENSCHEL(車体と機械系)の2種が記されています。

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▲ REV表記は1965年4月22日です。この日付から新製時の検査日と思われます

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▲ BD München(ミュンヘン連邦鉄道局)、Bw München Hbf(ミュンヘン中央駅機関区)の表記です。

表記の印刷については、1966年当時のメルクリンの印刷技術は模型業界でも先端を誇っていたでしょうが、このレベルで実現できるのは素晴らしいと感じます。

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ボディは樹脂製のため、細かなディテールの再現ができるようになっているのがわかります。3053は、メルクリンH0での樹脂ボディの先駆けだともいえるでしょう。屋上の配線や側面のルーバーの表現なども過不足ないディテールです。

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俯瞰した屋上部分です。オリジナルは、無塗装のパンタグラフですが、このモデルでは、前オーナーによる赤色塗装が施されています。

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ボディを外した状態で撮影した画像です。中央にムギ球が入っていて走行時に点灯します。量産型103.1形(3054)のシャシーにもこの台座はありますが、ムギ球はありません。

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モーターはLFCMです。

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逆転器は伝統的なリレーが設置されています。

このE03形モデルがリリースされていた当時の私は当時幼かったので、見る機会すらなく、もちろん今の様にインターネットもない時代ですから、欲しいと思ってはいたものの、中々それを現実のものとすることは出来ませんでした。私がドイツ留学をする際、密かに思っていたのは、機会があればメルクリンH0の01とE03モデルを手に入れることでした。
そんな気持ちを抱きながらドイツに滞在してから4〜5年経った頃でしょうか、当時私の住んでいた田舎町でもModellbahn-Börseなる中古市が開かれていて、ちょくちょく出掛けていました。そんな中、近くではありましたが更に田舎の村で行われた中古市でE03を2両発見し、比較的綺麗な姿の1台を求めました。当時としては、かなりの金額(確かDM330,-)でしたが、これで当初の目的は達成したと喜んだのも束の間。帰宅してこのモデルを再び良く眺めると何か変であることに気付きました。走らせると快調ですが、前照灯が一方向しか点灯しない。開けてみると電球自体がなかった...と、ここで気がつきました。電球のある側はカプラーがなくスカートのカプラー用の穴が埋められていたのでした。そう、きっと前のオーナーは、先頭にカプラーがあるのがイヤだったのでしょう。しかも、カプラー側のスカートは見事に下半分切り取られていました。ちょっとがっかりしましたが後の祭りです。前のオーナーはきっと実車の姿に忠実にしたかったのでしょう。パンタグラフも実車同様綺麗な赤色に塗ってあります。

上の画像はこの2台を並べたものですが、その全体的なバランスがほとんど同じなので、パッと見はあまり違いを見出せません。逆に言えば、1966年のモデルと新しいモデルとでは、さほど見た目が変わらないのですから、40年も前の旧モデルの素晴らしさが良く理解出来ます。これもアナログモデルなのですが、何時の日か(こればっかり...)デジタル化させた時は最新の282mmのUIC-X客車を牽引してあの鉄道ファンの表紙を再現してみたいと思う訳です。

参考文献:Die Baureihe 103 Christian Wolf, Christian Ernst / Eisenbahn-Kurier Verlag

[EDIT] 2020-08-03


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コメント 2

はじめまして。
最近、Movietone というサイトで DB の E03 001 を撮影した
ニュースリールを視聴する機会がありました。
音声無しで2分10秒という短いフィルムのうえ、機関車の姿自体を
撮影した部分は微々たる内容だったのですが、運転室内部が記録
されていたのは興味深いところでした。
ちなみに、このニュースの製作は1965年6月26日だそうです。
by (2006-09-19 21:40) 

Akira

コメント頂きありがとうございます。
1965年と言えば、E03がデビューした年ですね。この時IVA(international Verkehrsausstellung)という交通博覧会がミュンヘンで行われ、E03はMuenchen-Augsburgの間をデモンストレーション運行しました。もしかしたらその時の模様かも知れません。
by Akira (2006-09-19 22:08) 

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