4266 SBB Am (UIC-Z1) / Ep.V [Maerklin-Reisezugwagen]
▲ 手ブレーキ(WC/区分室)側
▲ 非手ブレーキ(廊下)側
これは、スイスSBBの1等区分室車Amモデル(4266)です。1970年代に西欧数カ国の鉄道事業体が共通の車体や台枠、台車を使って製造されたUIC-Z1 Eurofima A9形で、形状としてはDBで言えばAvmz207と同じ車体を使っています。共通とは言えSBBでは、インテリアの座席などSBBのオリジナルです。このSBBのAmについて紹介いたします。
[実車について]
製造当初は、この車輛の実車はEurofimaからの信託車輛ということで、オレンジ色に白帯(いわゆるユーロペン塗装)の統一カラーでした。しかし、DBは新製時からTEEカラーに、またSNCFは、暫くして統一色に難色を示し、結局各国オリジナルの塗装となった経緯があります。
個人的には、いくら信託車輛と言えど、各国鉄道事業者が車両運用で他の車両と一緒に組成されることが日常である以上、TEEのような国際列車としてのみ運用される特殊な事例ならばいざしらず、ヨーロッパ諸国の鉄道が統一色にする意味はあまりないだろうと思うし、色というものは地域に根付いたものであることが望ましい。太陽光の違いで色も違って見える様に、例えばイタリアとデンマークでは違ってあたりまえと思います。
そして塗り替えられた色彩がこのSBB EC塗装です。私個人は遥かにこの色の方がスイスらしく好感が持てます。また、現在でも20両程在籍しているこの区分室客車のAmは、EC列車ではTyp.EC客車の編成に1両混成されていることが多い。つまり国際列車としては、やはり区分室車も必要であるとの認識はSBBも持っていると思われます。また、別な見方をすれば、Typ.ECのApm(開放1等客車)が60名定員に対して、1等区分室車のAmはシートピッチ2,306mmのゆったりとした空間を持つ54名定員です。
現在は、残念ながらこのAmはすべて売却され、SBBには在籍していないようです。
[モデルについて]
さて、メルクリンモデルでも、もちろん他国の同形車輛同様にこのSBBモデルも4266として1990年から2000年迄11年間リリースされています。オレンジのユーロペン塗装(4267)は1990年から9年間のリリースです。
モデルを同じ塗装色のTyp.ECと外観で見分けるのは、ちょっと難しいかも知れません、まず目につく点は、窓枠がTyp.ECはゴム支持なので黒塗装ですが、これは金属枠のため銀であること。また、出入口ドア上屋根にルーバー(空気孔)がないことも見分けるポイントです。 画像は、妻車端部WC(区分室)側の側面です。
台車は、Eurofima客車のため、FIAT製のY0270 Sです。ここもTyp.ECのSIG-H1台車とは異なります。
1つちょっと気になる点がこのモデルにはあります。と言うのは、Typ.ECでは、車輌側面の「SBB CFF FFS」文字が白抜きであるのに対し、このAmは黒文字であることです。
実車の画像を見るとTyp.ECと同じく白抜き文字になっているので、もしかしたら誤りかも知れません。 この塗装色の塗り分けの試験が行われたBpm(開放形2等客車)では、モデルがメルクリンからリリースされています。その客車はやはりEurofima信託車輛(UIC-Z1)ですが、残念ながら私はこのモデルが手元になく紹介が出来ません。これは、ドイツのBpmzと同形で、同じ車体、台枠、台車、そして座席レイアウトです。メルクリンモデル(4366)は、このBpmをベースにした試験塗装車であり、左右側面の塗り分けが若干異なる1両だけの車輛をモデル化したものとなっています。
表記類です。最高制限速度は160Km/hで、航送可、多電源仕様です。車体番号は、「Am 61 85 19-70 500-7」です。
これもよく見るとTyp.ECとは大きく異なることに気づきます。というのはTyp.ECでは、車体下部にUIC車体番号等の表記が1列でレイアウトされているのに対し、このモデルは車体下部と裾部分の両方に表記がされています。さらに良くこの表記を見ると内容が重複していることに気づきます。同形客車の実車画像を見る限り、Typ.ECと同じ表記のため、このモデルの表記は誤りの可能性があります。
表記のそのものの印刷精度は良好です。この表記は車体側です。検査日は1989年5月31日です。
車体に印刷されている航送と電源の表記です。表記は滲みがあります。おそらく枠内は「e」と「1000V」「1500V」「1500V」「3000V 」の4つの電源に対応していることが理解できます。下の枠内には800Aの表記があります。
妻部正面です。妻部はすべてダークグレー1色で塗装されています。上に掲げた実車写真を見ると、ここも違うようです。また貫通扉は無塗装(モデルであればシルバー塗装)と思われます。モデルは残念ながらダークグレーで塗装されています。
実車と比較すると細かな部分で、違いが見られるAm客車モデルですが、基本的にこの塗装はスイスらしい秀逸なカラーリングであることは、この画像でも理解できます。
*この記事は、新たに画像とテキストを大幅に修正、加筆した改訂版です。
[EDIT] 2019-08-03
参考文献:SBB Reisezug- und Gepäckwagen / SBB CFF
コメント 0