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4367 SBB WRm (EW.IV) "Le Buffet Suisse" / Ep.IV [Maerklin-Reisezugwagen]

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▲ 手ブレーキ(食堂)側

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▲ 非手ブレーキ(厨房)側

今迄紹介したスイスSBBのTyp.ECモデルの6両セット(4367)同梱のEW.IV食堂車WRmのモデルです。3月に2種のEW.IV食堂車を紹介しましたが、同じEW.IVながら車体形状が少し違います。メルクリンからは、4両のみ製造された量産先行車、そしてその後の量産車の2種がリリースされています。(マクドナルド向けに製造された2両は車体構造が異なり、メルクリンからはリリースされていません。)

[実車について]
実車は1983年に4両のみ量産先行された車両です。SBBの食堂車は落成当時、SSG社によって食堂運営とサービスが行われていましたが、その後ドイツのMitropaの子会社であるMitropa Suisseに移管され、その後Elvetino社によって運営が行わました。このモデルでは、Mitropa Suisseに移管される少し前、1991年に「Le Buffet Suisse」として、Typ.ECのグレーに白帯地に紫色の大胆な塗り分けで登場しました。この量産先行食堂車は最高制限速度を200Km/hとされています。Typ.ECタイプに食堂車がないことでEW.IV食堂車をTyp.ECに合わせた塗装にしたのかも知れません。その後事業者変更に伴いMITROPAの文字が消され、再び元の塗装に変更、そしてICN塗装、更にSBB新標準色と変更されています。


[モデルについて]
メルクリンモデルでは、この量産先行タイプの食堂車を標準色の4125.1として1984年から1988年までリリース、1989年から1998年まではKKKカプラーに変わり(4217)、また画像のモデルと同じ"Le Buffet Suisse"仕様の単品(4125.10)が1993年から2000年迄リリースされました。その後Mitropa Suisse 仕様(42171)として1998年に1年限りでリリースされています。
ここで驚いたのは、前に紹介したEW.IV食堂車(WRm)の量産車モデルと同形モデル(42172)を2002年に1年限りでリリースしたことです。この時ICN塗装だったこともあり、あまり目立たずに現われたのですが、しっかりと新金型での登場でした。もちろんインテリアの仕様も正しく再現されています。(量産先行車モデルは2+1、量産車モデルは3人掛けテーブルの千鳥形配置)また、このタイプの標準色はスタートセット(29850、29851)のみでリリースされ、それは以前紹介した通りです。そして、2007年の新製品として発表されたのが、標準色のElvetino仕様(42173)です。


同じEW.IV食堂車モデルをこのような細かな違いでもちゃんと金型を変えて迄リリースされたのは、やはりユーザーの目が厳しいと言われるスイス市場がメインの製品だからであるのかも知れません。ドイツモデルでもこれくらい気を遣って製品化してくれたらと愚痴をこぼしたくもなります。

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手ブレーキ(食堂)側妻部側面です。グレーで統一したEC客車の中で唯一の車体構造の異なるEW.IV形ですが、塗装を合わせることで見事に統一イメージが実現されています。その中でもダークグレイで塗装された座席車の窓周りを、この車両では濃い紫色(Zinnoberrot)と斜め帯で食堂車の存在を訴求させるには十分な効果です。紫色は扱いが難しい色ではありますが、ここでは品良く効果的に使われているのが理解できます。

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赤いSBB CFF FFSロゴもこの紫色との相性は良いです。

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窓のない厨房部分を活かして明るめの紫色で斜め帯を配置し、そこに"Le Buffet Suisse"ロゴを配置したセンスは素晴らしいです。「Buffet」のタイポグラフィも美しく洗練された文字と配色、レイアウト。どれを取っても秀逸です。

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台車は、EW.IVで採用されているSIG-H1と思われます。図面では電磁吸着ブレーキ(Magnetschienenbremse)が厨房側だけに使われていますが、モデルでは全ての台車に装着されています。

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表記は、EW.IV客車に合わせて車体右端に集中して表記されています。ここは、他のTyp.EC客車と異なる部分です。下の画像がマクロレンズを使って拡大した画像です。車体番号は「WRm 61 85 88 94 003-0」です。量産先行車の最後の番号にあたります。最高制限速度は200Km/hです。パンタグラフのついた食堂車のためか、EW.IV客車のためか、他のTyp.EC客車とは異なり単電源で、オーストリアとドイツのみ運用が可能です。
検査日は1993年11月17日と表記されています。

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屋上のパンタグラフです。この集電舟形状はドイツと同じです。基本的に食堂車の集電は駅停車時に行うため、集電舟の形状はドイツタイプでも問題ないのかも知れません。

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食堂側妻部を俯瞰したところです。エアコンの空気孔が見えます。

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車体妻部正面です。貫通扉も薄いベージュに塗装されていて好印象です。すでに単品で他のEW.IV客車と共にリリースされていたからでしょうが、他のTyp.EC客車も同様に塗装されていたらと思います。

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全体を俯瞰したところです。屋根上まで側面の斜め帯が回り込んでいるのが分かります。ここまで徹底して食堂車を主張させる意思は、スイスの鉄道にとっての食堂車の位置付けが非常に大きいことを表しています。確かに近隣他国の鉄道に比べ。価格は高いでしょうが、内容は充実していてしかも美味しいのがスイスの食堂車だと思います。

*この記事は、新たに画像とテキストを大幅に修正、加筆した改訂版です。 参考文献:SBB Reisezug- und Gepäckwagen / SBB CFF

[EDIT] 2019-08-07


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コメント 13

300B

この大胆な紫のカラーリング良いですね!
パノラマカーと編成を組ませるとさぞや豪華な感じが出るでしょうね(^^)
MITROPAのモデルはカタログで知っていましたがLe Buffet Suisseのモデルが単品で売られていたのは知りませんでした。(42172とスイススターターセットの食堂車は手元に有るのですが...入手できなかった紫のカラーの方が格好良く見えます(^^ゞ)
by 300B (2007-05-20 10:38) 

Akira

私は、自分が利用したことのある赤標準色の方が好きで、スターターセットのバラしを見つけるのに苦労しました。お互いないものねだりかも知れませんね。
by Akira (2007-05-20 14:18) 

klaviermusik-koba

確かこのスイスのビュッフェもうちにあったはずだなあ、と思って取り出してみました。どうも単品で買ったような記憶があります。写真で見るのと少し違うように見えるのは、(窓まわりがグレーのように見えるのは写りのせいか?)紫の斜めの大胆な塗りで白帯入り、までは同じなのですが窓まわりが、もう少し濃い紫の塗色で、内装は2+1。実車はスイスではなく、フランクフルトあたりで一度見た記憶があります。これのほかにも、マクドナルド仕様のが確かありましたね。ハイデッカー車も含めて、全部室内照明がついていて、5,6両編成で走らせると、うちのトランスでは電気容量が足りなくて少し困っています。
by klaviermusik-koba (2007-05-20 18:18) 

Akira

Le Buffet Suisse 仕様の単品をお持ちでしたか。今、手元にあるメルクリン価格本のKOLL'Sに掲載されている画像を見ているのですが、セットのモデルと単品はほぼ同じとみて良いと思います。セット自体もこの食堂車がリリースされている時に1回限りのリリースで市場に出たはずなので間違いはないでしょう。インテリアの座席配置も単品同様2+1です。気になるのは、車体番号に違いがあるかということですね。
マクドナルド塗装も以前は実車にありました。ドイツでも一時、マック食堂車が走っていましたが、いずれも一時期しか運用されず、定着しませんでした。SBB車籍のマクドナルド食堂車は確かHAGから製品化されていたと思います。実車は2両あったようです。
by Akira (2007-05-20 20:44) 

klaviermusik-koba

WRm61 85 88-94 002-2となっています。
by klaviermusik-koba (2007-05-21 08:33) 

Akira

単品の車体番号をありがとうございます。私のセット同梱WRmの車体番号は、

WRm 61 85 88-94 003-0

です。よって、やはり番号違いでリリースされたのですね。実車は、最後の3桁が000から003迄あるので、このタイプの食堂車は合計4両です。
ここまで知ってしまうと、最初にリリースされたオレンジ標準色やMITROPA Suisse仕様の番号も知りたくなりますね。
by Akira (2007-05-22 13:24) 

klaviermusik-koba

番号違いの単品とは芸が細かいですね。でも番号違いだからといって、この客車を何両も買う人もそういまいと思いますが。
by klaviermusik-koba (2007-05-22 18:42) 

Akira

いや、最近は番号違いが重要なファクターになってきているようです。今年の新製品の44形+石炭積載貨車セットとその増結貨車セットなど、20両以上の同形貨車が全て番号違いですし、セットでの製品でありながら、単品貨車として売られている同じ形式の貨車モデルにしても、最近では番号違いです。やはり気持ちとしては同じモデルは別の番号が望ましいと思います。ただ、この食堂車に関しては2両とも持っているのはかなりのディープなマニアですね。きっと。
by Akira (2007-05-22 19:10) 

klaviermusik-koba

ええ。確かにわたしも同じ型の多くの石炭車を持っていますがすべて番号違いです。同じ番号のものはやはり持ちたくないので、気持ちはよくわかります。ただ番号違いでもウエザリングの模様が全部同じ、というのは少し興ざめですが、「まあ一応のことはやっておくから、あとはそれぞれ好きにやってくれ」ということなのだろうと思っています。ナンバーさえもまともに読めないくらいの汚し方をしたい人もいるでしょうから。
by klaviermusik-koba (2007-05-22 19:55) 

300B

こんにちは、12年ぶりにレスします

MITROPAの車体番号ですがWRm 61 85 88-94-001-4です。
http://2008-deep-blue.tea-nifty.com/blog/2009/09/mitropa-suisse-.html

Le Buffet Suisse (4125)はWRm 61 85 88-94-002-2ですね。
http://2008-deep-blue.tea-nifty.com/blog/2009/09/le-buffet-suiss.html

この2両は私のお気に入りです。デザインが良いですよね。
by 300B (2019-08-07 16:54) 

Akira

300Bさん、本当にご無沙汰していました。お変わりないようで何よりです。12年ぶりですか。ありがとうございます。

MITROPA SUISSE仕様(42171)と単品モデルのLe Buffet Suisse仕様(4125)のモデルの車体番号をありがとうございます。助かります。

さて、長らくブログの更新をサボっていましたが、最近再び手持ちのモデルを見直しております。
いつまで更新が続けられるか分かりませんが、できる限り続けたいと思っています。

by Akira (2019-08-07 20:20) 

300B

あー、誤解させてしまってすいません。
この記事への私のコメントが2007年なので、あれからもう12年の意味です。
月日が経つのは速いですね。
ドイツから取材が来て皆さんと渋谷でオフ会やったのが懐かしいです。

ブログの更新、当方もなかなか時間が取れず滞っています。


by 300B (2019-08-07 20:43) 

Akira

300Bさん、ご返事ありがとうございます。

この記事古いですからね。ブログを始めたのが2006年なので、まだ黎明期?でした。
渋谷に集まったのが2006年秋でしたから、本当に早いものです。

さて、1つお願いがあるのですが、「SBB EC-Wagenのまとめ」ページの該当車両から、先にお示しいただいた300Bさんのブログページへの直接リンクを貼ってもよろしいでしょうか?
by Akira (2019-08-08 06:16) 

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