3657 DB 103 121-0 / Ep.IV [Maerklin-Lok]
1985年にメルクリンが世界ではじめてH0デジタルを発表してから既に22年になりますが、今日紹介する103.1形モデルは、その最初のデジタル世代であるc80と呼ばれるデコーダーを搭載したモデル3657です。実はこのモデル、以前にも幾つか紹介した長期借り入れモデルの1台です。
このモデルの外観は、当時最もポピュラーであったEp.IVの赤裾と呼ばれる台枠部分もボディ下回りとおなじPurpurrotに塗装された仕様で、当時のIC向け1等/食堂車に合わせた塗り分けでした。また、パンタグラフもワンアームに換装されています。このモデルは、デジタルが発表された1985年に同時にリリースされ、翌年の1986年までの2年間のリリースでした。 車体側面中央下部にレイアウトされたDBマークと車体番号です。Ep.IVbの塗装色ではDBマークは車体色に合わせて様々な色を使っています。車体番号は、103 121-0です。 台枠部分にレイアウトされた製造メーカー表記です。車体・機械部分がHENSCHEL社、電装がAEG BERLINとあります。余談ですが、AEGの特徴的なロゴは、ベルリンで建築事務所を持つPeter Behrensによるデザインです。彼の作品で有名なのはAEGのタービン工場の建築ですが、一方で彼はAEG社のプロダクトデザインを行いました。また彼の事務所には、一時期バウハウスの創設者で建築家のWalter GropiusやMies van der Roheなど名だたる建築家が籍を置いていました。 表記の印刷はこの時代に即したレベルです。 REV表記(写真上)は、Opl .6.7.83とあります。1983年7月6日、Opladen工場にて検査を受けたものと読み取れます。また所属(写真下)は、BD Frankfurt(フランクフルト連邦鉄道局)、Bw Frankfurt M1(フランクフルト・マイン 第1機関区)とあります。当時のフランクフルトは103.1形の1大集結地だったと記憶しています。 少しばかりこの103 121-0の実車について触れてみると...1971年5月4日にHENSCHELで31439として落成、2001年3月1日に留置、翌日付で廃車。2002年2月にはOpladenで解体とあります。 103.1形は様々な角度から眺めても違和感の見えないフォルムをしています。ちょっとだけ残念なのは、後期になってからスカートを外しバッファ抑えが砲弾形でない機種が出ていることです。このモデルは、砲弾形バッファ抑えはそのままですが、スカートが省略されています。(写真下) 真上から俯瞰したところです。
▲ モーターは、旧来のLFCMのサイズのスペースですが、実際はDCMのモーターになっています。
▲ デコーダーとDIPスイッチが見えます。c80デコーダーは、80種類のアドレスを認識させるために8桁のon/offDIPスイッチを使ってアドレス設定しています。 さて、子供の頃からアナログの103.1形モデル(3054)は、私にとってメルクリンの代名詞であり、その期待に充分以上に応えてくれる玩具でもありました。モーターは3極のLFCMタイプで、もちろん交流アナログです。現在の様な繊細な走りとは無縁な、良く言えば豪快、悪く言えば3極の回転子らしい煩く粗い走りが特徴ですが、この機関車を走らせると何ともスッキリするのです。つまり実感的な走りとは程遠いのですが、ストレスなくいつまでも走らせたくなる動きをするのです。つまり漸次加減速などとは無関係でコントローラーの動きに忠実。急発進、急停車、そしてとてつもないスピードが自慢。もちろん重量のある金属製シャシーとLFCMモーター、ゴムタイヤ付き3軸駆動のお陰で牽引力も抜群です。
そして、この3657は、モーターこそLFCMからDCMに進化していますが、3054をそのままデジタルにした走りで、時折モーターブラシのカーボンやオイルの焦げるような匂いも、メルクリンらしさの1つであって、あの煩いと言われる走行音でさえ、子供の私にとっては当たり前の世界なので、デジタル化された3657も違和感なく受け入れられます。
つまり、私にとってメルクリンモデルの魅力は、外観や走りだけではなく、手にずっしりとくる重量感や煩い走行音や匂いも含めて自分の五感全てで感じれた唯一無二の玩具でなのですね。
最近はあまり走らせる機会もありませんが、折角のデジタル機でもあるしサウンド化などは現在は考えてもいません。
デジタルながらも古き良きメルクリンを彷佛とさせるこのモデルは、大切な1台となりました。
それにしてもBR103.1は、黒裾でも赤裾でも子供の頃から大好きな機関車なので、今でもその想いは変わらず、やはりどんなに古くなっても、103.1形機関車は、子供の記憶そのままなのです。
[EDIT] 2020-08-13
いつも楽しく読ませていただいております♪
僕もいつかはこうした古いメルクリンを手にしてみたいと思っておりますが、
始めて3年程しか経っていないので、ついつい新しい製品に目がいってし
まっています。
103型は永遠の憧れです。3年近く前に、赤塗装の実機をミュンヘンで見てしまったので尚更欲しくてしかたありません。
おっしゃる通り、古いモデルは格別な味があって素敵ですよね。うちにも中古で手に入れた古いデルタのV100がありますが、掃除をしてオイルを注してあげれば充分に良く走りますし、余計に愛着が湧いて手放す気も起きないです。
やっぱりメルクリンは最高です!
by ナベ (2007-05-30 21:02)
ありがとうございます。私が子供の頃は、ドイツの情報は今よりも格段に少なく、私にとってのメルクリンは数少ないドイツへの扉でもありました。メルクリンモデルの紙箱のデザインから文字、走りも含めてモデルの持つ全てが私にとっての憧れそのものでした。その存在感は、単に数字に表されるものではなく、触れて走らせて理解するというモノでした。当時の薄いカタログを穴のあく程眺めながら、益々ドイツとメルクリンに憧れました。
また、私も初めてドイツに行ってDBの車輌達を目の当たりにした時の感動は忘れられません。益々メルクリンが欲しくなったのもこの時でした。
by Akira (2007-05-30 21:17)
ナベさん、Akiraさん、こんにちは。
メルクリンは長く付き合えば更に、イイ物だと実感します。
他社の鉄道模型では無い感覚なんです(上手く表現できないのが残念)
私がメルクリンを再開するきっかけは、デジタル方式の導入でした。
京都大丸の鉄道模型売り場にデジタルの基本システムを発注した時に
3657も一緒に発注しました。そう私のデジタル一号機なのです。
メルクリン一号機は同然3000ですが、最初のデジタル機として3657も特別な存在です。
でも2年間のリリースだったとは知りませんでした。
その後販売された透明ボディーの3757も中々面白い車両ですよ。
by 460 (2007-05-31 12:25)
メルクリンモデルの感覚は確かに他には見当たりません。精密な模型ではないけれど、持つと確かな存在感があって、走らせると気持ちが良い。この感覚は、言葉や文章で表せないのが口惜しいですが、そうなんですね。
透明ボディの3757は、一般にリリースされたのですか?私はてっきり販売店のデジタルデモ用かと思っていました。216形も確かありましたよね。
by Akira (2007-05-31 14:47)