BMW GINA Light Visionary Model [デザイン]
いつも鉄道の話ばかりなので、今回は指向を変えて自動車の話でも...。
6月10日発表された、BMWの新しいコンセプトカー「GINA Light Visionary Model」なるプロトタイプモデルの画像と映像をネットで発見した。
正直このクルマには驚いた。何故ならボディが特殊な布で出来ているというからである。布という自動車の外板とは無縁?(コンバーチブルの幌には使われてはいるが)な素材を使った新しいモデルは、これからの自動車のあるべき未来を暗示するのか興味深いのである。布製ボディであるメリットは、何より車体の軽量化であろうと思う。おそらくアルミボディより軽く、かつ安価であるという気がする。アルミボディだと鉄製ボディのように叩き出しの成形ができないので、接触事故の時は交換するしかなく、例えばAudi A2など比較的リーズナブルなセグメントのクルマでも、アルミボディでは修理に膨大な費用がかかる。この新しい素材である布ではどうであろうか?
また、安全性についても興味深い部分である。
デザインについては、今のBMWのトレンドを踏襲しているように思うが、布の柔らかさを生かした処理は好感の持てるところである。例えば、パーティングラインのない可動式リアスポイラー、テールランプとウインカーが布の内側に発光素材を配置し、無点灯時は何も見えないが、点灯時は内側から透けて見えるところなど。またヘッドライトは点灯時に瞼を開いて点灯するなど、ちょっと有機的すぎて不気味なくらいである。ボンネットのエンジンルームを開ける動作も中央のパーティングラインが少しずつ開いてエンジンのヘッドカバーが少しづつ見えてくるさまはちょっと引いてしまうほど生き物のようなギミックといえる。ドアの開閉部分もパーティングラインがないので、ボディに皺がよって開くさまは、まさにその延長上にある。
デザインをする上で大切なことの1つに、「自然に逆らわない」というのがある。それを間違うと不自然さが目につき、感覚的に違和感を憶えるのである。(つまり安心して見る事ができなくなる)
そういうベクトルでは、この布ボディのBMWは、自然に近い姿に進化したのかも知れない。しかし...である。どうもこのモデルのプロモーションビデオに出てくる映像でヘッドライトがすこしずつ瞼が開く様に開いてゆく姿を見ると、落ち着かなくなり妙な不安を憶えるのである。まるでクルマに襲われそうな錯覚まで憶えてしまうのは、私が慣れていないのか、人間の本能に反しているからなのか...。あと数十年ぐらいしないとその結果はわからないのかも知れない。
ただ、このクルマがエポックメーキングである事だけは確かだと思う。
このモデルは、現在ミュンヘンのBMW Museumに展示されているという。是非触れてみたい1台ではある。
参考サイト:フォトギャラリー / excite.ism
http://www.excite.co.jp/ism/concierge/rid_1833/
タグ:BMW
おもしろいですね、ヘッドライトなんかまぶたのようで生きているような感じですね。ウインクしてましたね、ちょっと愛嬌がありますね・・
そういえば昔のテレビアニメでスーパジェッタと言うのがあって主人公の乗る流星号という車?がくねくね動いて生き物のようでした。
自分も、そんな車が欲しいと思いながら見ていたのを思い出しました。
by masato-marklin (2008-06-14 22:16)
布製とは奇抜なクルマですね。目が確かにエイリアンか何かみたいでコワい。
量産車に採用されるまでどれくらいかかるかしら。
>アルミボディは修理費が膨大
A-Trainが「事故ったら新製したほうが早い」と言われるのもそれでしょうか。
GreenMoverもしばしばぶつけられるだけに気になります。
by S.やくも (2008-06-14 23:01)
>masatoさん、S.やくもさん
もし、同じ布製ボディでも、優しい顔つきであったなら、怖さは薄れるかも?と思ってしまいました。有機的であればあるほど、モチーフの顔つきは優しくしたほうが良いのかも知れませんね。
アルミボディは板金ができないので、その部分を交換するしかありません。故に高価になるようです。トラム車両は接触事故の可能性が普通の鉄道車両より高いので、形状記憶合金や板金の出来る素材の方が良いかも知れません。
by Akira (2008-06-14 23:27)
Akira様、東西急行です。
御紹介の映像早速拝見致しました。
「しなる両扉(腕)、割れるボンネット(額)に光る尾っぽ、
燐光を放つ鋭い両眼」何れも衝撃的です。
何と申しましょうか、70~80年代のSF映画に頻出する
異星生命体を連想させつつも何処か神妙な雰囲気に
満ちた機械(クリーチャー)です。
其れで居て最後の一コマ「まばたく機械」の場面に
「みゅぅ~う(白猫)」と言う鳴き声を入れたくもなりました
(爬虫類系ならば「ぐるるる~ぅ(友好的)」ですが)。
by 東西急行 (2008-06-15 13:14)
ご無沙汰しております。
フロントからサイドの流れはZ4、リアあたりは6シリーズクーペの
デザインに近い感じがしました。猛禽類のような顔つきが更に強調
されて、まるで生物かのような存在感が増してますね♪
ドアやエンジンフードが開いていくあたり・・・マシーンの常識を超えた
ギミックです(汗)
by ナベ (2008-06-15 13:39)
読者の皆様は意外に鉄道以外についても関心があるといことを改めて感じました。
>東西急行さま
もしあそこまでのギミックが可能なら、瞬きしたりウインクしたりと機械の似生物化も技術的には可能になるわけで、妙に現実味を帯びたりしてきますが、それが移動手段のツールとして正しい方向なのか、ユーザーもメーカーも真摯に考えなくては...。でも、できたら欲しいと思っている自分も居ない訳ではないので、ちょっとこれは禁断の領域なのかも知れません。
>ナベさん
そうですね。ボディが布製と言っても基本的なラインはBMWのデザイントレンドを踏襲しています。ゆえに、個人的には今一歩近づきがたいイメージがこのモデルにはあるわけでして....。
でも、あんな風にエンジンフードが開いたら....。給排気管が肋骨に見えてしまうのは私だけ...?
by Akira (2008-06-15 15:03)