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幻の?「Orient-Express '92」 日本ツアー [欧州鉄道]

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1988年、日本の国鉄線路上に最初で最後と呼ばれたCIWL客車が走った。そして昨年、そのイベントから20周年を迎え、KATOから1:160スケールで当時日本を走ったCIWL客車群を模型化、発売された。昨日、書店で手に取った鉄道模型誌「とれいん」が、この客車モデル群の発売に合わせて当時の様子を豊富な写真とテキストで誌面を飾っている。早速その「とれいん」を興味深く読ませてもらった。

その1998年夏は、丁度私がドイツに旅立った年である。私が成田空港を片道切符を持って旅立ったのが8月である。もちろんその前から各種メディアを通じて遥かヨーロッパから来る「Orient-Express」の名を冠したCIWL客車編成が日本を目指して走ることは知っていたが、そのためにドイツ留学を遅らせる訳にはいかない。丁度ドイツに到着して暫くして、その特別な「Orient-Express」は、パリを発車したのである。その時私のいたドイツのBremenはもちろん通るはずもなく(ドイツ内のルートすらわからなかった)、Berlinへ向けた列車の通過は、ドイツ西部では夜中であったはずである。(暫くして、大学時代の友人から品川駅で撮影されたCIWL客車の写真プリントとフジテレビで放映されたパリー香港間のオリエント急行の番組を録画したビデオが届いた。また、運行ルートを考えれば列車名は「Orient-Express」ではなく、「Nord-Express」の方が相応しいような気がしないでもないが、知名度を考えれば致し方ないのであろう)

それから数年が過ぎた1992年のこと。私は、語学学校から無事大学へ編入、そして何とか大学を卒業した年である。当時私は、卒業直前の身であったが帰国せず就職をしたかったが、まだ決まっていなかった時期である。
そして、日本中で無事に走ったCIWL客車群は本国へ戻ったことを知っていたが、車両所有はNIOE(NOSTALGIE ISTANBUL ORIENT-EXPRESS)であり、ドイツはもちろんスイスやフランスなどヨーロッパ各国を団体列車として不定期で運用されていることももちろん知っていた。ただ、当時の私には、その乗車運賃を始め、ディナー時のドレスコードなど、あまりに敷居の高い列車であったことも事実である。何より、当時の私は30歳前であったのだ。そのような若造がCIWLのような車両に乗って良いのか?ドイツやスイスで乗ったCIWL客車の私の居所がシベリアだったらどうする?...などと本気で考えていたのである。
しかし、CIWL客車はラテン諸国の車両に興味の薄い私でも深いブルーの車体は魅了させずには居られないのも事実。高校生時代には、当時琵琶湖のほとりの温泉ホテルにあった「Hotel Orient-Express」に何度か1人で泊りにも行ったほどである。

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▲ 美しい表紙のプログラム冊子

さて、前置きが長くなったが、その(走っている)NIOEにどうしても乗りたかった私は、取りあえず運営会社であるIntraflug社へ手紙を書いて資料請求した。そしてほどなく届いたのが、今回紹介する画像である。

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▲ 旅行プログラムの他にIntraflug社所属の豪華なCIWL車両の解説が写真や図面と共に掲載されている。

手紙を見ると、確かに豪華な列車旅行のプログラムの案内であるのだが、詳しい牽引機関車の形式(BR01.10やらAe3/6 IIIなど)も堂々と書かれてあり、やはりターゲットは私のような鉄道好きも含まれていると察しがついてちょっとホッとしたのも事実である。後はお金の工面であったが、やはり求職中の身。散財はできず、予約は諦めたのである。

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▲ SBBによって1ヶ月に渡って運行された(であろう)スイスの「Orient-Express」チラシの表面

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▲ チラシの裏面は、SBBが運行するCIWL客車(2等車扱いの食堂車2741 "Sued Express"+1等車扱いのプルマン4149 "Cote d'Azur"又は、4080 "Fleche d'Or")のプログラム

届いた資料には、その手紙の他、プログラムが書かれた冊子1冊、SBBによる特別運行のチラシが1枚、そして申込書が同封されていた。プログラムの表紙は、ベルエポックと呼ばれる世紀末に描かれたCIWL社のポスターが美しく装丁されている。そして冊子には、1年間の運行スケジュールの他、(CIWLだけでない)Intraflug社所有の車両の写真、平面図、説明が詳しく記されている。実にファンの気持ちを心得た(ツボを押さえた?)冊子である。

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そしてプログラム冊子の裏表紙を見ると、何と再び日本ツアーの文字が踊っているではないか。その名も「フジテレビ開局30周年記念特別企画」とある。国内ツアースケジュールと記されてあるので、冊子内のプログラムには説明がないが、日本で募集される予定であったために記されなかったのであろう。少なくともそのような企画がIntraflug社を始め、JRとフジテレビにはあったと想像ができるのである。

「とれいん」誌には、1988年の日本ツアーの影響がその後の国鉄の民営化後に大きな影響を受けたとある。
結局のところ、ご存知のように再びCIWL客車編成が日本で走る姿は誰も見ることが出来なかったのだが、もし再現されたならば、JR寝台列車の車両やサービスに更なる変化があったのかも知れない。

その後はNIOEを運営するIntraflug社がCIWL車両の売却をしたので、少なくとも同じような日本でのツアーの実現は限りなくゼロであろう。個人的には、これらチャンスを2度も逃した私は、一昨年の秋、箱根の美術館で念願のプルマンカーに乗ることができたが、走ってこその車両である。未だに「いつかは..」とパリのPOEやベニス-ロンドンのVSOEに乗るのを夢見ているわけである。



とれいん 2009年 02月号 [雑誌]

とれいん 2009年 02月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: エリエイ出版部プレス・アイゼンバーン
  • 発売日: 2009/01/21
  • メディア: 雑誌



[追記]
先程午後6時すぎからテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」で電気店の福猫「みいちゃん」が放映されました♪

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