SSブログ

kMix CMB6 / DèLonghi [生活用品]

b12681.jpg

上画像にあるこのコーヒーマシンを買ったのが20年前の1990年だったと思う。それまで使っていたBRAUN社製のマシンを友人に渡し、発売直後に買ったものである。このマシンはオランダのフィリップス製で名前は「Café gourmet」。それ迄のマシンと異なり、水を上から下へ重力を利用するだけの単純な構造で私を驚かせたのである。上部に水を入れ、サーバー上のホルダーにフィルターペーパーと豆をセット。スイッチを入れると、上部の水タンクの底にあるヒーターが加熱し沸騰した時点で水がフィルターに落ちる仕組みである。上部の水タンクがガラス製なので、水が沸騰する様子が見れるのは、それまでになくコーヒーを煎れる時間も楽しめるマシンである。それは機能を見事に視覚的にも表現したデザインである。そして最近まで使っていたのだが、さすがに20年も経つと熱を持つ部分の樹脂の傷みが出始め、本体が割れてしまったり、水が漏れるなど流石に実用に耐えなくなって来てしまったので新しいコーヒーマシンを物色していたのである。(2月のメッセ訪問時に物色したかったのだが、時間が無く出来なかった...)

しかし、その後20年経過してもこのマシン以上の実用性と機能、そして造形を兼ね備えたマシンが見つからなかったのである。(もちろんカッコ良いマシンはいくらでもあるのだが...)

b12679.jpg

そんな中、ようやく見つけた1台のマシンが画像の「kMix CMB6」と呼ばれるイタリアデロンギ社のマシンである。イタリアでコーヒーと言えばエスプレッソに代表される圧力を掛けてコーヒーを抽出するのが普通だが、これはフィルタータイプのマシンである。これは我が家で普段使いの豆がフィルターコーヒー向けであるからだ。

定価は結構な金額なのだが、アマゾンジャパンでは半値近くで売られていたので配達して貰った。何故か近くの家電量販店には同社製のエスプレッソマシンはあってもkMixのマシンはない。

b12678.jpg

さて、少々の不安と大きな期待に胸を膨らませて新しいマシンを試してみる。このマシンを購入した大きな理由は、そのコンパクトさである。今迄使っていたフィリップスのマシンは、重力を利用したその構造ゆえに背が高く、テーブルの上に載せると結構な高さになる上、万が一腕などにぶつかると倒れてしまうのではないかという心理的な不安を感じていたからである。(実際倒れたことはなかったが、ヒヤリとした経験は何度かある)
その点、このマシンは高さが低いのでどっしりとした印象であり、まず私の腕に引っかかる事はないし、奥行きに長く設計されているので倒れる心配もない。そして、正面に大きな電源スイッチが1つあるのも好印象である。誰でもコーヒーを入れられるからである。コーヒー豆を入れるフィルターは金属製のマイクロフィルターがあらかじめ用意されており、紙フィルターを消費しないで良いというのもこのマシンのウリの1つである。それ以上に、マイクロフィルターを載せる台には紙フィルターを載せることも可能で、両用出来るというのは嬉しい配慮である。もし、マイクロフィルターが壊れたりしても使えるからである。

コーヒーを煎れてみると味的には以前のマシンとあまり変わらない。やはり味を決めるのは豆と水..そしてもしかしたら手で煎れるのが最も美味しいのかもしれない。紙フィルターと違って若干カップの底に細かい豆の粒子が残るのは致し方あるまい。いやなら紙フィルターにすれば良いだけの事である。

長所については、これくらいであろうか。どの商品にも長所と短所があるのは当たり前である。それは我が家で長年使っていたフィリップスのマシンもそうである。商品の長所と短所のバランスを如何に見極めるか、また使われる環境にも大きく左右されるのがキッチンまわりの商品でもある。

まずこのマシンの構造が、従来のオーソドックスな水の流れと加熱システムであるのが残念な部分である。水をタンクに注ぐのだが、電源を入れると水が底にある穴から流れ、加熱された後、その圧力でコーヒーフィルター部分へと樹脂製の管を通って流れて行く仕組みである。(途中の管は金属製であろう)コーヒーを煎れた後で水タンクの蓋を開けると水滴が沢山である。この部分は外すことが出来ないので水垢の心配もあり衛生面での心配が残る。またダークグレー色の樹脂を使っているので汚れが見えにくいのも残念な部分である。この点、フィリップスの「Café gourmet」では、水タンクの底が加熱プレートになっているため、お湯が流れると同時にタンクの水分が全て蒸発してしまうのである。

更に言えば、我が家ではスーパーでタンクに入れたフィルターを通した水を使っているのだが、kMixでは水タンクに目盛りがないため1度コーヒーサーバーに必要量の水を入れてからタンクに移す作業があり、一手間掛かる。これは水道水を使う家庭であればサーバーに水を入れてからタンクに移すので問題ないが、我が家のような場合、あらかじめタンクに目盛りがあれば助かるのである。

また、コーヒーサーバーの蓋が外れない構造のため、サーバーを食器洗い器にセットする際、蓋を開けながらカゴに載せるのは難しい上、場所を取るのも問題が残る。これは家庭に食器洗い器が普及しているかどうかの違いによるものと想像出来る。ドイツではこの構造はまずないであろう。「Café gourmet」でも蓋は簡単に外れる構造になっている。さて、イタリアは?

b12680.jpg

視覚的な部分では、マシン上部にカップウオーマーがあることである。(上画像参照)カップ2つ分のスペースがあり、そこに置く事であらかじめカップを暖めておく事が出来るのは業務用エスプレッソマシンでは普通だが、その機能を家庭用フィルターコーヒーマシンにも付けたということである。これで何となく見た目がプロっぽい印象になるし、カップが暖められれば機能としても意味があろう...しかし、である。試してみると、マシンにスイッチを入れてからコーヒーが入る迄の時間は知れたものである。しかも、「Café gourmet」のように全ての水を沸騰させてから豆にお湯を一気に入れるのではなく、少しずつ水からお湯にしながら足してゆくので、ウオーマー自体が暖まる迄に時間が掛かるのである。ウオーマーが熱くなる頃には、コーヒーをカップに注いだ後..という感じである。(もちろんコーヒーが入ってから暫く置くのであればカップは暖かくなろうが、コーヒーは煎れたてがより美味しい。)

以上のような感想をこのマシンを購入してまず感じたのだが、最も強く感じたのは20年も経過しているにも関わらず、構造的にはほとんど進化が見られないのがフィルターコーヒーのマシンである。当時は、インターネットなど一般には無縁の世界であったし、コンピュータも携帯電話も誰もが持てる時代ではなかったのである。ITの世界はこの20年で素晴らしい進歩を遂げたが、コーヒーマシンなんて極めてプリミティヴな工業製品にはほとんど進歩がなかったという事実は興味深い...というよりちょっと情けない気がしたのである。あとは、この「kMix CMB6」がどれほどの耐用年数があるかである。まぁ、20年も持たせるのは奇跡的であるとも思うが、今でも20年前の同じマシンがフィリップスのウエブサイトで掲載されているところをみると、フィルターコーヒーのマシン自体がもはや過去の商品であり、これからはエスプレッソマシンやNestléに代表されるカセット式のコーヒーマシンが主流になるということなのかも知れない。

とは言え、最後にこのマシンをヨイショするならば、そのマシンとしての姿は、一体感のあるシンプルなもので実に自然。見ていて飽きのくるものではなく、長く側に置いておきたいカタチである。もし、フィルターコーヒーマシンの購入を検討されている方の参考になるのであれば嬉しい限りである。



参考サイト:kMix CMB6 / デロンギジャパン
http://www.delonghi.co.jp/product/product_individual/CMB6-BK/product.html

HD5405/60 / Philips Deutschland
http://www.consumer.philips.com/c/kaffeemaschinen-und-wasserkocher/hd5405_60/prd/de/
nice!(0)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:インテリア・雑貨

nice! 0

コメント 4

きっかいくん

ウチにあるナショナルのキャリオカというコーヒーメーカーも、もう20年以上使っていますがまだ現役です。尤も最近はめんどくさくなって市販の缶コーヒーなんかで済ませちゃってますけど。(挽き立て微糖とか贅沢微糖なんか美味しい♪)
by きっかいくん (2010-06-04 07:02) 

Akira

きっかいくん、おはようございます。

コメントありがとうございます♪
コーヒーメーカーって意外に長持ちするのですね〜。やはりプリミティヴな製品だからかもしれません。ウチのマシンのように樹脂の劣化で割れてしまうことがなければ、まだ持ったと思います。
先日やはり20年以上経ったテレビが壊れたので買い替えましたし、最近家電製品の買い替えが集中しているのが困りものなんですが、こればかりは致し方ないですね。
by Akira (2010-06-04 07:28) 

深山苧環

おはようございます

私もコーヒー大好きのカフェイン中毒者です.
残念ながら私は使いやすく長持ちするコーヒーメーカーに当たったことがありません.
国産ばかりで外国製は使ったことがありませんが,どれも使い勝手が悪すぎたり,耐久性に問題があったりと,5台ほどハズレを引いたところであきらめ,初心に返って手で淹れるようになりました.
豆も手動のミルで自分で挽くようにしています.
こだわりの手挽き・手淹れですが,これも豆の種類や挽き加減,お湯の温度や量,フィルターによって微妙なタイミングや加減があるようで,当たりはずれが結構あります.
今度こそ長持ちするコーヒーメーカーを探してみようかな~
by 深山苧環 (2010-06-04 07:55) 

Akira

おはようございます、深山苧環さん。

実は私も(日本での)大学生時代に毎年夏の1ヶ月間軽井沢でアルバイトをしていた時、毎日お客様に手でコーヒーをいれていました。その時に培った腕?で手入れのコーヒーは大好きなんですが、ブラウン製やフィリップス製のマシンが当時あまりに魅力的だったので、使ってしまいました。もしデロンギ製がすぐにダメになったら、私も再び手でいれるようになるかもです。
by Akira (2010-06-04 08:12) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0