Bauhaus Taste - Bauhaus Kitchen展 [デザイン]
昨日木曜日は八王子の大学へ出講日なのだが、東京で開催されているバウハウスキッチン展を前々から見たかったので、いつもの八高線を使わずに東京経由で展覧会に寄り道をして行くことにした。
ミュージアムは、新橋駅からほど近い汐留停車場跡地横のパナソニック電工東京本社内の4階にある。
新橋駅から直結している地下道を進み地下2階のレベルにある建物入口から入ると、ショールームになっているので、そこを通り抜けて4階の本社受付とミュージアムのあるフロアへと進む。
ここからは、撮影禁止区域なのでミュージアムの入口すら撮影不可能である。
受付で作品説明のリストをもらい、順に作品を観て行く。このブログでも過去に東京藝大で行われたバウハウス展の紹介もしたが、今回はバウハウスの13年の歴史の中でも、デッサウにある世界遺産にもなっている2代目の校舎の時代(つまり最も輝かしかった時代)に於ける教育内容と、主に食に関係する作品が数多く展示され、初めて目にすることの出来た作品も少なからずあった。そこには、戦前である1920年代から30年代に掛けて、まだドイツでも貧富の差が激しく伝統を重んじた生活に縛られていた時代のことである。バウハウスは自由な発想で居心地の良い無駄の省いた空間を目指す様々な実験的な試みが行われた場であったのである。
展示は、当時の「Neue Linie」や「Bauhaus」と呼ばれる雑誌や機関誌(つまり今で言うエディトリアルデザイン)からタイポグラフィー(文字デザイン)、写真、染織、デッサン、そしてテーブルウエア、ランプ、大きいものではユンカース社の給湯器まで展示されている。そのどれもが、機能を追求し、可能な限りの装飾をそぎ落としたシンプルな造形であるが、そこに美が存在することには変わりない。感心したのは機関誌のレイアウトには、写真と文字組みがなされているが、その構成の美しさは今の我が国で出ている雑誌の多くのデザインはこれに劣ることが容易に理解できること。コーヒーサーバーや食器などテーブルウエアに至っては、現代でも充分に通用するデザインである。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
展示の中心に据えられているのは、マイスターハウスと呼ばれる教授陣の住宅のキッチンを原寸で再現したものである。これは、今でもデッサウに実在する。しかし世界遺産になっているためか使われておらず、現地でも外観が観れるだけのようであるが、ここではこの展示のためにパナソニックの担当者が現地で採寸し、キッチン部分のみをミュージアム内に製作。そしてそこに当時使われていた厨房機器や棚などを当時のままの位置に据え付けることで、見事にその空間を再現したと言う訳である。
実は、ドイツが統一した3日後に私自身かねてから行きたかった旧東独のDessauを訪ね、Bauhaus校舎の見学を果たした。しかし、このマイスターハウスに行くことは出来なかったのが悔やまれていたのである。そういう意味でも、今回のキッチン展は私にとって行かなければ後悔する展示会でもあったのである。
ミュージアム内の展示物は当然のことながら撮影禁止だが、このマイスターキッチンのみ受付で申込めば撮影許可が降り、ブログ掲載も可能とのことでここに画像を紹介することができたのである。上画像は、展示されたキッチン全景。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
ここが入口部分。キッチンは衛生上、料理する部分と洗い物をする部分が壁で仕切られている。床に壁の記しを描くことで、この位置に入口の扉があることが理解出来る。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
ここは洗い場の全景。細長い部屋に食器を洗うための流しとその反対側には食器棚がある。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
正面には大きな窓がある。このセットの上手なところは、窓や外の風景はフィルムで表現されていて、後ろから照明を当てることで、その場の雰囲気が良く表現されていること。ちょっと見では全くわからない。照明のテクニックが素晴らしい証拠。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
流し台部分である。食器は隣のキッチンの小口窓を通して運ばれるのであろう。一連の食器洗いのプロセスが動線に合わせて無駄のない動きが可能なようにデザインされているのが手に取るように理解出来る。
特に感心したのは洗い場にある食器洗浄専用のザルをそのまま左隣の台に載せられ、そこで水切りが出来ること。また食器を一時整理が出来る棚が流しの上にあり、食器洗浄の作業が効率良く出来るしくみが出来ていることである。水切り台は窓の横にあるため、窓下に設置しているHeizung(温水暖房器)の熱の流れに合わせて乾燥の一助となっているところも指摘しておきたい。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
次に料理を作るための厨房部分。考えてみれば、TEE用瘤付き食堂車(WRümh 131)も上階が調理室で下階が洗浄室である。これは衛生上よりも食堂部分の定員増が目的であると思うが...。
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
汐留ミュージアム・バウハウス展、2010年
このマイスターハウスのキッチン部分は、ガスオーブンや蛇口やディスプレイ品など一部設備には触れられないが、タンスの引き出しやドアノブなど、設計者であるヴァルターグロピウスの意思が隅々まで行き届いたデザインに触れて感じることが出来るのは嬉しい配慮である。
残り少ない展示会期であるこの展覧会は、建築、デザイン、写真などに関心のある向きにはとてもお薦めできるものである。開催は12日まで...。
参考サイト:バウハウステイスト・バウハウスキッチン展
http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/exhibition/10/100918/index.html
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タグ:Bauhaus
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