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氷河急行に乗りたくて...(その2) [欧州鉄道]

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▲ Zermattの町は陽が落ちてもマッターホルンの山頂は美しく夕日に輝く

Brig駅の車運車専用ホームから自動車ごと下車。そしてそのまま駐車場を探すも、特に繁華街もないような田舎町なので、結局路上駐車することにした。(カールスルーエの我がアパートも駐車は路上である。何しろ日本のような車庫証明などドイツでは不要なのである)クルマを停めて徒歩でBrieg駅に戻り、BVZ(Brig-Visp-Zermatt-Bahn)の列車に乗ってZermattに出掛けたのである。これは、やはり氷河急行でZermattからSt. Moritz迄の全線を乗車したいという強い思いがあったからである。いずれにしても夕方なので、St. Moritz方面行きの氷河急行はない。列車は途中迄SBBと平行して走り、途中からいよいよ勾配路線に掛かる。次第に車窓から遠くにマッターホルンが見えてくると感動モノである。Zermattの一つ前の駅で停車すると駅前が巨大駐車場で、ここからは化石燃料を使った車両は通行禁止である。
終点のZermatt駅に着くと、駅前には自動車は全て電気駆動の車両だけである。取りあえず宿へ急ぎ、夕闇に包まれつつある市街地を少しばかり歩くと目前には雄大なマッターホルンが見える。(上画像参照)この山の美しさは、息を飲む程である。

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▲ 乗車したのはRhBの普通の2等車。今となってはこの普通の赤い客車に「Glacier-Express」のサボも珍しいのかも。

翌朝いよいよ氷河急行に乗車するのであるが、朝が早く頭の中には氷河急行だけだった私には上に記した以外にほとんどZermattの印象がない。今思うととても残念である。
駅に赴くと、既に氷河急行は停車している。ワクワクしながら乗車するのだが、今のようなそのための特別な車両ではなく、一般の車両のしかも2等車が私達の車両である。RhBの車籍だと思う。残難ながら、手持ちの写真がスライドかスナップ写真だけなので、今はスライドからスキャン出来ず、良い画像をお見せ出来ないのは残念...。

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▲ 氷河急行の時刻表。座席指定区間や食堂車の運営時刻まで記されている。(クリックすると大きな画像になります)

乗車した列車は、8時54分発のB 902列車である。この列車は、途中DiesentisからChur迄食堂車を連結し、供食サービスが行われる。この列車は全席指定となっている。当時氷河急行は既に日本でも有名になっていたほど世界中から観光客が利用していたが、列車本数は少なかったためであろう。

この列車でちょっと残念だったのは食堂車の運用区間で、最も景色の良いAndermattからDiesentisのOberalbpass越えをしながらの食事が出来なかったことであろうか..。しかしその時は、それどころではない。もう憧れの氷河急行に乗車し、食堂車でも予約済みなのであるからどこを走っていようと知った事ではなかった...というか、その時点ではOberalbpass越えが一番美しいとは思っていなかった訳であるが....。

列車はゆっくりゆっくり山を登り、川岸を走り、時にアプトの音を奏でながら走る。Expressとは名ばかりで、走行速度はやはり遅いが、それでもこの路線があることで生活している人達には貴重な路線でもある。8月のスイスアルプスの景色は本当に美しい。沿線で唯一車窓から見えたローヌ氷河がフルカトンネルの開通で見えなくなってから氷河急行の名前もないであろうという意見もあるが、それはまあ、仕方ない。どうしても見たければフルカ峠の旧線を活用した蒸気保存鉄道のDFB(Dampfbahn-Furkabergstrecke)を訪ねれば良い。昨年Oberwaldまで全線開通したDFBを経由した氷河急行が1往復でも出来ればまた乗りに行きたいが、非電化なので難しいかも知れない。

Andermattに到着すると、日本人の団体が下車したのを憶えている。目前にはOberalbpassへと伸びる壁のような山越えが待ち受けているのが見える。ここはいつ来てもワクワクする場所である。もちろん走り始めてうねうねと登る車窓から眼下に広がるAndermattの街並と山々の眺めは半端ではない美しさです。

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▲ RhBの最大の客車であり食堂車、通称Jumbo-Restaurantでランチ風景。2両で1ユニットなので座席数が最大でした。今はお役目を終えているようです。

峠を登りつめたところに湖が広がり、路線最高地点のOberalbpass駅(標高2033m)である。ここにはハイキングや登山のコースが多くハイカー達が多く乗り降りする。ここからは私が一番気に入っている村のSedrunに向かい停車。そしてDiesentisへと到着する。FOはここ迄で、ここからRhBである。機関車を付け替えて客車も増結し一路Churに向かう。アプト路線もここ迄である。増結された客車には食堂車もあった。私達の利用した氷河急行に連結された食堂車は"Jumbo Restaurant"と呼ばれる2両連接の食堂車であった。おそらくRhBでも最長の車両だと思う。現在このスイスらしいモダンなインテリアデザインの食堂車は、どの路線で活躍しているのか、私が見た氷河急行で最初で最後であった。当時は、今と異なり昼食は食堂車で取る。故に食堂車は途中で連結したり切り離したりしながら往復し、何本かの氷河急行での供食にあたるのである。今はほぼ固定編成で厨房車両を連結し、客室で食事が出来るプルマンタイプなので、こちらのほうが効率は良いであろう。ただ、このような色々な食堂車で食事が出来る楽しみは少なくなった。(「鉄」には残念かもしれない)

この食堂車での食事は、当時の私には感動的であった。というのも、アラカルトはなく、サラダからメインディッシュ、デザート、コーヒーまでのコース料理だからである。ヨーロッパでは伝統的なスタイルでメインディッシュは、最初に空の皿が配られ、ウエイターが温野菜とメイン料理を大皿で取り分けてくれる仕組みである。(しかし盛りつけの美しいフレンチを想像するとがっかりするかもしれないが..)更には、この時用意されていた料理が余ったためか、メインディッシュのお代わりもあって私は本当に満足したのである。
そして食後には食後酒のサーヴィス(有料)まである。

今考えれば、欧州のこのスタイルの食堂車の料理は、TEE列車までコース料理が普通であったのだが、食堂車が一般向けに簡素な時代になったDBのEp.IV時代のD-ZugやIC/EC列車の食堂車からしか知らない私には新鮮であったのである。古き良き伝統を残しているRhBの食堂車サービスには、その美味しさもさることながらサービスの素晴らしさは、満足させるに充分であったのである。(今のように出された食事を写真に撮る事をしなかったのは残念である)

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▲ FOミニバーの紙ナプキンと氷河急行写真入りチョコレートの包み紙

食堂車から戻ると、ミニバーも来る。これは車内販売なので飲み物やお菓子、またお土産品も買う事が出来る。ここであの有名な傾いたグラスを買ったのだが、先の地震で全て割れてしまい処分してしまった..。画像は、FOマークの入った紙ナプキンと氷河急行の写真が入ったチョコレートの包みである。FOなき今では、この紙ナプキンもレアなのかも知れない。チョコレートの包み紙は、食後のコーヒーに付いて来たのか、どこかで買ったものなのか忘れてしまったが、ここまで取りおいておく私は...。モノを捨てられない性格である。

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▲ 氷河急行全線乗車証明書(クリックすると大きな画像になります)

Churあたりは路線も平坦になり、長編成になった氷河急行もスピードを上げ快走する。Churから再び山岳路線となり終着のSt. Moritzである。到着は夕方5時前である。ここでまだ明るい駅構内の機関車などを撮影して、駅事務所へ赴き上画像の氷河急行全線乗車証明書(今は貰えるかどうかは?)を貰い、翌日の座席指定券を購入する。このあとこの日の宿へ向かったが、もう疲れていたのでSt. Moritzの散策もせず夕食後は曝睡だったと...。

[EDIT] 2022-09-10
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ZumeR

Akiraさん、こんにちは。

良いですね、古きよき時代の氷河急行。

今のは、全車空調付きパノラマ客車&食事は座席でランチプレート。全く魅力を感じません。実は一度も氷河急行に乗ったことがないという、これだけ毎年ヨーロッパへ行きながら、訪問地にやたら偏りがある私ですが、昔の氷河急行なら乗ってみたかったです。

もし将来、この路線を訪ねるとしても、きっとローカル列車で途中下車の旅をしそうです。

それでは。
by ZumeR (2011-06-07 22:52) 

Akira

こんばんは、ZumeRさん。

実は、その後も幾度も沿線に避暑に出掛けているのですが、後にも先にも氷河急行に乗車したのはこの時だけなんです。まぁ、いくら好きと言っても8時間の旅行を往復した訳ですから満足度も充分すぎたという訳です。でもその長時間旅行の中の食事の時間はとても重要でした。ランチプレートだとあまりに味けないですね。
by Akira (2011-06-08 02:01) 

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