SSブログ

48161 DB Gl 22 Dresden (Kuba-Imperial) / Ep.III [Maerklin-Guterwagen]

b148161.jpg

先日Shonan-Boyさんから届いた画像のもう1つである、2011年インサイダー貨車(H0)について触れたい。このモデルの詳細は、Insider-NEWS 1/2011に詳細が記されている。これを読んでみると中々興味深い事実が記されている。

b148161-2.jpg

このGl Dresden形貨車は、当時ドイツではポピュラーな有蓋貨車の1つである。ただ、この貨車の主である「Kuba-IMPERIAL」は、日本でこそ無名であるが独特な世界を持つドイツの音響メーカーの1つであった。1948年創業のこの音響メーカーは、音響そのものではなく音響家具としてのメーカーであったが故に、1972年迄続いたブランドは、今でもその名はドイツで知られているのであろう。
1950年代から60年代のドイツの高度経済成長期には、それに合わせて成長した企業ではあった。その音響家具、つまりいわゆる家具のようなオーディオ機器は日本でもこぞって国内電気メーカーが製造販売したのは、私の世代では良く知っていると思う。これら音響家具を輸送した貨車が、今年のインサイダー貨車のオリジナルということである。

b148161-3.jpg

モデルは、グレー地に社名ロゴである「Kuba-IMPERIAL」、商品である「RADIO-FERNSEHEN」などの文字がメルクリンらしい精細な印刷で記されている。また、私有貨車ではあるものの、DB所属であるためDB表記もある。Insider-NEWSの写真では、Glmrs 38 (P)の形式表記があるが、モデルはGl 22とあり、車体番号も実車画像は「568 421」に対して、モデルは「566 425 (P)」である。よってモデルの実車の存在の有無については確認できないが、敢えて実車画像と異なる形式名と車両番号を記すのは、モデルのプロトタイプとなった実車の存在は確かではないものの、あったと想像するのが自然であるように思う。

さて、Kuba社の当時のポスターがインサイダーニュースに印刷されているが、それを見るとまさに家具そのものである。日本のそれはオーディオセット、つまりレコードプレーヤーとラジオ、アンプ、スピーカーが一体化されたにすぎなく、テレビセットは木目の家具調デザインであってもオーディオとは別物であるが、Kubaのそれは、テレビも一体化され、蓋もついている。これは、国民性による嗜好の違いともいえるものであるが、日本の場合、多くの家庭がテレビセットを応接間や今の中心にデンと据え、テレビセットそのものがステータスシンボル的存在でもあったし、テレビを見る事に対してはネガティブイメージは皆無である。

しかし、今は考えにくいが、当時のドイツは、ラジオはともかくテレビを見る行為自体がインテリ層には受け入れられていなかった背景があったのは確か。これは、私がドイツに居た時も(多くはないが)そのような家庭があったので頷けるものである。それ故、Kubaのような家具として隠す事のできるテレビセットはドイツの家庭で必要であったと考えられよう。
これは、私がカールスルーエに住まいがあった1990年頃に急速に普及したケーブルテレビ網と共に、それまで公共放送3局のみの地上波テレビ放送が、ケーブルテレビを通していきなり数百局に拡大したドイツのライフスタイルの変化と重なるのかもしれない。

ただ、そのようなドイツの背景があったにせよ、いわゆる家具調と言われたテレビやオーディオは、日本同様衰退していったのは自明であるが、Kuba社の衰退は日本企業をはじめとした輸入製品の影響が少なからずあったのかも知れない。
ドイツの音響家電メーカーでもあるBRAUN社も以前はテレビも製造販売していたが、今はもうない。現在最も有名なドイツメーカーはLOEWE社であろうか。ここは高品質と優れたデザインで定評のあるメーカーであるが、価格帯としては高級の部類である。やはり一般向けのテレビは、海外メーカーがほとんどという状況なのは、将来の我が国の状況を示唆するかも知れない。

現在は、Hannoverよりやや南に位置するKuba社のあったWolfsbüttel市にMUSEUMがあり、展示された製品を見る事ができる。そんな過去に思いを馳せながらこのモデルをレイアウトに置いて見てみると、ドイツの家電やそれを取り巻くライフスタイルの変わりように感じ入ることもできるのである。
このような今や存在もない1家電メーカーの製品を紹介するミュージアムが存在したり、メルクリンからモデルがリリースされることからも、少なからずのドイツ人に愛されていたメーカーであったことが理解出来る証左でもあろう。

Special Thanks: Shonan-Boyさん

参考サイト:
Kuba-IMPERIAL / Wikipedia Deutschland
http://de.wikipedia.org/wiki/Kuba-Imperial

Kuba-Museum
http://www.kuba-museum.de/

[EDIT] 2011-11-01 08:38
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 2

Shonan-Boy

Akiraさん、こんばんは。

お送りした写真は、モデルの表記が良く見えませんでした。
先程、取り直した写真をAkiraさん宛メールしました。
by Shonan-Boy (2011-11-01 00:11) 

Akira

こんばんは、Shonann-Boyさん。

色々とお世話をお掛けします。明日にでも画像と文章を追加しようと思います。
ありがとうございます。
by Akira (2011-11-01 00:28) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0