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東京ステーションギャラリー内覧会 [Kunst]

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いよいよ東京駅の復原工事もほぼ終了し、10月1日のオープンに先駆け復原工事が完成した丸の内駅舎内の各施設が順次オープン前の内覧会を催され、東京ステーションホテルはテレビニュースなどでその様子が放映された。メディアでの宣伝効果もあってか昨日出掛けた東京駅の駅舎前は、カメラ片手の人が数多く、記念写真などを撮影してい老若男女がごったがえしていた。特に驚いたのは、おそらく戦前の旧駅舎の姿を知っていたとおぼしき年齢の女性が少なからず居たことに、この駅舎の魅力は多くの人が共有しているものと感じたのである。

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この駅舎の復原工事は、色々な反対意見も少なくなかったようで、その中でも以前からある角形屋根は戦災の象徴であるから残しておいた方が良いというような意見もあったそうである。もし戦災の象徴として残すなら、広島の原爆ドームやベルリンの教会のように、爆撃されたそのままの形で残すべきである。やはりドーム屋根に象徴される3階建てのオリジナルの美しい姿に復原された駅舎を見ると、とても豊かな気持ちになれるのは、この駅舎建築が造形的にも優れていたからに他ならない。

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駅舎中央の車寄せは皇室専用口で、車寄せと出入口だけ見れば以前と同じように見えるが、おそらく室内は他と同様復原されているのであろう。ここの前で記念撮影をしている人が多かった。

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中央から右手は東京ステーションホテルである。報道では、復原により3階部分の客室が増え収容人数も増えたそうである。最も高額なスイートルームは1泊80万円もするとか。それでも好きな人は泊るのであろう。館内には創業当時駅に貼られていた鉄道省のポスターなども飾られているとか。
この時は、開業前の内覧会のようでコンシェルジュがエントランスに立ってそれを遠巻きに眺める我々庶民という構図である。

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今回ここを訪れたのは、丸の内北口にある東京ステーションギャラリーに行くためである。この日、新しく完成したギャラリーのお披露目を兼ねた内覧会で、当ブログでも紹介したことのある友人Oozuさんがこの最初の展示作家の1人として参加されているので招待を受けたのである。内部は撮影禁止のため写真はないが、焼失し再建された3階部分から2階への階段の壁には、残存している炭化した木材構造物が見えたりするのが生々しく、当時の様子が蘇るようである。

今回の展示テーマは、「始発電車を待ちながら」というタイトルで、東京駅や鉄道をモチーフにした現代アートの作品群である。その中のOozuさんの作品は、写真とスライドによる「光のシークエンス」である。その他、数多くの興味深い作品群は、内覧会ということもあって作家の方々の話を聞きながらの作品鑑賞を通して内容の理解も出来、とても充実した時間を過ごせたのである。
普段あまり美術館とは縁のない方でも鉄道に興味があるなら、意外とすんなり美術の世界に入り込めるかも知れないという印象を持った展示作品群である。

展示会場を出たところは、丸の内北口のエントランスホール2階部分である。(上画像)そこを廻ってギャラリーショップを通って1階受付に出られるようになっている。

この復原された美しい駅舎と、東京駅らしいステーションギャラリーは、いつまでも残して欲しい数少ない貴重な文化的価値のあると改めて感じた訪問であった。

参考サイト:
東京駅丸の内駅舎保存・復原工事 / 鹿島建設
http://www.kajima.co.jp/tech/tokyo_station/index-j.html

東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

fragments / 光のシークエンス
http://www.oozu.info/blog/?p=310
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berg-montagne

Akiraさん、こんばんは。

東京駅、本当にきれいになりましたね。
戦災復旧のドームの駅舎が当たり前に思っていた世代ですので、戦前の姿はどんなものかと、懐疑心を抱いていましたが、見事にいい意味で裏切られました。
帝都東京の顔となる中央停車場の建設にかけた人々の情熱が、熱く伝わってきます。
と同時に、戦災復旧のドームも、戦後の混乱の中で、できる限り東京のシンボルを損なわないように作られていたことも、昔の姿によみがえった今から思うと、よくわかります。

復旧工事が行われる前に、東京ステーションホテルに2,3回宿泊したことがあります。鉄道ホテルも登場した少年探偵シリーズの江戸川乱歩や阿房列車の内田百閒に思いをはせながらなのですが、新しくなったホテルにも一度泊まってみたいものです。
by berg-montagne (2012-09-28 23:51) 

総統

まあ、戦前の東京駅は、今でいう丸の内中央口は、皇族関係者のみしか使用出来ない改札口であり、丸の内北口は降車(出口)専用、南口は乗車(入口)専用でした

その理由は言わなくても御理解出来ると思いますが、八重洲口なんて考えられなかった時代でした

小生にとっては、復元前の東京駅のほうが思い入れがあります

日本は『復元する』という文化がドイツに比べればまだまだな感じなので、これはこれでJR東日本が率先してそういった文化を日本に根付けさせるよいキッカケかとおもいます

気になったのですが…
復元と復原は違う意味なのでしょうか?
by 総統 (2012-09-29 00:18) 

Akira

こんばんは、コメントをありがとうございます。

> berg-montagneさん

私も生まれた時から昨日迄は、白黒の写真以外、あの戦後復旧の姿しか見たことがなかったのでそう思うのかも知れませんが、2階建てに合うようにバランスを取って左右のドームをあのような形にしたのかも知れませんね。東京ステーションホテルは、何故かあまり興味を持てなかったのですが、この復原に合わせてリニューアルした内装を見て、ちょっと泊ってみたくなりました。

> 総統さん

ドイツでは、当たり前の古い建築物を復原するのは、当時の職人の仕事を現代で新しくすることが容易ではないこと。また少なくなった職人の技術の継承という意味合いもあるのかも知れません。
今回の東京駅復原では、ようやくその価値を実際の仕事によって社会に知らしめたようにも思います。仰る通りこれがキッカケになって欲しいです。ただ、壊して新しい建物を作るよりお金は掛かるでしょうが..。

「復原」と「復元」についてですが、東京駅保存についての記述は全て「復原」の文字を使用しているので、私も踏襲しました。
違いや意味については、ご存知の方のフォローをお願いしたいです。
by Akira (2012-09-29 00:51) 

諭吉

横から失礼。 
復原と復元について・・・「現存する建造物について、後世の修理で改造された部分を原型に戻す」の意で「復原」を用いている。・・・とJR東日本は言っています。
きっと同様の質問が多数あるのでしょう。
by 諭吉 (2012-09-29 07:46) 

Akira

諭吉さん、おはようございます。

「復原」についてのご教示ありがとうございます。復原の「原」の文字は原型(原形?)から来ているのですね。初めて東京丸の内駅舎の記事を見たとき私も見慣れない熟語だったので気にはなっていました。
by Akira (2012-09-29 08:51) 

諭吉

>復原の「原」の文字は原型(原形?)から来ているのですね。
・・・か、どうかは判りませんが、
文化財関連の学術用語(建築専門用語)と思われます。
by 諭吉 (2012-09-29 09:18) 

Akira

諭吉さん、ありがとうございます。
by Akira (2012-09-29 09:42) 

klaviermusik-koba

東京駅いいですね〜。いつでもいける、と思っていて私はまだ見ていないのですがこのところろくなニュースがないので嬉しく思っています。
これも国鉄から民営化したからこそ実現したのでしょう。すばらしい。そのうちゆっくり見てきます。
by klaviermusik-koba (2012-10-04 17:59) 

Akira

kobaさん、おはようございます。

はい、とても良かったです。初めは色々あったと聞いていますが、それでも文化財としてここまで復原できたのは、様々な方面の方々の努力の賜物だと思います。やはり実物を見るとその素晴らしさが実感できます。
今はメディアで紹介されたこともあって見学者も多いですが、暫くすれば落ち着くでしょう。
by Akira (2012-10-05 08:30) 

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