SSブログ

晩秋のドイツ旅行(2) [Reise]

到着後、そそくさと入国審査場へと進み、EU域外の列へと並ぶが中々前に進めない。どうやらアフリカのどこかの国からの便の乗客の列に並んでしまったようで、1人1人の審査がとにかく長い。中にはどこかに連れて行かれる人もいる。ようやく日本人のチェックの番になると急に早くなるのは、ドイツで日本人があまり問題を起こしていないことによるものだろうと思う。

b1051.jpg

私の入国審査も1分ぐらいだっただろうか。何も質問されずすんなりと入国することができた。その後、荷物を引き取り、税関を抜けてDBの地下駅へと進む。今回は、この空港駅からREでザールブリュッケンへと行くのである。その前にネットで事前購入するはずだったジャーマンレイルパスとザールブリュッケン迄のチケットを購入しなければならない。ただ、早朝に到着したのでその列車まで2時間近くの余裕がある。まずは地下駅のDB旅行センターに行ってみるが、営業時間は6時からとのこと。そこでその近くのイートインのパン屋さんでButter Bretzelとラテ・マキャートを頂きながら時間を潰すことにする。ブレッツェルは最近東京あたりでも手に入るようであるが、私の地元にはもちろんなく、久しぶりの香ばしい味に懐かしさが込み上げてくる。

6時少し前になると旅行センター前に利用者が並び始めた。私もその後に並んで待つとすぐに職員さんがガラスの扉を開いて私達を招き入れる。ジャーマンレイルパスは、日本でネット購入手続きをしたものの、郵送するには時間が足りないというので予約番号でドイツで購入して欲しいというメールをDBから貰っていた。そのメールを見せるとすぐに対応してくれ3日間のレイルパスを手に入れることができた。このようなことも今回初めての経験だったので、柔軟なDBの対応に感心させられた。ドイツ滞在6日間のうち最初の2日と最後の1日はICEなどでの長距離移動をしないので、ザールブリュッケンの先にあるDilingenという駅までの片道切符を購入し、支払もここで済ませた。

b5693.jpg
▲ V.Rotの111形機関車正面に描かれている「PUTZ MICH」(私を掃除して)というのは、中々のセンスである。スプレーで描かれている訳でもないので、こういうイタズラは結構好き。

b5694.jpg
▲ 反対側の111形はバイエルン塗装機。確かROCOで製品化されていたような。

b5697.jpg

さて、乗車するREが来る迄の間空港地下駅で列車を眺めることにした。(上画像)420形のS-Bahnが多く行き来するの中でも、時折機関車牽引の列車や気動車も到着する。大好きな111形を両端に挟んだModus客車列車や143形牽引の2階建て客車列車など見ていて飽きないのは、多分私だけだろうと思う。
111形に挟まれたModus客車は、私が居たPFA社でDRの客車から改造された車両である。今回初めて外から室内を眺めてみたが、最初にDBに提案したPUmA車両のインテリアとほとんど変わらず、少しばかり試作車のデザインにも関わった私としては、懐かしさと嬉しさが込み上げて来たのである。

そうこうしていると時間が経つのは早いもので、乗車する気動車の612形Regio Swingerがやってきた。早速乗車すると車内の人影はまばら。空港駅で私も含めて数人が乗車したが、それでも乗車率は3割程度か。向かい合わせのテーブル席には座れなかったが、進行方向向きのシートに腰を下ろして、これから2時間余りの列車の旅が始まった。初めて乗車した612形は、外観はあまり好みの造形ではないが、インテリアは木目と金属の組み合わせが程良いバランスで、シンプルかつ質感の高いもの。これなら長距離旅行でも快適な旅が出来ると好感を持った。

b4820.jpg

列車が空港駅を出発して暫くすると、地上に出て朝の景色が広がる。フランクフルトの郊外からすぐに広々とした車窓風景に変わる。この景色はどこであれドイツらしい。暫く走るとRüsselsheimに到着する。この街は自動車会社オペルの本社工場がある街である。私が初めてドイツに来た1986年の学生時代にここの児玉デザイナーを訪ねてツアーで訪れたことのある思い出の地であるが、この時はバスだったので、駅や列車からの風景は全く初めてである。Rüsselsheim駅を発車すると暫くオペルの工場敷地に沿って列車は走る。

b0254.jpg

その後、Mainz、Bad Münster a Steinなどを走る。この辺りからは非電化区間となり、612形の本領発揮であるが、さほど速度が出ていないので振り子機能はあまり意味がないようにも思う。車窓の景色は次第に美しさが増し、山々には黄色に色づいた木々は輝き、時にワイン用のぶどうの収穫をする風景を目にしながら、また山間を縫うように天然の鉱物の産地であるIdar-Obersteinを通って、列車は終着駅のザールブリュッケン中央駅を目指す。
途中の駅では様々な種類の貨車や入換用機関車があり、画像の294形(V90形)にも遭遇すると、ついメルクリンモデルでも欲しくなってくるのはいつもの(悪い?)クセである。

この列車の終着駅ザールブリュッケン中央駅に到着し、荷物を引きずってホームに降りると息子が迎えに来てくれていた。

続く
nice!(7)  コメント(14)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

nice! 7

コメント 14

hikari

Akiraさん、どうもです。

111 216-8は楽しい写真が撮れましたね。

ところで、メルクリンの37905を買われるのですか?
by hikari (2012-11-08 23:33) 

Akira

hikariさん、どうも。

V90ほしいですね〜。でも今は買えません。
by Akira (2012-11-08 23:44) 

Bemo

Akiraさん、お久しぶりです。

 秋のドイツ旅行(Herbst Reise?)、非常にうらやましいです。
 
by Bemo (2012-11-09 00:23) 

Akira

Bemoさん、おはようございます。

はい、突然のドイツ旅行になってしまったのであまり計画は練れていなかったのですが、乗り鉄目的だけは充分に果たせました♪
by Akira (2012-11-09 08:15) 

Berliner

フランクフルトからザールブリュッケンへ向かうのにそういうルートもあったんですね。ライン地方のことはよくわかっていませんでした。ザールブリュッケンというとマンハイムから行くルートしか思いつきませんでした。あちらはベルリンの周辺と違って路線がまさに網状になっていますから、こちらとは異質な感じがします。たぶん向こうから見るとベルリン周辺の放射状の路線は異質なんでしょうね。ラインラントとプロイセンの違いにも喩えられるかもしれません。
Regio Swinger、ベルリンでは見かけませんが、今度Sachsen-Franken-Magistraleでお目にかかれそうです。IREにも乗るのでNeigetechnikの威力を感じられるかもしれません。
by Berliner (2012-11-09 08:34) 

Akira

Berlinerさん、こんにちは。

フランクフルトからザールブリュッケンは、中央駅からならパリ行きのICEやTGVの直通列車が出ていますが本数が少なく、空港駅からはREが唯一の乗換えなしの直通列車です。ICEやICを使うルートにするとマンハイムで必ず乗換えが必要で、到達時間も大して変わらず、遅れが常態化しているDBでは乗換えのリスクを感じました。また、REは特別料金も不要ですしね。乗ってみたかったというのもありました。

ベルリンは大都会ですから環状Sバーンや、U-Bahn、バス、トラムとの連携など、別の魅力も沢山あります。
振り子機能を使ってのスピードアップは、車両だけではなく路線改良も必要なようで、ザーブリュッケン迄の路線では、このあたりが出来ていないのではとも考えられます。
by Akira (2012-11-09 09:56) 

Gut

いいですねぇ、ドイツ旅行。
Akiraさんの記事で私も少しその雰囲気に浸れそうです。
続き、楽しみにしてますよ。
by Gut (2012-11-09 12:25) 

Akira

Gutさん、こんにちは。

拙い旅行記ですが、お読み頂けて嬉しいです。
by Akira (2012-11-09 12:46) 

klaviermusik-koba

楽しく読ませてもらいました。バイエルン塗装の111型、まだ健在ですね。143もまだまだ。DBはいいものを作ってしっかりもっていますね。最近の日本のように早く陳腐化させてリサイクルする、というのも一つの考え方ではあるのでしょうが、私にはどちらがいいのかよくわかりません。
by klaviermusik-koba (2012-11-09 17:05) 

Akira

こんばんは、kobaさん。

お読み頂きありがとうございます。111形もそろそろお役御免が出て来ているようですが、そのほとんどはまだまだ現役です。フランクフルトには、そう多くは来ないでしょうが、ミュンヘンではより多く見られると思います。そうは言ってもTRAXXなど新しい制式?電気機関車もどんどん入って来ていますし、だんだんと活躍の場が少なくなるのでしょう。
by Akira (2012-11-09 18:23) 

Atapi

Akiraさん,大変楽しく見せていただいております.
一つお聞きしたいのですが,写真の143型機関車ですが,ナンバーが143 919となっております.少し前までは143 919-3(適当ですが)という風になっていた気がしたのですが,変わりつつあるのでしょうか?メルクリンの143型の今年のモデルもそうなっているし,不思議に思い,お聞きしました.もしご存知でしたら教えてください.
by Atapi (2012-11-09 22:18) 

Akira

こんばんは、Atapiさん。

機関車の形式表記ですが、実は私も先程撮影した画像を確認していたらそのことに気づきました。形式表記はUICの規格なのですが、おそらくEp.VからVIに変更となった際に表記も変更されたのだと思われます。最後の1桁はチェックデジット(読取った数字が正しいかどうかを判断する数字)なので、精度の向上でその必要性がなくなったのかも知れません。
by Akira (2012-11-09 23:04) 

Berliner

Sachsen-Franken-MagistraleのBR612振子列車の走りについてブログに書きました。ご笑覧頂ければ幸い。
かなり熱い走りでした!
車両だけではなく路線改良がポイントですね。釈迦に説法かもしれませんが、この路線がまさに改良された路線でした。
612型はICE-TDに比べて「骨太」なんでしょうか。あの路線にICEを投入したら壊れるのも無理はないかも、と思ってしまいました。
by Berliner (2012-11-14 08:37) 

Akira

こんにちは、Berlinerさん。

612形の振子走行を堪能されたようですね。ブログ記事からその様子が読取れました。この路線を私はまだ体験していませんが、610形が走るニュルンベルクとヴァイデンは、昔良く乗っていたので、この気動車の走りの素晴らし(怖)さは良く知っています。とにかく最高時速160Km/hのトップスピードのままカーブに突入するのは、大げさに言えばジェットコースターに乗ったような気分になります。車内に居るとカーブを走る度に車窓風景が上下に変わるので、振子具合が良くわかります。今回の旅行でもニュルンベルクとヴァイデンを往復しましたが帰路に初めて612形でもこの感覚を味わえました。

ICE-TDは、この路線を主要なターゲットとして開発されたのですが、とにかく不運でした。トラブルについての詳細は以下RiGのページありますのでご参照ください。
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-ice-td.htm
by Akira (2012-11-14 09:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0