4084 DB DDm 915 / Ep.IV [Maerklin-Reisezugwagen]
27cm客車モデルをまとめ始めると、過去当ブログに記していながら、その記事を忘れてしまったり、その逆もあったりで、記憶の苦手な私は改めて過去を振り返る必要性を感じています。
今回は、ブログに載せることを今まですっかり忘れてしまったモデルの一つである、車運客車DDm(4084)を紹介します。
このモデルは、画像を見てもわかるように、見た目は客車のイメージとはかけ離れていて、私も初めてこのモデルを見たときは貨車の範疇にある車両だと思っていました。
ところが、実際はこの車両はれっきとした客車に分類されていることが、ドイツのブレーメンに滞在中、中央駅構内で見かけたこの車両の姿とその運用の仕方を知り、更に大学の自主?課題「Bord Garage」プロジェクトで調査していたドイツの自動車輸送車両で確認するに至りました。
つまり、当時から西ドイツを始めヨーロッパでは休暇旅行などで遠方に行く際、目的地近くまでマイカーと共に列車を利用し、現地ではマイカーを使って旅行を楽しむことは、ごく当たり前のスタイルの一つであることがわかります。今でもそのような列車は季節列車として夏のバカンスシーズンを中心にAZ(Autozug)として走っています。数年前にハンブルク・アルトナ駅でイタリア方面へ向かうこのAZ列車の車載風景を当ブログでも記しました。日本でも一時期このような列車が試行されましたが、車載行程の難しさなど、あまり長くは続きませんでした。
さて、このメルクリンの客車としての車載車H0モデルですが、27cm客車が登場して間もなくの1975年から1994年迄20年間リリースされていました。1994年からはクローズカプラーに変わって2002年迄の13年間リリースされたので合計33年間の長きに渡って生産されたロングセラーモデルです。更に1975年にはミニカーを8台載せた仕様(4074)も13年に渡ってリリースされていました。
当時は最新のTEN(Trans Europ Nacht)プール仕様のWLABmz 166形T2S寝台客車(4150や4155)もリリースされ、簡易寝台車は窓割が異なるけれどもイメージ的には近いタルキス色のUIC-X客車を利用して、この車運車を数両繋げることでそれらしい編成を作ることが出来ました。
上画像は、車端部です。この車両が当時の2等客車と同じ濃緑色(Chromoxidgrün)であることからも客車の範疇にあることは理解できます。一方メーカーから新車などを運搬する車載貨車(Laaes 541)は形状も異なり貨車標準色の茶色で塗装されています。DDm 915形の実車は時代に合わせてタルキスカラーに合わせたOzeanblau色(4234)、Fernblau(IRブルー)(4233)、そして現在のV.Rot(42341)と変遷していて、メルクリンモデルでもこれら全ての塗装色とÖBB仕様(42342)がリリースされています。
カプラーはレレックスカプラーでリリースされていますが、クローズカプラー(KKK)に交換しています。
台車は他の客車と同様の性能を保つため、同様のMD台車を履いています。(モデルは車軸発電機付きです)
車体の左よりに印刷されたDBマークは控えめです。
車体表記も客車と同様です。形式は「DDm 915」、その上にUIC番号である、「51 80 98-40 001-4」と表記しています。実車では最後のチェックデジット番号には下線がないように思います。
REV表記は1969年3月19日です。REV表記の右側には制動システムについての表記があります。クノール社製のブレーキが装備されている表記が確認できます。
RICラスターは、さすがに長距離を走る車両だけあって、航送許可はもちろんギリシャ(GR)まで入線許可されています。ここで初めて見たのが「Hg160」という表記です。これは未確認ですが、最高速度許可(Hochgeschwindigkeit)が160Km/hであることが想像できます。1960年代末では、他の客車もこのような表記だったのかも知れません。
妻部を正面から見たところです。尾灯はダミーで色差しがしてあります。渡り板は畳んだ状態で可動しません。
折角の車運車なのだから手元にあるヘルパのH0自動車モデルを積載してみたのが上画像です。本来は上下段5台づつ積載可能なのですが、ショートスケールのため、4台づつ積載しています。(80年代のVW Coradoが載っているのでモデルの時代には合わないと思うかもしれませんが、80年代後半にはまだこの濃緑色に塗装されたDDmもありました)
さて、今後このDDm 915形の282mmモデルがリリースされるかどうかは不明ですが、昨今の素晴らしいディテールを持った金属製貨車を見ると、金属製で可動式渡り板、尾灯のLED点灯準備などを期待してしまいますが、価格もそれに合わせて高額になりそうです。それ以上に、この車運車モデルと編成を組むUIC-Xの簡易寝台車であるBcm 243形やUIC-UのWLABmh 173~175形寝台車、更にはEp.VI仕様であるV.Rot色の簡易寝台車やBistro車、更には最新のWLABmz 173.1形寝台車も欲しくなってしまいます。282mm客車は徐々にリリースされてゆけば良いでしょうが、取り敢えずUIC-X簡易寝台車とUIC-U寝台車のリリースがバリエーションも多いので期待したいところです。
鉄道とクルマを組み合わせる車両は見ていても楽しく、クルマを載せ替えたりできるので是非もう数両増備して70年代の夜行列車を実現させたいものです。
参考文献:
KOLL’S PREIS-KATALOG 00/H0 2/05
DDm 915 Taschenbuch Deutsche Reisezugwagen
日本ではいろいろ試みはあったもののなぜかAutozugは定着しませんでした。いつも渋滞する高速道路があるので、もっと使い勝手が良ければ私も利用したいのですが、どうも利用者の立場をあんまり考えてくれていないようです。日本では駅レンタカーの方が遥かに使い易く、安上がりでもある。
by klaviermusik-koba (2015-06-01 20:57)
kobaさん、こんばんは。
はい、その通りですね。日本とドイツの違いは、島国か大陸かの地勢的な違いが大きいのだと思います。Autozugはハンブルクから南イタリアなどかなりの長距離を走るのでクルマ移動は結構キツイはずです。最近はLCCなど航空機もリーズナブルになって、また休暇用には旅行会社がLast Minute(最後の時間)と称して格安のツアーを売り出しているのでいつ迄も安泰かどうかはわかりません。ただ、クルマ一杯に荷物を積んで家族で旅行するのは1年で最も大切にする彼らのプライベートな時間として外せない選択肢の一つではないかとも思えます。
日本の場合はもう少し研究してから実用化した方が良かったかもしれません。
by Akira (2015-06-02 20:10)
こんにちは。
先ほどはご訪問有り難うございましたm(__)m
詳しい解説、勉強になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
by JR浜松 (2018-05-20 13:17)
JR浜松さん、
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
by Akira (2018-05-31 11:54)