Archives: Bauhaus展 [デザイン]
今年は、1919年、ワイマール共和国となったドイツのワイマールに国立建築工芸学校バウハウスが創立して100周年を迎え、ドイツをはじめ世界中でバウハウス関連の展示が行われています。
日本でもゲーテ・インスティチュートなどによる催しが幾つかありますが、今回東京銀座にあるMUJI銀座で表題の「Archives: Bauhaus展」が開催中なので行ってきました。
MUJIは今や欧州、ドイツでも評価され主要都市に店舗を展開するほどですが、銀座店はフラッグシップ店舗として建物すべてがMUJIです。東京青山に初めて店舗ができたときは話題になり、当時大学生だった私も良く出かけたものです。
この建物にはMUJIで扱うほとんどすべての商品のほか、レストランやイートインできるベーカリーなど食事もできます。お昼時だったので1階は大混雑でした。そして6階から上はMUJI HOTELと称するホテルになっています。Bauhaus展は、ここの6階ホテルフロントのフロアにATELIER MUJI GINZAなるちょっとした展示スペースを使っています。展示を目的に行きたい場合は、大混雑している表口ではなく画像のホテル専用裏側入口から入るのが良いです。
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フロア全体の写真は撮りませんでしたが、MUJIのコンセプトに沿った空間で居心地が良さそうです。しかし、この展示に関しては...ハッキリ言えば、期待に反してショボかったです。
Bauhausと言えば、まずは、グロピウスによるデッサウ校舎に代表されるモダン建築をイメージすることが多いですが、この学校は建築を頂点とした工芸(プロダクト)や、絵画、彫刻、染織、舞台芸術、写真、グラフィック、タイポグラフィなど、今のデザイン領域のほぼ全てを網羅した学校です。
ここでの展示は、写真、プロダクトの1部のみに絞った作品展示に留まっていたので、展示作品は少なく、拍子抜けしました。しかし、閲覧している者は、土曜日のお昼時というのに私だけ..と言う贅沢さで、別の意味では良かったです。
画像は、ワシリーチェアで有名なマルセルブロイヤーの合板を使った椅子です。彼は最初バウハウスの学生として入学し、卒業後はバウハウスの工房に残り、亡命後の北米で建築家として活躍します。この椅子は初めて見ました。
Bauhaus Lampで有名なバウハウスの学生だったW. Wagenfeldのデザインした椅子です。当時新しい材料として注目された鉄(パイプ)を使っています。
Wagenfeldのデザインした茶漉しとガラス製のキャニスターです。この時代こうしたハウスウエアは、建築家が自らの設計した建築に合わせた家具、照明に続いてデザインを始めたところから、汎用性のあるインダストリアルデザインへと向かう始まりとも言えます。どちらも今現在あってもおかしくない美しく使いやすそうなプロダクトです。
これもWagenfeldのデザインしたWMF社のハウスウエアです。WMFの主要製品であるカトラリー以外でも、こうした、食卓のアイテムはコーディネートを意識したデザインでまとめられ、シンプルで使いやすく美しいプロダクトとして今もなお生産が続けられています。
但し、これらWMF社の製品群は1959年に商品化されたので、Bauhausでデザインされたものではおそらくないと思われます。
この塩胡椒入れのデザインを見て気づいたメルクリンファンもいるでしょう。メルクリンH0貨車モデル(48110)の広告モチーフになっています。
これらもWagenfeldのデザインしたガラス製品と磁器製品です。他には、撮影禁止のタスクライトや写真作品がありましたが、作品数が少ないのはやはり残念。
また、バウハウスの作品と同じテーブルにMUJIの自社製品を並べて置かれていたのは、いくら自社の目指すデザインが同じで、かつ自社での展示とは言え、そこは抑えるべきであったと思います。もちろんそれらは撮影などしませんでした。
ただ、今回の展示は、少ないながらも初めて見た美しくバウハウスらしい製品ばかりだったので、私としては残念な中に久しぶりに豊かな気持ちになっていた自身に気づいていました。
その展示コーナーの近くに、ホテルのラウンジ機能を兼ねた居心地の良さそうなカフェがあり、そこにある本棚が目に入りました。この企画に合わせてなのかこの本棚にはバウハウス関連本が豊富にあり、次来る機会があれば、ここでバウハウスの本を読むために来たいと思いました。
*展示作品の画像は許可をもらって撮影しました。
参考:
Archives: Bauhaus展 / ATELIER MUJI GINZA
Wagenfeld / WMF
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