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30 Jahre Mauerfall Grenzübergang Probstzella [欧州鉄道]

ヨーロッパと言えば、とかく華やかな側面ばかりのイメージが日本では先行し、それはそれで魅力的で憧れの場所ではあると思います。一方ドイツでは先日11月11日にベルリンの壁が崩壊して30周年を迎えました。壁の崩壊は世界の歴史に残る画期的で歓迎すべき出来事でしたが、その後の光と陰の30年をテーマにテレビでも報道されていました。

鉄道についても、この壁の崩壊、そしてドイツ統一をきっかけにDBとDR統合が喫緊の課題となりましたが、ドイツ統一と同時に鉄道統一はならず、1994年の民営化と同時にドイツ鉄道(Deutsche Bahn AG)に組み込まれるまでDB(Deutsche Bundesbahn)とは別事業体として運営されていました。
ドイツ敗戦により連合国との戦争が終結して以来、ソ連管轄区域は東ドイツ(DDR)となり、建前上は一つのドイツでありながらも実質2カ国状態がドイツ統一まで続きましたが、壁の崩壊までは東西ドイツは人やモノの出入りが自由にできない状態が続いていたことはご存知の通りです。

その中で東西ドイツ、特に西ベルリンへの鉄道移動はInterzonenzugと呼ばれる列車が西ドイツ各地から昼行夜行を含めて何本か走っていました。その路線の1つであるミュンヘン - ベルリンを結ぶ路線の国境駅であるProbstzella駅の様子を冷戦時代に記録した映像が以下にリンクしました。

30 Jahre Mauerfall Grenzübergang Probstzella

この映像を見て思い出したのは1988年に語学学校のルームメイトの友人と2人でドレスデン旅行した帰りの列車の出来事です。

ドレスデン(ノイシュタット駅)を定刻発車したInterzonenzug列車が国境駅に停車すると、映像と同じように国境警備員が乗り込んできて切符とパスポートチェックを行い列車外では警備犬のシェパードを連れた警備員が車外のチェックを丹念に行なっていました。DDR(東独)や東側諸国からの亡命者を取り締まるのが目的ですが、このチェックのための停車時間は結構長時間で、乗客は皆静か..というよりおしゃべりなど出来ない雰囲気で、例外なく皆寡黙な状態でした。何よりマシンガンを肩に掛けた警備員やら何やらの厳重な様子に車内の空気は明らかに張り詰めていて、こうした雰囲気は冷戦時ならではの体験でした。

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▲ このドレスデン行き旅行のために東ベルリンの国営旅行社で発給された旅行ビザ

そしてチェックがようやく終わり列車は出発。国境を過ぎてしばらくすると、DBの車掌さんが明るい笑顔で「Herzlich Willkommen in Bundesrepublik Deutschland!」(西ドイツへようこそ!)と言いながら車内を回ってきました。車外のどんよりした空が、なぜか西側に入ると晴れ上がって青空になってきたのは偶然でしょうけど、この時の車内の張り詰めた空気もこの青空と車掌さんの明るい声で一気に緩んでホッとしたのは、もう味わうことはないでしょう。今思えば貴重な経験をしたと思います。
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