第6回 鉄道技術展 [日本の鉄道]
今年も先週11/27から3日間、千葉の幕張メッセで「鉄道技術展」が行われました。この催しは、2年に一度、ちょうどドイツ・ベルリンで行われるイノトランスと毎年交互に行われる形で、今年は第6回目でした。
「移動」の概念がMaaSに代表されるように大きな変革のうねりの中での開催となった今回ですが、出展者数は過去最大数となり、ホールもHALL 5からHALL 8までの4つの会場が使われています。(第1回がHALL 7のみの会場規模でしたから大きな成長です)また、海外企業も数多く出展されたのが今回の特徴でしょうか。その海外企業はEUから集合パビリオンが前回に続き出展。限られたコマに欧州企業がひしめき合っている印象すらあります。これもEUと日本にEPAが締結されたことで、日本への輸出ハードルが低くなったことも一因かも知れません。
▲ EU集合パビリオン
また、今回初めてスイスパビリオンが出展し、スイスらしさがパビリオンから窺えました。その1つの特徴が、モンディーン社の鉄道時計が飾られていたこと。またKATOの車両とシステムを使ったRhBレイアウトがスイスらしさを醸し出していました。
また、前回も出展していたスイスのMATISSA社、今回スイスパビリオンに集約されて、より大きな敷地で展示していました。
▲ このMATISSA社のマルタイモデルは同社社長自ら製作したそうです。
スイス企業は、日本でレール削正車両でお馴染みのスペノ社のブースは初回から独自のブースを出していて1/20モデルが展示されていました。(ブース内は撮影禁止で画像はないです)
スペノ社の向かい側には、オーストリアに本拠地を置く日本プラッサー社のブースがありました。ここのブースでは、以前ViesmannのH0マルタイモデルがメルクリンの3線式レールの上を走っていたのですが、今回はGreenMaxのNゲージレイアウトが展示されていました。
国内企業でもNゲージレイアウトを出展している企業がありました。以下の画像は古河電工のブースにあった新幹線モデルの走るレイアウトです。
今回の出展企業は過去最大数と記しましたが、一方で国内車両メーカーの出展は、J-TREC、日本車輌などに留まり、以前は大きなブースを構えていた川崎重工や近畿車輛の出展がなくなり、御三家と呼ばれるドイツのSIEMENSやボンバルディア、フランスのアルストムも、さらには中国中車や日立製作所のブースもないのは寂しい限りでした。
この鉄道技術展が始まった当初、国内大手車両メーカーでは今回展示ブースのない川重と近車のみの出展だったことと比べると大きな変わりようとも言えます。
J-TRECでは同社の主力商品であるSUSTINAの進化形(窓枠とシル・ヘッダがなくなりました)が出展していて、確実な技術の進歩を感じました。
ここで異彩を放っていたのがGK-Designグループの出展で、同社がデザインを手掛けた近鉄特急「ひのとり」のエクステリアモデルとシートのモックアップ、そして宇都宮ライトレールの車両モデルがひときわ華やかさを醸し出していました。
また、日本車輌ブースでは、新幹線N700Sのグリーン車モックアップを展示し、実際に座ることができました。
今回3日間幕張メッセに通って、日本の鉄道業界の裾野の広さを実感したのですが、一方で将来の進むべき「移動」へのアプローチがちょっと見えづらい感じも否めませんでした。もう少し将来の「移動」を肌で感じる提案やビジョンも欲しかったと感じました。
▲ RDEでは第1部に「デザインとエンジニアリング」をテーマに講演が行われました。
28日には鉄道デザイナーが一堂に集まるRDE(Railway Designers Evening)の講演と交流会に参加しましたが、旧知の皆さんと再会することや意見交換、車両メーカー各社のインハウスデザイナーによる3分間のプレゼンも見ることができて、少しばかり消化不良だった出展ブースの隙間を埋めてくれたような形になって、鉄道デザインがますます存在感を増してきたことを実感したRDEになりました。
*過去の鉄道技術展記事は「MITJ」タグをクリックすれば検索できます。(第5回記事はありません)
[EDIT] 2019-12-04
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