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BR 03.10のまとめ [Maerklin-Lok]

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昨日のF-Zug "Hans Sachs"の編成表データを見つけた際に、終焉間際の03.10形機関車が最後の数年間F-Zugの先頭に立って活躍していることを確認して思わず編成表を改めて作ってしまいましたが、メルクリンH0からもこの1960年代の最後の仕様(03 1001)がリリースされて10年経ちました。
それまでのメルクリンH0の03.10形モデルと言えば、戦前の流線型ボディを纏ったオリジナルの姿か、03形の車体をそのまま流用した、戦後時代のちょっと違う形態をした03.10形もどきモデルが鉄青色でリリースされています。
03.10形の実車は、01.10形同様、03形とは全く異なる姿や背景で生まれ、異なる歩みを進みながら終焉に至ったことをここで記す意味があるように思い、まとめページを記すことにしました。

[実車について]
03.10形は、01.10形と良く比較対象にされるように、その形態が流線形ボディを持っていることだけではなく、その計画が第2次大戦直前ということもあって、生産計画と実際に生産された両数に大きな違いが出ています。それは140両の計画に対して実際は60両の製造に留まったことからも理解できます。

製造メーカーは、01.10形のL. Schwarzkopf社1社に対して、03.10形はBorsig、Krupp、Krauss-Maffeiの3社で、1939年から41年にかけて製造されました。それは以下の通りです。なお、メルクリンの1971年版カタログの説明文では、BorsigとKrupp社製は赤錆色に塗装され、また動輪部分が完全に覆われているタイプと露出したタイプの流線形ボディの両方があると記されています。

03 1001–1022
03 1043–1060
03 1073–1092

戦後は、45機残存してた03.10形のうち、26両が西ドイツのDBに、19両が東ドイツのDRにとどまり、残った機関車は、ポーランドのPKPにReihe Pm3として分けられることになりました。1944年に03 1092が戦時被災のため廃車となっています。また、3機がソビエトに渡っています。
これは全機西ドイツのDBに留まった01.10形と大きく異なる点です。

● 戦後DR所属機
DRでは、1957年に03 1077と03 1088が高性能ボイラに載せ換える工事を行い、残っている他のすべての16両の機関車については、1959年に新しい高性能ボイラ39Eの取り付けに加え、さらに経済的にするために、他の機構も変更されました。

1965年から、すべての新型ボイラに改造された03.10形は、(03 1057を除いて)主な重油燃焼式に改造されました。 1966年には、03 1077と03 1088のボイラも、重油燃焼式の同時設置で再改造されました。 1970年代の終わりに引退するまで、月間22,000 kmまでの走行距離を誇った3気筒の高速機関車は、DRの最高種別を牽引する列車の先頭に立ちました。

DRの19両の機関車は、車体番号は以下の通りです。
03 1010、1019、1020、1046、1048、1057、1058、1059、1074、1075、1077、1078、1079、1080、1085、1087、1088、1089、1090

● 戦後DB所属機
戦後DBでは、流線形のボディのメンテンス性の悪さが01.10形同様指摘され、1949年から50年にかけてKasselのHenschel社にてDBに帰属した26両の03.10形の流線形外板が早々に外され、標準型ボイラの姿にヴィッテ式デフを取り付けられてました。これら改造を受けた03.10形は、 Dortmund、Ludwigshafen am Rhein、Offenburgの3カ所に所属され運用されました。
1950年6月にBw Dortmund Bbf(ドルトムント駅機関区)所属の03 1014、03 1022、03 1043の3機は特別仕様としてキャブ、テンダー、ボイラをStahlblau(鉄青)色に塗装され、主にF-Zugを牽引する仕業に就いています。 しかし、1954年の全検時にはこの3機の特別な塗装は再び元の状態に戻りました。

1957年から1961年までKrupp社にて41形機関車と共に同じ高性能ボイラへの換装工事が行われました。
1958年には、26機全ての03.10形の高性能ボイラ換装工事が終了し、全機Bw Hagen-Eckesey(ハーゲン・エッケセイ機関区)所属になりました。(メルクリンH0でリリースされた1001号機はBw Hagen-Eckeseyで、1962年から数年間Hagen Hbf- Köln HbfでF-Zug "Hans Sachs"などの優等列車の牽引にも就いたと思われます。)
01.10形の多くが重油燃焼式に改造されたのに対して、03.10形はDB帰属の全機が石炭燃焼式のままで、DR帰属の03.10形が全機重油燃焼式に改造されている違いは興味深いです。

DBの機関車車体番号は以下の通りです。
03 1001、1004、1008、1009、1011-1014、1016、1017、1021、1022、1043、1045、1049-1051、1054-1056、1060、1073、1076、1081、1082、1084

1965年11月から1966年9月までの間に、03.10形のすべての機関車は引退し、廃車となりました。また、現在03.10形の保存機関車は以下3両が確認できています。(戦後ポーランド(PKP)に帰属した1015号機は、Pm3に形式変更され流線形ボディのまま下回りを剥がされて保存されているようです)

03 1010 → DR → DB Museum Nürnberg
03 1015 → PKP → Pm3-5 Warschaw (mit Stromlinienverkleidung)
03 1090 → DR → als 030090-5 MEFS Schwerin


[モデルについて]
形態的には、戦前戦中の流線型ボディを纏ったオリジナルの姿、戦後流線型ボディを外された姿、そして新型ボイラを乗せ替えられて新たな役割を果たした姿の3つの時代(仕様)に分けられると思います。同じ車体番号でも3つの異なる形態の時代があることも01.10形と同じ歩みをしています。

--- Ep.II ---
メルクリンH0では、大まかに戦前(Ep.II)の流線形ボディの姿、なんちゃって仕様のモデルではありますが、戦後の鉄青色塗装(Ep.IIIa)の3機、そして高性能ボイラに改造された最終形態(Ep.IIIb)の3種類に分類されると理解しやすいと思います。

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▲ 1971年の日本語版総合カタログ

1970年に黒色流線形モデル(3094)が登場以来、翌年に赤錆色モデル(3089)が登場。その後10種近くの流線形ボディのモデルが様々な仕様でリリースされています。

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▲ MHIから限定販売した鉄青色モデルのパンフレット

--- Ep.IIIa ---
戦後、流線形ボディを外し、高性能ボイラ改造を行う前までの新開発モデルは、残念ながらありませんが、F-Zug用の鉄青色に塗装された03形車体を流用したモデルが、実車と同じ3機とも製品化されています。ただし、廉価版のHOBBYシリーズモデル(3097)やスタートセット(29845)、また2台セットの1台(37955-01)としてのリリースなど、いずれも廉価で販売されたモデルにしたのは、正しい仕様ではないためと考えられます。また、限定で高性能ボイラ化したモデル(37961)も鉄青色で登場していますが、こちらも実際にはないもどきモデルです。

余談ながら、1960年の総合カタログに01形モデルをベースにした鉄青色の03.10形モデルがリリース予定になったらしい痕跡を当ブログで記事にしています。メルクリンは鉄青色の03.10形に拘りを持っていることは、これまでの記述からも理解できますが、一方で新開発まではしていないところも興味深いです。

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▲ 新開発の高性能ボイラ搭載モデルは、2010年の新製品パンフレット(DI版)の表紙を飾りました

--- Ep.IIIb ---
2010年には、インサイダーモデルとして高性能ボイラを搭載したモデルが登場しましたが、2020年現在までに1001号機モデル(37915)と1012号機モデル(37918)の2機のみリリースされているに過ぎません。静態保存として現存している同機はDBに帰属した03.10が全機解体されてしまったのに対して、DRやポーランドに渡った3機のみというところが模型化の実現を妨げているのかも知れません。

上記の3つの形態(仕様)を時代ごとに(若干のズレはありますが)Ep.IIからEp.IIIa、Ep.IIIbとして分類しながらメルクリンH0のラインナップが紹介できれば、03.10形の理解も進むのではないかと思います。


Ep.II (mit Stromlinienverkleidung 1939 -1949)
33912 DRG 03 1004 (Grün)
37912-01 DRG 03 1007 (Schwarz)
37912-02 DRG 03 1009 (Rot)
33911/37911 DRG 03 1012 (Rot)
3489/3789 DRG 03 1049 (Stahlblau)
3094 DRG 03 1051 (Schwarz)
3089 DRG 03 1055 (Rot)
3391/3791 DRG 03 1056 (Dunkel Grau)
33913/37913 No.2002 (Hell Grau)


Ep.IIIa (mit und ohne Stromlinienverkleidung 1949-1958)
37914 USATC 03 1004 (Schwarz)
37955-01 DB 03 1014 (Stahlblau)
29845 DB 03 1022 (Stahlblau)
37916 DB 03 1022 (Stahlblau)
3097 DB 03 1043 (Stahlblau)


Ep.IIIb (mit neuer Kessel 1958-1966)
37915 DB 03 1001
37918 DB 03 1012

- - - - -
[Zugbildung]

F9 Rheingold-Expreß 1953


参考サイト:
DR-Baureihe 03.10 / Wikipedia ドイツ
BR 03.10 / Dampflokomotive.de
Schnellzuglokomotive 03 1090 / Eisenbahn-Museumfahrzeuge
DR-Baureihe 03.10 / Modellbau Wiki

Special Thanks: HUHさん

[EDIT] 2020-08-26
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KDB

お早うございます。
流線形03-10の製品、3089、3094は発売当時ユニークな製品で注目でした。ただ、足回りを見ると動輪径、軸間距離が明らかに小さく(流線形カバーで目立たちませんでしたが)、動輪間の連動ギアーも無くなり首をかしげたものです。だがそのあと18-4が発売され、その足回りを見て納得しました。18-4の製品化を予定していたんですね。後年、03の足回りを活用した、正しい動輪径、軸間距離の3391等が登場して気に入ったのですが、モタモタして購入しないうちに、流線形03-10は絶版になってしまいました。
by KDB (2020-05-26 08:44) 

Akira

KDBさん、おはようございます。

コメントありがとうございます。幼少だった当時の私にとって、3089や3094は、蒸気機関車モデルの魅力だったシリンダー周りが全てカバーで覆われていたことや歴史的背景を知らなかった戦前戦中時代からDBマークのない流線形モデルは興味の外側でした。改めて1971年版の該当ページを見直したところ、3089の説明にある実車記述は、もしかして翻訳者の篠原氏が自身の知識で記したものかと思ってしまいました。独語版や英語版がないので確認はできませんが、文体が篠原氏らしい記述に見えました。

確かに当時は03形モデルもまだリリースされていませんでしたし、18.4形も以降なのですね。この時代の大らかさが理解できます。
by Akira (2020-05-26 09:09) 

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