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TEE2.0とTEEN [欧州鉄道]

Logo_TEE2.0_ol.jpg
▲ TEE2.0/TEENロゴは、過去のTEE/TENロゴをリスペクトして想像で作ってみました。


一昨日あたりから、ドイツのニュースに「TEE復活」のニュースが出てきて、このTEEという名前に釣られて心ときめいている私も含めた鉄道ファンの間でも話題になっています。
そのニュースをより詳細に記した記事がRailway Gazette Internationalから配信(英語)されましたので以下にリンクを貼ります。

Trans-Europ-Express renaissance proposed / Railway Gazette International

今回のTEE復活というのは、単なる以前の華やかりし頃のノスタルジックなTEEではなく、北欧から欧州に広がっている「飛び恥」に代表される環境意識の変化(強い危機感)からくる移動の変革という位置付けのようです。

現在、新型コロナ禍の影響で喘ぐ航空業界には泣きっ面にハチのような状況にも見えますが、欧州域内を運行する航空路線は逆風状態から逃れられない状況になり、アメリカ大陸やアフリカ、アジアなど鉄道移動は不可能か、時間が掛かりすぎて難しい地域への強化が生き残りのカギになるような印象を上の記事から感じます。

さて、上の記事では具体的なTEE復活をTEE2.0と位置付け、1957年にスタートして西側欧州を結んだ国際急行列車網とは全く違う次元のアプローチであることがわかります。TEEという呼称はあくまで印象付けであると感じます。
それはTEE2.0という名称からも理解できることで、私たちファンからすれば、1等車のみで組成され、食堂車の他にバーや、荷物室、列車秘書、場合によってはドームカーなどの豪華な設備を伴う選ばれた乗客のための国際急行列車...というイメージが付きまといますが、TEE2.0は必ずしもそうではなく、3カ国を結ぶ高速列車(230Km/h〜250Km/h)で以下の路線が想定されているようです。


Proposed TEE2.0 services

TEE1/2: Paris – Brussels – Köln – Berlin –Warszawa
TEE3/4: Amsterdam – Köln – Basel – Milano – Roma
TEE5/6: Berlin – Frankfurt – Lyon – Montpellier – Barcelona
TEE7/8: Amsterdam – Brussels – Paris – Lyon – Barcelona
TEE9/10: Berlin – München – Innsbruck – Bologna – Roma
TEE11/12: Paris – Strasbourg – Stuttgart – München – Wien – Budapest
TEE13/14: Paris – Brussels – Hamburg – København – Stockholm
TEE15/16: Stockholm – København – Berlin – München


既に列車番号まで設定されているので、かなり具体的な議論に入っているような印象まで受けます。
こうした新しい国際高速列車の運行を発表する背景には、環境意識の変革もありますが、鉄道技術の進展も影響していると思います。

現在ドイツだけではなく欧州全体の高速鉄道網整備が順調に推移していて、高速新線の他にゴッタルドベーストンネルを始めとして山岳地帯の高速化やフェーマン海峡トンネルの整備、Stuttgart 21に代表される頭端駅の解消など、欧州鉄道網全体の高規格化が進んでいて、益々到達時間が改善されています。

それに伴って各国の鉄道事業者は、高速列車の国際運用化が進んだ現在、例えばパリとドイツ各都市を結ぶ列車種別をICEやTGVとしているなど、それぞれ独自種別で高速列車を設定して運用していますが、そうした独自のものから各国が手を取り合って大きな1つの欧州鉄道としての列車システムを再構築したいという、かつてのHollander博士のTEEを創設した理念の復活を意味するものとしてのTEE2.0なのではないか。というのが私の印象です。

更に、このTEE2.0は夜行列車についても同様のTEENという新たな呼称を付け昼行列車のTEE2.0と夜行列車のTEENを2本立てで整備することも記されています。これについては、DBがCNLを終焉させ夜行列車の否定に繋げた経緯がありますが、ここでは新たに具体的な運用路線をTEE2.0に合わせて以下提案されています。


Proposed TEEN overnight services

EN21/22: Paris – Brussels – Köln – Berlin
EN23/24: Brussels – Köln – Berlin –Praha/Warszawa
EN25/26: Amsterdam – Köln – Basel – Milano – Venezia/Genova
EN27/28: Frankfurt – Strasbourg/Zürich – Mulhouse – Lyon – Montpellier – Barcelona
EN29/30: Berlin – München – Innsbruck –Bologna – Roma/Nice
EN31/32: Paris – Strasbourg – Stuttgart – München – Wien – Budapest/Zagreb
EN33/34: Paris – Brussels/Amsterdam – Hamburg – København – Stockholm
EN35/36: Stockholm – København – Berlin – Praha – Wien/Budapest


列車種別はENのままですが、上記のような列車が想定されていて、列車名が付けば「EN31/32 Orient Express」や「EN33/34 Nord Express」など、往年の名列車をトレースしたルートが設定されています。

今回のTEE2.0/TEENは、2025年から運用予定とされていますが、現在の車両調達状態を考えれば、Berlin - Amsterdamを結ぶ予定のECxがTEE2.0で想定されたルートに近いように思います。

今回の報道は、実現されれば交通関係事業者にとっても、ファンとしても大きな変革の1つ(エポックメーキング)になるのではないかと感じています。
タグ:teen DB TEE2.0
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Akira

東洋経済ネットで、このテーマの記事がありましたので以下リンクしておきます。

https://toyokeizai.net/articles/-/386940
by Akira (2020-11-07 20:19) 

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