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Orient Express - Ein Zug schreibt Geschichte / TERRA X ZDF [欧州鉄道]

昨晩24:00からNHK-BSの世界のドキュメンタリーという番組枠で「オリエント急行 ー夢の豪華寝台列車を走らせた男ー」という番組があることを知り、録画予約して今日観ることができました。

この番組は、ドイツZDFが制作放映した歴史ドキュメンタリー番組で、CIWL社の創業者Nagelmackers(ナジェルマッケールス)のヨーロッパ大陸を豪華列車で結ぶという困難かつ壮大な夢を実現させた不屈な営みを、1883年に招待客を乗せて初めて走った最新車両の様子を軸に、彼の半生とCIWL社について歴史的切り口で綴ったものです。

NHK-BSでの番組は、残念ながら既に放映されてしまったため、日本語によって分かりやすく解説した番組は再放送がない限り観れませんが、オリジナルのドイツ語版番組は以下ZDF Mediathekサイトで観ることができます。

Orient Express - Ein Zug schreibt Geschichte

この番組の冒頭では、パリ・ストラスブール駅(現パリ東駅)を出発する直前のオリエント急行傍で招待客を待つ創業者のシーンから始まります。そこにテロップが出ているのですが、1883年10月4日と記されています。
以前、当ブログでも、オリエント急行運行開始日が2つあることに着目した記事(オリエント急行運行開始日?)を記しているのですが、この番組でこの史実を再確認できたばかりでなく、より深く知ることが可能になりました。

ナジェルマッケールスは、米国旅行中に利用したプルマン式寝台の問題に疑問を持ち続け、まだドイツがドイツとして国が定まらない王国がひしめき合う時代の欧州大陸で、国際間で直通する列車の構想(夢)を持ち実現させる人物です。苦労の末にいくつかの国の鉄道事業者と契約を結び、当初はオリジナルの3軸客車(寝台車+食堂車+荷物車)を使って運行開始。その後紆余曲折はあるものの、パリとコンスタンチノープルを結ぶ列車(オリエント急行)を3軸客車で運行を果たします。その4ヶ月後(おそらく、当初の計画では6月の運用開始に全長17,5m、ボギー台車の新型車両での運行を間に合わせたかったのでしょうが、間に合わなかったため)の10月4日に改めてパリ東駅でセレモニーを行い、招待客を乗せてCIWL新型車両のお披露目とトルコへの鉄道旅行が行なわれたのだと考えられます。

番組では、彼の描いた壮大な夢を実現させるため、類いまれな行動力や信念が描かれています。CIWLの給仕や調理人は1流の人材を選び、車内の調度品も上流階級の眼鏡にかなうレベルにし、それまでの苦痛でしかない鉄道旅を、利用したくなる鉄道移動に変えたことがこの番組から理解できます。

番組ではいくつかのエピソードが散りばめられていますが、例えば提供される料理が美味しすぎて、ここで出される料理目当てに利用する乗客がいたとか、トイレが快適すぎて中々出てこないのでトイレの前に列が出来たなど、その設備とサービスは他の移動手段とは一線を画していたようです。そしてそれらサービスは全てマニュアル化されルールとして組み上がっていたので、CIWLでのサービスは常に上質で乗客からの信頼を得ていたということになります。(英国の作家アガサクリスティもこよなく愛したというCIWLのサービスは理解ができるというものです)

この話は1800年代の史実ではありますが、理念としては現在にも通じ、日本の鉄道はまだまだ学ぶべき点が多々あるのではないか..と思えるところです。

もしNHKでこの番組の再放送があるとすれば、CIWLファンの方はもとより、鉄道を愛好する方にも是非観ていただきたいと感じた番組です。

[追記]
NHKでの再放送。

・BS-1 放映日時:2020年10月23日 午後5:00 ~ 午後5:43 (43分)
・Eテレ 放映日時:2020年10月30日 午後10:00 ~ 午後10:45 (45分)


[EDIT] 2020-10-31
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コメント 4

seidoh

Akiraさん、大変ご無沙汰しております。
番組情報ありがとうございました。NHKのサイトをチェックしたところ、来週10月23日(金)17時から、BS1で再放送の予定です。さっそく録画を予約しました。
by seidoh (2020-10-16 09:28) 

Akira

seidohさん、

ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。
再放送があるのですね。情報をありがとうございます。
by Akira (2020-10-16 10:49) 

東西急行

Akira様、誠に誠に御無沙汰致しております。
東西急行は現在も運行中です。
本記事にて御紹介頂きましたコンテンツを先日地上波再放映で拝見しました。
列車が1890年代後半仕様、時系列の乱れ、お笑い?山師どころか普通に短気なW.D.マン氏、二度も世界大戦を起こした挙句寝台車網から叩き出されたドイツの僻みが滲む点を除けば秀逸でした。
附記 ワゴンリ隊にL.S.Modelから1/160EpⅡコート・ダジュールプルマン客車3両組が加わりました。
EpⅠウィーン-カンヌ-ニース急行付属の二軸台車付荷物者、護送郵便車と組合わせれば運行時に近い編成が組めるようになり嬉しい限りです。

by 東西急行 (2020-11-14 22:22) 

Akira

東西急行さん、ご無沙汰してました。お元気そうで何よりです。
アガサクリスティの小説からだけの情報で有名になってしまったオリエント急行は、このドキュメンタリーで日本や世界のCIWLの正しい知識へとわかりやすい映像と解説が誘う試みは成功していると思いました。オリエント急行が小説名だけでなくここまで有名になったのは、この映像の舞台となった新しいボギー台車の客車のお披露目も兼ねたパリーコンスタンチノープルへの旅が苦痛から快適へと大きく変わったことを招待客の米国編集者によって大きく宣伝されたことに依るものだったことがこのドキュメンタリーで理解できた収穫でした。
by Akira (2020-11-14 23:44) 

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