SSブログ

NightJet新型車両のお披露目 [欧州鉄道]

2月23日にSIEMENS Mobility工場で現在鋭意製造中のNightJet新世代客車第1号のエクステリア(車体のみ)が完成したのを記念してお披露目(記者発表)が行われ、制御客車のCG画像など、新世代NJの概要が発表されました。

このような車体の外側だけの完成でお披露目が行われるということも、今まであったかどうか私自身は初めて聞いたので、NightJet(NJ)の期待が如何に大きいかを物語るものでしょう。コロナ禍でロックダウンが続く欧州で、こうした移動のビジョンを示すことが暗い世相を吹き飛ばす効果もあるのかも知れません。

昨日この様子が一斉に報道され、様々なメディアで配信されましたが、いくつか観た中で一番全体像を掴める報道に見えたのがリンクした以下の記事です。

NIGHTJET Mit diesen neuen Nachtzügen kannst du bald quer durch Europa reisen

今回の新造車両の背景には、NightJetのネットワークの拡大が背景にあるわけですが、特にスイスのSBBがZürich HBを起点としたNightJetのネットワークを新たに作ることで大幅なNightJet夜行列車路線が増加します。これまでのオーストリアのWienが起点であったNightJetネットワークは、これにより2つの起点で、遠くはスペインのバルセロナまでの路線も含まれる大きな夜行列車ネットワークとなるでしょう。別の報道では、SNCFも夜行列車復活を構想しているので、ドイツを中心に構想しているTEENも合わせれば、CNL時代より巨大な欧州夜行列車ネットワークが遠くない将来に出来上がるのではないかと思われます。

SBBもÖBBのNightJetを導入することになったのは、様々な背景が考えられますが、DACH HOTELZUG時代の初期CNLを最初に脱退したÖBBはCNLの商業的失敗を糧にして出来上がった夜行列車であることが挙げられるでしょう。現在使われているNJ車両はSleepalette以外のCNL時代に使われていた寝台車や座席車両です。それでもNJの業績が悪くならなかったのは、設備ではなく、路線、ダイヤ、車内サービスなどソフトの部分の改善が大きいと思われます。

今回は、NJのための新製車両ですからハードの部分に大きな改善がなされるでしょう。CG画像で明らかになったNJ初となるプッシュプル化で、RailJetの制御客車と異なるVectron顔になったのが目新しく、塗装色も塗り分けがよりRailJetに近い印象を受けました。

リンク先の画像に今回はお披露目できなかったインテリアのCG画像がありますが、寝台車にはDELUXなるカテゴリがあるようです。画像を見る限り機能的で温かみのある魅力的な空間が見て取れます。一方簡易寝台車らしき日本のカプセルホテルを参考にしたと言われている各ベッドごとに区分されているCG画像(ミニスイート)あり、これは興味深い試みです。簡易寝台車の4人用区分室もCG画像にあるので、簡易寝台車も2つのカテゴリに分かれるのかも知れません。

座席車両も、1段せり上がった対面式座席の画像があるので、スーツケースなどの荷物置き場対策もあって興味深いです。(実はCNLの座席車両の提案には、同じようなコンセプトのインテリアを提出しましたが、他事務所のSleepaletteになった経緯があります)

さて、今回のSIEMENS Mobilityで製造しているNJ車両は、同社のViaggioシリーズで、RailJetなどで実績のある車両がベースです。

昨日は、パリのシャルル・ド・ゴール空港の大規模新ターミナル拡張工事が中止に追い込まれた報道もあり、これはコロナ禍による利用者減少が理由ではなく、仏政府の脱炭素社会実現への意欲の表れと国民の「飛び恥」意識の高まりなどが背景のようです。

「フランス政府は国内の航空路線について、2時間半以内で到着できる鉄道路線が存在する場合は運航を認めないことを盛り込んだ法案を閣議決定するなど、航空機による温室効果ガスの排出削減に力を入れています。」

という報道にも、ドイツの鉄道運賃に掛かる付加価値税を7%に引き下げられたことも含めてEUを中心とした欧州諸国は、航空機から鉄道へのシフトが今後も続くでしょう。

[EDIT] 2021-02-28
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント