SSブログ

名探偵ポワロ 「青列車の秘密」 [欧州鉄道]

IMG_2925b.jpg
▲ "Train Bleu"の英語ポスター。北部鉄道、CIWL、PLM3社共同のポスターです。S形寝台車の時代でしょうか。


昨日のエトワール・デュ・ノールの話題からではないですが、今回は同じCIWLが運行した国内夜行列車「Train Bleu」(青列車)のテレビ番組が22日に放映されるのでそのお知らせです。
現在、毎週土曜日午後に放映されている名探偵ポワロですが、放映当初からこの「青列車の秘密」を楽しみにしていました。今まで数回NHKでこのシリーズが放映されていますが、中々このタイトルを観ることが叶わず、ようやく..という思いでビデオの録画予約もしました。
以下に番組ページへのリンクを貼っておきます。

名探偵ポワロ 「青列車の秘密」/ NHK-G

アガサ・クリスティの小説の名探偵ポワロは、オリエント急行殺人事件が有名すぎて、同じCIWL列車を舞台にした「青列車の秘密」は、オリエント急行に比べてさほど知られていないように思います。
箱根のラリックミュージアムのプルマン客車(Côte D'Azur)も、本来なら昼行列車である「コート・ダジュール・プルマン・エクスプレス」向けなどに製造され運用されたのですが、「オリエント急行」と紹介されるわけですから、この名前の認知度は、おそらく世界で最も有名な列車名なのでしょう。

さて、この日本語題名「青列車」で仏語表記では「Le Train Bleu」です。この列車は、1886/1887年冬ダイヤから"Calais-Mediterranée Express”が列車名としてカレーからPLMのパリ・リヨン駅と南仏ヴェンティミリア(一部はKurswagenとしてサン・レモまで延長運転)を運行開始され、1922年新しいS形鋼製車両の登場で名称を"Train Bleu"に変更。更に1929年にはLx10の登場によりCIWL屈指の豪華夜行寝台列車となりました。寝台車は各車両に専属のスチュワードが乗務するCIWLの最も豪華なLx寝台車の他、食堂車では5種類の料理を楽しめるコース料理を提供、サロン(これはプルマン車両?)やバー車両、荷物車の3等級制時代で全席1等車扱いの組成で運用され、当時のシンプロン・オリエント急行よりも豪華な設えであったようです。

"Train Bleu"の処女列車は、ロンドンからの接続列車でフェリーで到着した乗客を乗せ、1922年12月8日 13:00にカレーを出発、パリ・北駅到着後、パリ大環状線(Ligne de la grande ceinture de Paris)を経由してパリ・リヨン駅へ。夕方の早い時刻にパリ・リヨン駅を出発、ディジョン、シャロン・シュル・ソーヌ、リヨンを経由して早朝マルセイユに到着。更にコート・ダジュールのトゥーロンまでの行程を走り、一部の客車はKurswagenとしてサン・レモまで運行されました。

この列車の主要な乗客はロンドンからの旅行者だったようで、パリは主要駅として停車しますが、ドーバー海峡の港町で英国からの主要ルートのカレーから走ったのは今のVSOEと同じです。ポワロも英国ロンドン在住ベルギー人という設定ですから、ドラマの設定は違和感のないものです。そして番組に登場する寝台車がS形かLxかで時代考証もできますね。

この番組を既に観た方からは、余り期待はしないほうが良いとのご指摘はありますが、如何せんまだ観ていない番組ですし、映像で実際CIWLのLxやWRが登場するのか、セットなのかも含めて目を凝らして観たいと思っています。

参考文献:125 Jahre CIWL Die Luxuszüge - Geschichte und Plakate / EK-Verlag

[EDIT] 2021-05-21
nice!(0)  コメント(2) 
共通テーマ:テレビ

nice! 0

コメント 2

KDB

今晩は。番組放映見ました。このシリーズに出てくる鉄道描写としてはまあまあだと思います。客車はよく判りませんが、機関車は明らかに英国British Railwaysの5MTクラス(戦後製造)ですね。機関車が映っている場面は英国の保存鉄道でロケされています。石積みアーチの橋を渡る場面、一寸鉄道名をを失念しましたが、英国南部の保存鉄道です。
客車は英国に乗り入れていたやや小型のCIWLの保存車かなあと思います。まあ、多少の矛盾は大目に見ましょう。
by KDB (2021-05-22 18:57) 

Akira

こんばんは、KDBさん。私もしっかり観ました。やはり英国での撮影でしたか。私の印象としては...。

オリエント急行殺人事件ほどの列車の魅力的なシーンはありませんでしたが、それなりに楽しめました。おそらく権利関係の問題だと思いますが、CIWLの名前が隠されていてチケットなどにはワゴン・リの代わりに見たことのないLTB(おそらくLe Train Bleuの頭文字)のロゴマークがありましたし、あの向かい獅子エンブレムも見えませんでした。

パリ・リヨン駅のホームでTrain Bleuの行き先案内板の下に微かに見えた「Wagon-Lits」の名前は、単に寝台車という意味なのかもしれません。そして車両外観は、S形でもLxでもなく、何故かベージュと紺色ツートンのプルマン客車塗装の上に、乗降扉は両開きだったりと、残念の極み。車内はセットなのかもしれませんが、一応コンパートメント扉には寄木細工の模様があるなどLxライクな雰囲気がありましたが、Lxの持つ重厚さは感じられなかったです。
サービスで面白いと感じたのは、専務車掌に夕食をルームサービスさせているシーンですが、当時の1等寝台のCIWLサービスならこれくらいのことは引き受けてくれるのでしょう。

他に3等座席車という設定の区分室が出てきますが、状況的にはPLMの座席車でしょう。区分室の中央に大きなテーブルがあってそこでカードゲームをしているシーンですが、これはあり得ないなぁ..。シートの背面までかなり豪華なビロード付き3人がけ座席だったので、これは当時の2等車と思います。フランスの鉄道車両は3等(現在の2等)は、4人用シートの向かい合わせのはず。

作者のアガサ・クリスティはCIWLのファンで好んで乗車したと聞いています。その作者にリスペクトするならば、もう少しCIWLに敬意を表した制作もあったのかな..と思ったりましす。

とはいえ..色々ツッコミどころ満載でしたが観れて満足でした♪
by Akira (2021-05-22 20:19) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント