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PEN 4/1号 〜バウハウス創設100周年 [デザイン]

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今日は、久しぶりに書店へ行って鉄道趣味誌の最新号のチェックなどをしました。少し前にFBのタイムラインに雑誌PENの広告があって、それがバウハウス特集ということを思い出して探してみたら、既に書架にありました。手にとってページを捲ると紙面の前半から90ページぐらいがバウハウス関連記事で、内容的にも良く調べられていることを確認できたので購入してきました。

バウハウスは1919年、ワイマール共和国の首都、ワイマールにある建築工芸学校校舎(Henri van de Verde建築)でグロピウスによって設立されました。この時からナチスが政権を取った1933年の閉校まで13年間のみの国立建築学校です。ここでは建築のみならず、絵画、彫刻、グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、写真、演劇、染織など現代のデザイン教育の基礎を築き上げた学校としてワイマール、デッサウ、ベルリンで授業が行われました。

ちょうど私がこのバウハウスと縁の深い日本の美大でインダストリアルデザイン史の授業を行っていることもあり、また戦後バウハウスの理念を受け継いだ西ドイツウルム造形大学の最後の学長に私自身が師事していたこともあって、モダンデザインを語る上で欠かすことのできないこの学校の設立100周年とこの紙面の資料はこれからの授業に少なからず役立つのではないかと思い購入しました。

雑誌PENは一般向け雑誌なので、読者にわかりやすく年表や人物相関図などが添付されているので、参考になります。ここに出てくる人物については概ね授業で紹介しているので私自身はホッとしていますが、ちょっと残念なのは日本から留学した4名の学生のうち3名のみ記されていて残りの1名が出ていないこと。この人の資料は少なく、私も一昨年にようやく1本の短い論文を見つけた程度。つまり帰国後の活躍についてはあまり華々しいものではなく、公になることも少なかったと推測できますが、東京造形大学を創設した桑沢洋子氏のインタビューを受けていることは調べています。ただ、PEN誌は記されていないようです。
また、バウハウス創設の際、初代校長のグロピウスとの創設準備に参画したvan de Verdeが彼に江戸時代日本の伝統建築の理念をバウハウスに取り入れるよう進言したこともここには記されていないようです。虚飾のない日本の伝統建築は、バウハウスの機能主義と同じ流れであることを確認すべきかもしれません。

デザインの源流を探ってゆくとバウハウスの教育は避けて通ることのできないエポックであることは間違いなく、ドイツはもちろんですが、日本の美術・デザイン教育でもバウハウスがその出発点であり、かつ現在も続く理念は世界のデザイン界の共通認識でもあります。
100周年を向かえたバウハウスを再び顧みることで何が見えてくるのでしょうか。今一度この混沌とした社会をバウハウス的視点で客観的に観てみると私たちが目指す目標が見えてくるのではないでしょうか。

話は少し横道に逸れますが、鉄道の分野でもバウハウスの影響は大いにあります。駅舎など建築物はもちろん、例えば既に解体されてしまいましたが旧万世橋駅に隣接していた交通博物館の建築。また最近話題の築地市場もそうです。動線を意識し、海路、鉄路からの集まってきた食品を効率よく仕分けし、市場から小売店へと結ぶ場所としての機能は単純明快にレイアウトされていました。
ドイツでは、Schuerzenwagenに代表される客車、SVTなどの高速気動車などバウハウスの理念に沿った車両デザインと捉えています。もちろん戦後は更に多くのドイツの鉄道車両がこの理念の元でデザインされていることがわかります。

ドイツとデザインを知る上で欠かせないバウハウスにご興味のある人はぜひ手にとって見て欲しい一冊です。


タグ:Bauhaus
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