46744 DRG(P) Insider Jahreswagen 2003 (Baron Jeune) / Ep.II [Maerklin-Guterwagen]
2003年のインサイダー貨車です。古典車両に3つのワイン樽が積載されているモデルです。初めてこのモデルを見たときは、側面部分に記されている車両所有企業の看板を見るとフランス語で記されているので、車両はフランスの所属かと思ったのですが、この表記の中に「Saarbrücken」「Am Homburg 7」の住所らしき文字からはドイツも関わっていることが理解できます。Saarbrückenはフランス・ロレーヌ地方と国境を接した街で、私自身も一度この街を訪れましたが、ドイツ語とフランス語が飛び交うほどフランスの影響が強い場所ですので、この車両はあくまでドイツのワイン貨車モデルという位置付けだと思います。
ちなみにザールブリュッケンは、隣接するフランスのSarreguemines駅までザールバーンというトラムトレインが直通運転しています。国境を跨ぐトラムはフランスのストラスブールのトラムより早く実現したので、ここが世界初であると思います。
また、このワイン貨車モデルは、それまでメルクリンで通常製品としてリリースされていた大きなワイン樽を進行方向に平行に2つ積載されていたのに対して、このモデルはそれより小さい3つの樽が進行方向に対して垂直に積載されています。その違いも含めて興味深いモデルと感じました。
緩急室側妻部を側面から見たところです。緩急室デッキにハシゴがあり、樽の上へと登れるようになっているのが、先にも挙げた2つの樽を積載したそれまでのモデルと大きく違う1つです。
車体側面に掲げられている2枚の表示板のうちの左側のもの。DRG表記、車体番号、私有貨車の(P)、そしてMainz中央駅に所属している旨の文字が記されています。「Spezialwagen」(特別車両)の意味することは未確認ですが、ワイン樽積載貨車自体が特別なのかもしれません。左側の「Märklin Insider 2003」のマークはお約束です。
もう1枚の表記版には、車両所有者(企業)の文字が印刷されています。上には、「Wagons Foudres」「W.B.J.」「Saarbrücken」「Am Homburg 7」、下には、「Paris 4. Rue Tronchet」「Baron Jeune」「W.B.J.」です。ネットでこのワイン醸造企業?を調べてみたのですが、確認することはできませんでした。
「Wagons Foudres」はワイン樽車両の意味のようです。直訳ではなさそうですが...。
台枠の表記です。この車両も車体なしのため、台枠には多くの表記が記されています。
表記の印刷精度は満足のゆくものです。
ワイン樽は木製です。ここを樹脂製ではなく実物と同じように木を使うところは、メルクリンらしさの1つだと思います。樽の上の渡り板は樹脂製です。樽の妻部には、「W.B.J.」の文字、先日紹介した半円形に「15」の表記(積載制限15t)、そして蛇口を模したと想定できる線画で記されています。この蛇口が線画ではなく3次元で付けてあればなお良いのですが、そこまではできなかったのでしょう。
ブレーキ側と非ブレーキ側の妻部正面です。緩急室、デッキ、手摺、緩急制動棒、樽上の渡り板への梯子も樹脂製です。
緩急室を反対側から俯瞰したところです。この緩急室は両側にドアがついているタイプです。
ワイン樽貨車はメルクリンからカタログモデルだけではなく、これまでも様々なルートでリリースされてきました。どちらかといえば、カタログモデルより、スイス、フランスなどのエキスポートモデルや、広告貨車としての位置付けで流通されたものの方が多いのかも知れません。例えば、このモデルと同じベースのモデル(46741.001)などがそれに当たるでしょう。また、ドイツの電子部品販売のConradから、一時期複数のワイングラスとセットになったワイン樽貨車セットがリリースされていて、Conradのお店で発見したときは欲しいと思いましたが事情があって断念しました。これらワイン樽貨車モデルは、ビール貨車とはちょっと違い、グラフィックだけの違いにとどまらず、ワイン樽の積載方法も種類があって種類は少ないですが、コレクションとしても楽しいアイテムです。
[参考サイト]
Wagons-Foudre / Wikipedia France
[EDIT] 2019-05-29