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39436 K.Bay.Sts.B. S 3/6, "Die Hochhaxige"(ちょっと詳細) [Maerklin-Lok]

昨日の当ブログで、突如の告知となったメルクリンH0のS 3/6機関車についてお伝えしましたが、このS 3/6形(後のBR 18.4)は、メルクリンH0では定番モデルの1つで、またS 3/6?と思われたファンもいらっしゃったかも知れません。

この新しいS 3/6形モデルのメルクリン特設ページには、冒頭に長々とこの機関車についての解説が記されていますが、ここを読むと漸くこのモデルが「新しいS 3/6モデル」と言うことに気づくことができます。このように記している私もその1人です。

このモデルのプロトタイプとなったS 3/6は、1908年7月にマッファイ社から登場したことから始まります。1911年までに16機の同機が落成し、1912/1913年には18機(3624-3641)の落成を見ることになります。この18機は、それまでの直径1,870mmの動輪に対して、直径2mの大動輪を持つS 3/6形となりました
つまり、同じS 3/6形でも特徴的な動輪を含む幾つかの形態が異なる機関車の登場となったわけです。

今回発表された「Die Hochhaxige」と言う愛称を持つS 3/6形(機番3624)は、この2m動輪を持つ機関車をプロトタイプとしたモデルになります。これまでメルクリンから登場したS 3/6形モデルはいずれも1,870mm動輪をプロトタイプとしていましたので、完全新開発で製造するに相応しいモデルと言えると思います。

S 3/6形の大まかな特徴としては、動輪径とキャブ形状の違いで3種の違いの見分けがつけられます。

1. 動輪 1,870mm、キャブの前妻面が尖っているタイプ
2. 動輪 1,870mm、キャブの前妻面が平面タイプ
3. 動輪 2,000mm、キャブの前妻面が平面タイプ

メルクリンH0でリリースされているS 3/6形は、「1.」と「2.」です。今回のモデル(39436)は、「3.」に当たります。

この2mの巨大動輪を持つS 3/6は、長距離ランナーとしての性能が優れていて、急行列車としてノンストップでMünchen - Würzburg (277 km / 3:20 h) を、また München - Nürnberg (199 km / 2:15 h)で走りました。

DRG時代になると、制式機関車としての新しい形式が与えられBR 18.4となりました。この機関車が与えられた機番は18 441 - 458で、長距離列車の運用に当たったようですが、第2次大戦後はそのほとんどが早期に廃車となり、唯一例外として18 451が1950年2月からゲッチンゲンの機関車試験機関所属となり、1951年5月2日に2階建客車を牽引してハンブルグ - ミュンヘン(約820Km)を途中機関車交換なしで走破する偉業を余裕で成し遂げたとあります。
DRG時代にこれら2m動輪の18.4形機関車の一部は看板列車のRheingold-Expressの牽引に当たりました。(18 447の牽引するFFD 102を1928年撮影写真で確認済み)

1952年4月には試験機関所属から外され、1958年までインゴルシュタット工場に留置。
現在は、ミュンヘンのドイツ博物館に展示されているとのことです。

少し話題は逸れますが、2009年のTRIX H0新製品(T22040/機番3624)として、同形機関車が発表されました。しかし、この年はメルクリン社が破綻した年で、どうやらこの機関車はリリースされなかったようです。(TRIXサイトで番号検索しましたが出てきませんでした)
この機関車のパンフレット写真ではボイラーが樹脂製だったので、今回のモデルはこれとは別に設計し直したものと考えられます。

そう言う意味でも、今回のモデルはメルクリン社にとっても再びこのモデルがメルクリンH0/TRIX H0で全金属製で蘇ると言うこともあって、メルクリン社の再生を象徴するモデルとも言えるのかも知れません。(TRIX H0モデルの製品番号はT22403です。)

Special thanks: Y.K.さん

参考サイト:
Schnellzuglokomotive Gattung S 3/6 / Deutsches Museum

参考文献:
DER RHEINGOLD-EXPRESS A.B.Gottwald/E. Bündgen著 / Motorbuch Verlag Stuttgart
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