[Vinyl 111] 終曲(フィナーレ) / うらはら|Phew [Vinyl]
久しぶりにアナログレコードの紹介です。このアーティストPhewをご存知の方は相当のツウではないでしょうか?私も久しぶりにこの7'シングルレコードに針を落として、良くこのようなレコードを買ったなぁ...と今更ながらに当時の私を思い起こしています。
実はこの楽曲については、坂本龍一がプロデュースしています。おそらくその関係で購入したように思います。坂本龍一はプロデュースの他、Drums, Piano, Voice, Synthesizer [Prophet 5, Arp Odyssey, MC 8]での参加のようです。
ジャンル的にはニューウェーブ、アバンギャルドなどでしょうが、どことなく日本で大学生をしていた頃を思い出しました。私の通っていた大学は美大ですが、デザインとアート領域の両方があり、クセの強い学生が多かったのを覚えています。
私のいたインダストリアルデザイン領域では、割とフツー(何がフツーかは不明w)な大学生が多かったのですが、グラフィックデザインや絵画、彫刻などアート領域の学生は外観も目立つ学生(茶髪が流行る前から茶髪の学生がいたり)が少なからずいて、学園祭でもライヴはこのPhewのようなつかみどころのない、それでいて妙に心の中に入り込むようなサウンドを聴かせる連中がいたりして、美大らしい自由さを感じていました。
そうした連中と接点を持ちたかったことも、西新宿あたりの輸入レコード店街に通っていた理由の1つかもしれません。
さて、アーティストのPhewですが、その後話を聞いていなかったので、これ1曲で終わってしまったのではと思いきや、Discogsでこのレコードを検索したところ、彼女はその後もLPやCDをリリースして、昨年も新しい楽曲をリリースしているようです。現在は日本よりヨーロッパで活躍している印象です。
*Discogsのリンク先に動画が埋め込まれています。
Discogs: 終曲(フィナーレ) / うらはら|Phew
[Vinyl 110] 音楽図鑑 / 坂本龍一 [Vinyl]
坂本龍一が1984年にリリースしたアルバム「音楽図鑑」です。無機質なジャケット写真に入った2枚組のレコードで、1枚はLP、もう1枚は12'シングルという変則的な組み合わせです。というか、シングルはオマケのような感じでしょうか。
このレコードを初めて見たとき、ピアノに向かう坂本龍一本人より大きく壁に映し出されるアリの影が強烈な印象でした。この写真の意味をしばし考えてしまいました。もしかしてリアルな坂本龍一本人よりも影のアリを私たちは見せられているのかも知れないと思ったりもしました。
このアルバムの楽曲は、当時の彼らしいサウンドが散りばめられていて相変わらず実験的な音も聴くことができます。
2枚組レコードなので、ジャケットは見開きがあります。それが上画像です。彼のサウンドとこのジャケットの関係は気になるところではありますが、マッチしていると言われればそうかも知れません。少なくともかけ離れているようにはみえないです。
Discogs: Ryuichi Sakamoto – 音楽図鑑
[Vinyl 109] Humans-Lib / Howard-Jones [Vinyl]
いつもは、ラジオを聴き流しながらホームワークをしているのですが、たまにレコードを聴きたくなる時があって、昨日の午後はレコード棚を適当に探っていたら大多数ある1980年代に買ったレコードの中からハワードジョーンズのLP1枚を見つけ、久しぶりにかけてみました。
ハワードジョーンズと言えば、前にも記したかも知れませんが、MTVやエレクトロポップが全盛時代だった頃、ひときわメロディアスで抑揚のあるサウンドと、パントマイマーと共に自身は身体に楽器を身につけて1人で演奏する独特のパフォーマンススタイルで驚いたのを覚えています。
当時原宿の交差点近くのショッピングビルにあったオーディオ店でアルバイトをしていて、そこの最上階でプロモーションのために来日した彼を舞台の裾から眺めたのを覚えています。
そんな彼は、数枚のアルバムを出してからはすっかり音沙汰がなくなって久しいですが、彼は1955年生まれというから還暦もとうの昔に過ぎた高齢者となっていたことを知り、若い頃の彼の姿しか知らない私自身も歳をとったものと感じます。
久しぶりにこのレコードに針を落とすと、当時のことが思い出されます。彼のサウンドは明快で時にセンチメンタルなフレーズもあって個性が光るアーティストと思っていましたが、今は音沙汰がないです。..が、2019年にアルバムをリリースして、全英チャートではそこそこの売り上げを記録しているようです。
このファーストアルバムは世界的にヒットとなり、全英チャートでは57週連続1位だったようで、当時の人気のほどが窺えます。
Discogs: Howard Jones – Human's Lib
タグ:wea Howard-Jones
[Vinyl 108] It's Called A Heart / DEPECHE MODE [Vinyl]
DEPECHE MODEの2枚組12'シングル「It's Called A Heart」です。このシングルは7'盤も12'盤も別にリリースされていますが、それとは別にリリースされたものです。
2枚組ではありますが、45RPMなので全体として楽曲は長くなく、内容も以下にある通り既存曲のREMIXバージョンです。
A It's Called A Heart (Extended) 7:20
B Fly On The Windscreen (Extended) 7:50
C It's Called A Heart (Slow Mix) Remix [Re Mixed By] – Gareth Jones 4:49
D Fly On The Windscreen (Death Mix) Remix [Re Mixed By] – Gareth Jones 5:06
1枚目のABは、12'通常盤と同じExtendedバージョンですが、2枚目のCDは、この盤のオリジナルREMIXです。ただ、その内容は?が付くような印象でした。と、言うのもCの「It's Called A Heart (Slow Mix)」は、45RPMのレコードを33 1/3RPMでかけたようなゆっくりなだけ...と言うもの。それが45RPMの速度で回転するレコードから音が出ているので、思わず回転数を間違えたとプレーヤーを止めてしまいました。私のプレーヤーには72RPMは機能しないので混乱してきました。
なんだか、演奏スピードを落としてSlow Mixと名付けるのは詐欺っぽいなぁ..と感じたりしました。
とはいえ、曲そのものは悪くなくジャケットのグラフィックスも綺麗なレイアウトなのでしまっておきましょう。
Discogs : It's Called A Heart / Fly On The Windscreen
タグ:Depeche Mode MUTE
[Vinyl 107] Shake The Disease (Remixed Extended-Version) / DEPECHE MODE [Vinyl]
1985年にリリースされたDEPECHE MODEの12'シングルUK盤、「Shake The Disease (Remixed Extended-Version) 」です。それまでのジャケットデザインとうって変わってアグレッシブなグラフィックスです。使われているフォントも刺々しいもので、これを初めて手にした私は、その変貌を想像できず家に持ち帰って聞いて、そのサウンドの変わり目を感じたものです。
その楽曲ですが、以下の通りです。
A:Shake The Disease (Remixed Extended Version)
B:Flexible (Remixed Extended Version)
作曲は両曲ともMartin. L. Goreで収録は西ベルリンのHansa Studioでのレコーディングになりました。
A面はやはりメロディアスな旋律の楽曲ですが当時のヒットチャートの上位にはならなかったようです。一方B面は、新しい試みが聞き取れます。ウクレレのような弦楽器の音が入っています。違うサウンドなのに、メロディアスでどこか哀しみを感じるサウンドは、どの曲も共通です。
Discogs: Depeche Mode – Shake The Disease (Remixed Extended Version)
タグ:Depeche Mode MUTE
[Vinyl 106] People are People (ON-USound Remix By Adrian Sherwood) | Depeche Mode [Vinyl]
DEPECHE MODEの12'シングル限定版の「People Are People (ON-USound Remix By Adrian Sherwood)」です。
この頃のDMは、シングルレコードをリリースする度に欧州のヒットチャートに登場するほどの人気アーティストになっていました。MUTEレコードは比較的実験的なアーティストが多かったせいか、ヒットに恵まれたのは僅かで、DMはその筆頭(つまり稼ぎ頭)でした。
MUTEレコードは、当初全てのレコードがアルバムとシングルでの違いはありましたが、基本的にリリース順に同じ通し番号でしたが、DMだけは新たにシングルレコードに専用番号(BONG)をつけるようになって5枚目のレコードがこのシングルでした。
このシングルは12BONG5「People are People」のリミックスバージョンで限定販売されたもので、L12BONG5という番号が振られています。ただ、ジャケットを見ても分かる通り、このレコードジャケットは手抜き?と言われても仕方のないような仕上がりです。基本的にブランクで中央の丸い穴からレーベルが見えます。そして表面にはA面のタイトルと限定のシリアル番号(画像では番号を消しています)が印刷されています。裏面には、B面のタイトルが記されているだけです。
見るに値しないジャケットとは言いませんが、見るべきジャケットでもありません。そして肝心の内容ですが、A面にはPeople are PeopleのRemixバージョン、そしてB面は7'番シングルのA/B面の楽曲(オリジナル版)が収録されています。これだと買ってしまった私はこのシングルの価値を感じなくなります。価値といえばもしかしたら限定版ならではのシリアルナンバーが印刷されていることぐらいでしょうか。その価値すらDiscogsでの取引価格を見る限り、リリース時の販売価格を大きく下回っていることから、あまり影響していないと言えます。
何しろ視聴してから購入しているわけではないので、いくら贔屓のアーティストでもこの内容だと厳しい。売れ始めたのでレコード会社は色気を出してこうした限定商品を出してしまったのでは? と勘ぐってしまいました。
Discogs: People Are People (ON-USound Remix By Adrian Sherwood)
タグ:MUTE Depeche Mode
[Vinyl 105] People are People | Depeche Mode [Vinyl]
Depeche Modeの12'シングルUK盤の「People are People (Defferent Mix)」です。
このシングルのA面に収録されたタイトル曲も大ヒットしました。
週間チャートでは、ドイツで1位、アイルランドで2位、ベルギーで4位を記録しています。母国のUKでは今一歩でしたが、スター街道を歩んでいた時です。
この頃は既にワールドツアーを行なってもどこも満員の大盛況でした。日本でも数都市で講演できるほどでした。私も受け付け初日に電話して予約したり原宿のチケット受け付けに並んだりとライヴを聴きに行くために色々した思い出があります。
ジャケットを見ると、フォントは手書きの乱暴な文字に見えます。楽曲も以前と比べ、アグレッシヴさが際立ってきています。しかしメロディアスですし、彼らのサウンドの印象は筋が通っていて変わるものではなかったです。
そしてB面ですが、私個人はこのシングルもB面「In Your Memory (Slik Mix)」が好みです。彼らのサウンドは、主にシンセで繰り出す未知の音色とドラムパターンですが、生声が魅力でもあります。ヴォーカルはD.Gahnが主ですが、時々他のメンバーによるコーラスがバックに入ります。そのハモりも魅力です。この時期は、新曲をリリースする毎にレコードをゲットしてどんなサウンドが出てくるのかワクワクしながらレコードに針を落としたことを覚えています。シンセサイザーも日進月歩の時代でしたが、それを駆使して新しいサウンドの世界を紡ぎ出す1980年代は若かった私には刺激的でした。
以下Discogsにこのレコードのデータの詳細がありますが、リンクしているYouTube動画は権利関係でしょうか、日本からでは残念ながら観ることができません。
Discogs: Depeche Mode – People Are People (Different Mix)
タグ:Depeche Mode MUTE
[Vinyl 104] Everything Counts (In Larger Amounts) | DEPECHE MODE [Vinyl]
DEPECHE MODEの12'シングル「Everything Counts (In Larger Amounts)」です。
1983年にリリースしたこのシングルはヒットしました。とは言え、UKチャートで最高6位、スイスのチャートで8位のようです。アルバム"Constraction Time Again"に収録されている曲のRemixバージョン[In Larger Amounts]がA面に収められています。またB面には、"Work Hard [East End Remix]"が収録されています。
当ブログでも紹介した同じタイトルの2枚のレコードがありますが、1枚はB面がライヴ録音シリーズの限定版で、もう1枚は10'レコードの別バージョンですが、リリースはこのレコードがリリースされた6年後の1989年です。他にも数種類の別バージョンがあります。
この頃は、ロンドンのThe Garden Studioで収録、ミキシングはドイツの西ベルリンのHansa Tonstudioで行われています。彼らも時々ロンドンから西ベルリンに滞在しながらスタジオに出入りしていたものと推察できます。既に彼らもメジャーな存在となり、彼らのいたスタジオもベルリン観光の名所の1つとなっていたと聞きます。ちょうどこの後からのアルバムには東西冷戦をテーマにしたような楽曲もあるように感じました。やはり西ベルリンという場所はどこのヨーロッパの都市にもない異常さと魅力が彼らのようなアーティストに大きな刺激を与えるのでしょう。
Discogs: Depeche Mode – Everything Counts (In Larger Amounts)
タグ:Depeche Mode MUTE
[Vinyl 103] Get The Balance Right! (Convention Mix) [Vinyl]
Depeche Modeの12'シングル盤「Get The Balance Right!」UK盤です。
このジャケット、極めてシンプルなグラフィックスですが、インパクトがあるので初めてこのジャケットを見たときからお気に入りになりました。
楽曲はA面がヒット曲のGet The Balance Right!のリミックスで、B面はThe Great Outdoors!とライヴのTORA! TORA! TORA!。個人的にはこのシングルの両面とも好きな曲です。TORA! TORA! TORA!というタイトルは、日本軍の真珠湾攻撃の暗号から来たものだと思います。これのライヴ演奏は、ロンドンのHammersmith Odeonで1982年10月25日に収録したもの。
録音スタジオについては、記述がないので不明です。ロンドンからベルリンに移るのはどの曲からなのかは、これから先のレコードを紹介してゆくうちに分かってくると思います。
Martin L. Goreが作曲するようになって、彼らのサウンドの方向性が定まり始めたことを感じさせるレコードだと思います。なお、このレコードから1982年10月25日にHammersmith Odeonで行われたライヴを3枚の12'盤で3枚のシングルの限定バージョンとして、リリースされました。既にこの3枚のレコードは紹介済みです。このレコード(12 BONG 2)の限定版(L12 BONG2)は、A面が7'盤と同じ内容でB面が33 1/3回転でライヴが収録されています。
Discogs: Depeche Mode – Get The Balance Right! (Combination Mix)
タグ:MUTE Depeche Mode
[Vinyl 102] Leave In Silence | Depeche Mode [Vinyl]
今回もDepeche Modeの12' シングル(UK)盤です。
1982年のリリースで、当時の私は美術大学1年生でした。当時は鉄道とは無縁の美大でしたので、私のもう1つの興味の対象であったオーディオから高校生時代から浪人時代に味をしめた?ニューウェーヴなどのシンセサイザーやリズムボックスなど、日々進化する電子楽器とそれに伴う新しいサウンドの発見に大きな刺激を受けて多感な青春時代を過ごしていました。(この時ぐらいから撮り鉄をフェードアウトしたように思います)
こうした新しい音楽のムーヴメントはMTVなどから流れるPV映像媒体の積極的な配信や、学校帰りの西新宿の輸入レコード屋巡りなどもあって、美大の1年生としては刺激の多い日々を過ごしてきたように思います。
さて、このDepeche Modeのシングルもアルバム「A Broken Frame」からのRemixではありますが、既にフリークだった私は見つけた時点で必ずゲットしていました。というのも、A面は確かにアルバムと同じ曲のRemixでしたが、B面はアルバムにはない曲がほとんどなので、レコードを買った時は家に直行し、すぐに針を落としてワクワクしながら聴いたものです。
このレコードについては、やや他のシングルとは異なり、B面もアルバムの2曲めに収録されている楽曲「Further Excerpts From: My Secret Garden」が収録されています。
また、美大の1年生というのは、案外創作活動をする授業は多くなく、専ら大学としての一般教養科目をこなすカリキュラムに私自身は組んでいた(学年が上がってから一般教養で時間を取られたくなかった)ため、正直退屈な授業ばかりで、放課後の輸入レコード屋への寄り道が大きな楽しみでした。
視聴をせずにアーティストの創作したサウンドを信じて買うという行為をしながらも、30cm四方のレコードジャケットは、もちろん興味ある分野でもあるグラフィックデザインが私に少なからぬ刺激を与えていたのも事実です。どの分野であれ、当時は海外の最新デザインに触れる機会は限られていたので、輸入盤のレコードジャケットは私にとっても良いお手本だったと思います。それはこのDepeche Modeのジャケットも大いにリスペクトしていて、まだ彼らの音楽性や志向が確立される前の黎明期だったからこそ、毎回新しいジャケットにワクワクしたことを覚えています。
このシングル盤のジャケットはシンプルにアーティスト名とタイトル名だけをレイアウトしたものですが、タイトル名のフォントは、アルバムの各曲タイトル名のものと同様でした。
また、上画像を見て分かるように、このジャケットは色やレイアウトだけでなく、テクスチャの粗い厚紙製で素材にもこだわりを見せています。
また、裏面のマークのデザインからメッセージも読み取れると感じたものです。
このアルバムのマークは鎌が描かれていて、ここから連想するのは共産主義というものでした。冷戦当時、鉄のカーテンで仕切られていた西側の資本主義国と東側の共産主義国の格差や問題は見えづらく、しかし現実に存在している事実でしたし、近くにいながら見えづらい壁の外に居た多くの人々、特に若者の西側の自由に対する憧れや、それを渇望するエネルギーに対してメッセージが必要だった時代でした。この問題をテーマにしたアーティストも音楽に限らず多くの芸術活動に見られたものです。
そうした歴史や背景をほとんど知らなかった私は、憧れていたドイツという国の東西に分割された現実を良く知ることもせず良い面ばかりを見ることばかりで育ってきましたが、彼らに興味を持ったことで、その意味が少しづつ私の中に入って来ていました。それでも日本の限られた情報の中でしかありませんが...。
彼らはその後、スタジオをロンドンから西ベルリンに移し、作曲活動を開始するわけですが、当時の関心事は、やはり東西冷戦と、その象徴であったベルリンだったのだろうと思います。
壁がなくなり統一され、壁が立ちはだかっていた年月よりも長く経ってしまった現在からは想像しにくいですが、音楽のメッセージは強いものだと思います。
Discogs: Depeche Mode – Leave In Silence
タグ:Depeche Mode MUTE