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学生作品 [デザイン]

昨日は、私が授業をしている大学の今期最後の授業であった。私の授業はエコロジーデザイン系の中にある公共交通機関のデザインである。その最後の時間は、今まで学生がやってきた課題のプレゼンテーションをやってもらうことになっている。今回は3名の学生が最後のプレゼンまでついて来てくれた。学生がプレゼンに用意するのものは、コンセプトやレイアウト、レンダリング(スケッチ)などを纏めたA2ボードとモデルである。

プレゼンは1人づつ私たちの前で各自が用意したボードとモデルを発表してもらった。私は学生のプレゼンを見て質問し講評し評価を行う。今回の課題(Eco-Mobility)では、3人3様各自で違ったテーマを選びそのどれもが興味深かったのである。

1人目の学生は、東京で日陰の存在となっている公共交通機関の水上バスに着目して、現在抱えている様々な問題を、学生は自らのアイデアで解決に導く提案を行っている。特筆すべきは、水上バス停留所を一般のバスと融合させ、バスが船内に直接入るものである。これなら、慢性的な渋滞による日常的なバスの遅延の影響は最小限になる。
また水上バス停留所は、バスなどの停留所と共通化することで現在の観光のみの水上バスから生活の足としての水上バスへの変わるものである。


                      
2人目の作品は、通勤電車の退屈な時間を如何に楽しく快適に過ごせるかを模索した女子学生のアイデアである。通常10両程度の編成の両端付近に広告専用車両を設けると言うものである。4つドアの一般的な通勤車両がベースであるが、車内は千鳥配置に半円形のシリンダ状のガラス製のショーケースが設備されている。そのショーケースに沿って半円形のシートがあり、向かい側のロングシートは折り畳み可能である。この車両は企業に貸し切られ、車内で商品のプロモーションなどが可能なように設備されているのである。確かに今でもラッピング電車など1編成まるごと1企業の広告が施せることも少なくない。そんな環境をより進化させたのがこの広告車両である。

最後の作品は、現在JR東日本や関東の私鉄などで利用されているSuicaをより進化させた携帯型端末である。この端末の最大の特徴は、改札口での機械によるコントロールを視覚的に取り払い、改札機そのものを不要にしたことである。また端末には画像が表示されるため、目的地に行くためのGPSを使った駅構内のオリエンテーリングや、列車案内など移動に必要な情報を受け取れるしくみになっている。現実的にはまだまだ問題が山積しているテーマではあるが、電車移動の大きな精神的なバリアとなるのが改札口であることは間違いない。これを取り払うことで、精神的に移動のしやすさが一気に取り払われることは間違いないであろう。

私の授業は、絵を上手に描いたりモデルを奇麗に作ること以上に問題点をはっきりと認識し、分析からコンセプト、提案にいたるまでのプロセスを大切にすることを重要な位置づけにしている。彼らの作品は決して素晴らしいフィニッシュであるとは言えないが、少なくともコンセプトはしっかりと持って課題に取り組んだことは事実である。彼らが今後デザイナーとして学校で社会で活躍してゆくとき社会に貢献出来る人材としてベストを尽くしてほしいと願わずにはいられないのである。

来週は卒業制作の提出期限で、その学生も担当している。ここで紹介できればと今から楽しみである。


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