SSブログ

GT8-100C/2S / VBK+AVG [欧州鉄道]

私がドイツに渡って1年後、それまで通っていたドイツ語学学校のあるBremenから南西ドイツのPforzheimの美術大学から入学許可が降り、そこから少し離れたKarlsruheに住むことになった。そこに住む迄は知らなかったが、Karlsruheはドイツきっての路面電車の発達している街であった。Karlsruhe交通局(KVV)は、1989年当時、郊外路線への拡張に積極的な展開を進行中であった。もちろん私はkarlsruheの市街地にアパートを借りていたので、路面電車はすぐに便利な足となった。1990年だったであろうか、また新しい路線が出来るニュースが耳に入ったのだが、これにはさすがに驚いた。なんと復電圧になっており、市街地は直流750V、郊外路線はDBの路線を使用、交流15,000Vにも対応しているのである。この路面電車は、Karlsruheの中心商店街(いわゆるトランジットモール)を起点として、途中迄は路面を走りDB路線と交差する地点でDB路線に合流、郊外のBretten Bf.まで直通運転したのであった。それも営業開始から3日間は無料でお試し乗車が可能とのことで早速野次馬根性で試乗にでかけた。路面電車でDB路線を走るというのは中々面白い体験であったが、車両が新しく、標準軌なので十分に快適であった。この新しい路面電車(当時はLRTなどという言葉さえ知らなかった)の車両を撮りにEttlingen Stadt駅の車庫までカメラ片手に出かけて撮影したのが、この画像である。まだ広告も貼られておらず新車状態が美しい。その後、この車両には貸切で団体客が乗車している姿を良く見た。おそらく世界中からの視察者が絶えなかったのであろう。この世界初の路面電車と鉄道線のコラボレーション?は見事に成功をおさめ、利用者が従来の3倍以上に伸び、この新しい試みの成果がKarlsruheモデルとして世界中にその名を知らしめた瞬間でもあったのである。Karlsruheの路面電車はそれからも次々と路線を伸ばし、今では起点から終点迄100Kmを超える路線もあるという。それ故、車両の一部には、トイレや軽食の取れるbistro、また大きな窓から外の景色が堪能できるパノラマ車両など、ますます快適に便利になるKarlsruheの路面電車である。
このきっかけになった画像のGT8-100C形復電圧車両を導入する時、単に車両のみ新しくなったわけではない。ダイヤを改善し、運賃をkarlsruhe市のゾーン制に変更(安価に!)も同時に行った。この同時に多くの改善を行うことで、それまで自動車で市街地へ通っていた人や、中々出かけられなかった人も出かけるようになったということである。
日本もようやくLRTの名で路面電車が見直されつつある機運になってはいるが、このような事例をまだ知らない人も多いのであろう。市街地の空洞化に悩む地方都市は是非路面電車を検討して欲しいものである。


タグ:KVV LRT
nice!(2)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

nice! 2

コメント 8

klaviermusik-koba

全くその通り。中小の市電を持つ都市はこれを参考にして欲しいと思います。さしあたり一番市電に意欲的な広島あたりがやってくれないか、と思っているのですが。どこの製品か分かりませんが、同じ色のこの市電、うちにもあるはずです。
by klaviermusik-koba (2007-11-01 16:07) 

Akira

広島は日本で最も路面電車に積極的な街の1つですね。路面電車のある街は、自動車保有割合が他の街に比べて少ないと聞いています。私の居る群馬県は自動車数が世帯数より多いので、まずこのようなところから路面電車を実現して欲しいと思うのですが...。
お持ちの電車はROCOから出ているもので、私も欲しかったです。3線式なのですか?
by Akira (2007-11-01 20:05) 

TK103

2000年に訪独した際にカルフから足を伸ばしてkarlsruhe市に立ち寄りました。特に目的は無かったのですが、とても落ち着いた印象深い街でした。公園の自動で走るボートが楽しかったです(一人でしたので恥ずかしくもあり)。当時karlsruhe市の路面電車(LRT)に関する予備知識は無かったので、DBのマーク付の車両を見た時はとても驚きました。はたしてGレールパスで乗れるのか悩んだ挙句ゾーン制のチケットを買って乗車しました。やはり印象深かったのか、帰国後karlsruhe市のLRT模型がROCOから出ているのを知り3線式のデジタル仕様の物を入手しました。私としては唯一のメルクリン以外の車両ですが気に入っています。 懐かしい話題で久しぶりにコメントした次第です。では、
by TK103 (2007-11-01 23:34) 

Akira

TK103さん、コメントありがとうございます。
Karlsruheには、模型クラブがあってそこでは、歴代の路面電車がH0スケールで勢揃いしてました。(まだROCOが製品化する前の話です)それほど、Karlsruheは路面電車が市民に愛されているのですね。
by Akira (2007-11-01 23:54) 

Nie

この乗り入れシステムはほんとに興味深い存在で、ROCOが模型化したときは是非入手し、DB本線乗り入れ部分のレイアウトも作りたいと考えておりました。 残念ながら本物のように直角に接続する形式ではありませんが、現在のレイアウトではとりあえず路面軌道から本線乗り入れのセクションを再現しております。
http://mixi.jp/view_album_photo.pl?album_id=6919346&number=249380398&page=1
と、いいつつ 実は本物に1度も乗っておりませんので そのうち。。
(後ろにフライブルグの有名な建物が見えますがご愛敬ということで)
by Nie (2007-11-02 23:31) 

Akira

Nieさん、お久しぶりです。

画像も拝見しました。素敵な町並みですね。路面電車も良く風景にとけ込んでいます。
Karlsrheの路面電車は本当に積極的で、この列車が登場して10年も経たず新しい形式GT8-100Dが登場し、更に様々なサービスを伴った車両も登場しています。ROCOはこれも出さないんだろうか?広告車両も加えれば結構なバリエーションが可能になるのにと思います。
by Akira (2007-11-02 23:52) 

klaviermusik-koba

そういえばROCOだったと思います。2線式でうちのレイアウトでもKarlsruheさながら、ECと同じレールの上を走っています。なかなか走りは悪くないのですが、ただ工作が少し手抜き加減で、出来としてはかなりランクが落ちます。
by klaviermusik-koba (2007-11-03 19:43) 

Akira

ROCOの2線式GT8-100C、それでも羨ましい限りです。ここ数日路面電車の話題を出しているのはちょっとした理由があります。それはまた明日にでもご報告を....。
今日は、新宿から初めて485系の「快速ムーンライトえちご」に乗って午前様の帰宅をしました。
by Akira (2007-11-04 01:52) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0