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GT8-80C / AVG [欧州鉄道]

昨日に引き続きKarlsruheの路面電車を紹介したい。日本ではLRTという言葉がこのような新しいタイプの路面電車には呼ばれているのだが、私はドイツでLRTという言葉を聞いたことがない。いつでもどこでもStrassenbahn(路面電車)である。いいとこフランス風にTramであろうか。

さて、私がKarlsruheに初めて来た時、路面電車を見て驚いたのがこのGT8-80C形車両である。それまでのドイツの標準形車両がKarlsruheでも走っている中、大型のこの車両は圧巻であった。通常は2両で1ユニットを組んで走っているのだが、この車両は特にユニークな3両編成で中間の車体には、屋根迄回り込んだパノラミックウインドゥが設備されている特別な車両である。さて、路面電車なのに何故このような車両が存在するのかと言えば、実はこのGT8-80C形は市内線用の車両ではなく、郊外線であるAlbtalbahn線専用の車両である。Albtalbahnというのは、以前はKarlsruheを起点に黒い森(Schwarzwald)の入り口にあたる保養地Bad Herrenalb迄の私鉄路線であった。それをKarlsruhe交通局が吸収し、現在ではKarlsruheの路面電車路線の一部として運用され、Karlsruhe北にあるHochstaettenから中心市街地、中央駅を経由してAlbtalbahnに結んでいるのである。路面電車とは言え、Karlsruhe市内線は時速30Km/h程度で走行するのだが、郊外線である専用路線では80Km/hの速度で走行するのである。また、このAlbtalbahnは風光明媚な路線で、週末や夏期のバカンスシーズンには観光客が多く利用するのである。私がKarlsruheに住んでいた頃は、良くBad Herrnalbにハイキングやドライヴに出かけたものである。森が近く空気も澄んでいて小川のほとりでお弁当を食べたり、終点のBad HerrnalbのCafeのベランダでこの地方特産のSchwarzwaelder Kirschtorteなどとコーヒーを頂くのは至福の一時でもあった。また、途中Ettlingen Stadtでは、DBの路線と繋がっており、しばしば動態保存の蒸気機関車列車やUEF(Ulmer Eisenbahn Freunde)所属の01 1066が大きな車体を休めていたりするのも魅力の一つであった。

話は逸れてしまったが、そのような風光明媚な路線を走る路面電車には観光客向けの車両があるのも頷けるのである。この3両編成の中間車は単に窓が大きいだけではない。車内は全て向かい合わせのクロスシートで通常の2+2の座席配置ではなく、2+1であり、椅子には肘掛けも備えられている。更には床にはこの車両だけ絨毯が敷いてあるのである。前後の先頭車両は通常の2両編成と同じ仕様である。かといってこの3両編成には豪華な中間車両だけ人が多く座っている訳ではなく、それぞれである。もちろん、この車両に乗車するために特別な料金は不要である。単に保養地まで利用する乗客相手にしたサービスという位置づけである。
このような車両がごく自然に存在できるドイツやKarlsruhe市の懐の深さには恐れ入った次第である。しかし、残念なことに私が電停で路面電車を待っていると、この車両は中々現れないのである....。


タグ:KVV LRT
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T-Zug

横浜のT-Zugです。KarlsruheモデルのDB乗り入れシステムは、たしかJR-東日本のE501系の交直切り替えシステムの元になっていると思いました。システムはSiemensですが、この頃の英語読み?のシーメンスはどうもしっくりしませんね。「ふじ」でんきもこれでは「ふし」でんきになっちゃうじゃん?(でも漢字はどちらも士で同じか!!)
by T-Zug (2007-11-11 12:58) 

Akira

それは知りませんでした。交直両用は日本の鉄道のお家芸かと思っていたら、そうでもないのですね。確かにドイツとフランスでも交流/直流が違いますし...。(BR181が有名ですね)
Siemensの読み方は仰る通りですね。私はそれでもジーメンスといつも呼んでいます。
by Akira (2007-11-11 19:41) 

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