SSブログ

4403 DSB Gs / Ep.IV [Maerklin-Guterwagen]

b6751.jpg

DSBと言えばドイツの隣、スカンジナビアの最も南に位置するデンマークの国鉄である。画像のモデルは、そのDSBの有蓋貨車Gsである。今日は、このDSBモデルについて触れてみたい。
実は、このモデルをどこで購入したのかは忘れてしまったが、おそらく80年代だと思う。
デンマーク国鉄DSBは、1970年代に大規模なCI計画(Corpolate Identity)を実行した。それは車両の塗装のみにとどまらず、綿密なサイン計画マニュアルを作成し、駅舎からポスター、あつらえられる家具に至る迄、それまでのDSBに対するイメージを一新し、クラシカルな鉄道イメージから、私たちが一般的に持つ北欧デザインのイメージに近いモダンなデザインに変身を遂げたのである。その結果、利用者には好評で、乗客数も伸び、他の鉄道会社にも大きな影響を及ぼしたのである。(JR北海道では、DSBデザインの力を借りて大きくイメージアップを図っているのはご承知の通りである)

それを私が工業デザイナーを志した高校生ぐらいだっかかに知るに至り、その合理的で機能的な美しい色彩とサインに少なからず衝撃を受けたことを憶えている。そしてその頃少なかった資料を集めたりもしたのである。最終的には大学の授業でCI計画を履修し、その時の調査で東京のとあるCI計画を手がけているデザイン事務所に所蔵されている実物のDSBのCIデザインマニュアルを丸ごとみることが出来たのである。そして、そのマニュアルには貨車の塗装指示書があり、このGsが描かれていたように記憶している。

そしてそのCI計画を元に最終的に開花したのがIC3であろうか。先日の鉄道ブックフェアでトークショーを行った時よしゆきさんからの質問に最も好きな車両は?と聞かれ私は迷わずICE3と答えたのだが、それと同じくらい優れたデザインだと認識しているのが、DSBのIC3である。
趣味としてではなく、一デザイナーとしてヨーロッパの鉄道のグラフィックデザインは、このDSBとSBBが最も優れていると思うのであるが、鉄道デザインは、様々な要素が含まれるので、トータルではドイツが好きなのであろう....。

実は、IC3の開発時にICE3のデザイナーであるNeumeister氏にもデザインを依頼され、提案されたモデルを見たことがあるのだが、(確かに素敵なデザインではあった)ウイナーは、現IC3のデザイナーである故Jens Nielsen氏であった。DSBでのIC3の使われ方を見てもあのゴムの顔とコンパクトで折りたたみ可能な運転台の構造は、まさに魔法のようであり、その造形の美しさも含めて、私自身もその場に居合わしたならNielsen氏のデザインにジャッジを下したであろう。
Neumeister氏と初めて会ったLublijanaのICSID(世界デザイン会議)でNielsen氏も参加するという情報があったので楽しみにしていたのだが、その時直前に彼が他界していたことを知り、私のもうひとつの願いが叶わず、また彼にはもっと活躍を期待していたので残念に思ったのである。

b6750.jpg

前置きが長くなってしまったが、そろそろモデルの解説をしてみたい。
この有蓋貨車モデル(4403)は、1986年にデンマークのみで先行リリース。翌年全世界にリリースされたエキスポートモデルである。台枠、台車を除いて屋根からボディ迄全てDSBのCIに合わせた茶色に塗装されている。更に実車が木造?のためか、横線が等間隔に印刷されているのが少し目新しいところと言えようか。ベースモデルはDB向けの4410であるが、この塗装と横線で違いを際立たせていると言えよう。DSBの文字は比較的控えめな大きさにレイアウトされ、車体右下部分には、過去のDSBロゴマークも印刷されているところをみると、モデルのオリジナルは、CI変更時の過渡期だったのかも知れない。

いずれにしても、DSBの貨車はドイツと隣国ということもあって、特に北ドイツでは良く見かけるのであるが、私の手元にはほとんどないのである。DSBの貨車は、もっと我が家に置いておきたいものである。
本当は、メルクリンからIC3が出て欲しいのだが、それは難しいかも知れない...。

参考サイト:DSB
http://www.dsb.dk/

タグ:Ep.IV DSB gs
nice!(1)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 7

Ktochan

DSBとSBBのデザインが優れているというのは同感です。洗練されているというか。現在DSBはロゴを変えたようですが私はこの貨車のロゴと赤を中心とした色使いが好みです。昨年ハンブルク-コペンハーゲン間のIC3のECに乗る機会がありました。前面のゴム幌の様な部分の材質は何だろう?と触ってみたら、やっぱりゴムでした(笑)。ゴム幌を車両デザインの一部に取り込むという発想には感服です。
by Ktochan (2008-09-20 13:18) 

T-Zug

こんにちはAkiraさん。私も4403を持っていたかと思い、調べてみたら4406(仏国鉄)でした。(デンマークも欲しかった!)多分4403と同じように羽目板表現がプリントされていたのが印象に残り、勘違いしてしまったのでしょう。4406を見た時、プリントだけで随分と印象が変わるものだと思ったものです。
by T-Zug (2008-09-20 14:42) 

Akira

>Ktochanさん
Hamburg-KobenhavnのIC3によるECに乗車されたということは、Vogelfluglinieですね。途中のフェリー乗船時に列車が分割されるのはIC3ならではの機能ですよね。
フェリーは1時間程度の乗船ですが、自由に船内にも入れてデッキに出たりデンマーク名物のスモーブローを味わえたりと、私も良い思い出ばかりです。

>T-Zugさん
私は持っていないのですが、4406も羽目板が印刷されていましたか。この印刷の有無で印象が変わるのは確かですね。
by Akira (2008-09-20 17:17) 

熊本センター

こんにちは。NHK「ギル・シャハム バイオリン・リサイタル」の放映を聞きながら、 Spielkisteを読んでおります。幸せな休日の朝です。

Akiraさんは、DSBのCIデザインマニュアルもご覧になられたのですね。
羨ましい!公共交通は古臭い不便なモノというイメージを払拭するには、DSB・SBB・DB・JR九州さんを見ていると、デザインの重要性を感じます。CIはサービス業であるなら、どんな業種でも必要だと思うのですが、まだまだこちら地方ではあまり理解されません…。

AkiraさんはDSBのIC3を推奨されていますが、確かにいい車両ですね。
私はよく似たET型電車に乗りましたが、増解結の作業が簡便に対応でき、現場職員にも運用しやすいのも特長だと思います。

私が昨年乗車したET型。
http://celloan.exblog.jp/6829586/

IC3やET型はブラックフェイスがインパクトのあるデザインだと思いますが、同じ構造のベルギーAM96型は一部イエローにして、少し威圧感が和らいでいいなと思っています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%9B%BD%E9%89%84AM96%E5%BD%A2%E9%9B%BB%E8%BB%8A


ところで、私もハンブルク-コペンハーゲン間のIC3のECに乗りたかったのですが、昨年は北欧から南下する際はCNLオーロラ号を利用して、まだ未知の路線です。確かこの区間のECには最近ICE‐TDも運用されるようになったと聞いております。ICE‐TDとIC3が連絡船航送されるEC。是非いつか乗りに行きたいものです!失礼致しました。
by 熊本センター (2008-09-21 09:43) 

Akira

休日の朝を楽しまれているようで何よりです。CNLは海底トンネルの開通でKøbenhavnまでの路線変更を行いましたよね。私の乗った当時は、CNL化される前ですからフェリーに乗船しました。この路線はとても好きで、寝台車も大好きなUIC-U形です。専務車掌との雑談で、以前切り離された寝台車がRobbyの乗船前に入換え作業員の勘違いで危うく逆向きの列車に連結されそうになったことがあるそうです。その時は専務車掌が気づいて、慌てて勘違いした作業員に注意したものの、彼は暫く自分の勘違いを信じずに説得するのが大変だったとか?
もし、朝起きたら乗車した駅に到着していたなんてことになったらシャレにならないですよね。そんなことまで起きるような結構おおらか?なのがヨーロッパの鉄道です。
ICE-TDは、私が何故だかどうしても乗ることの出来ない車両です。
by Akira (2008-09-21 11:38) 

Ktochan

ハンブルク-コペンハーゲン間は4時間半程かかりますし、IC3には食堂車もありませんから、フェリー船内はいい息抜きの場になりますね。国際航路ということで免税店?もありましたよ。今はICE-TDも航送されているのですね。かつてはDRのVT18.16もこの区間を航送されていたようです。
by Ktochan (2008-09-23 11:21) 

Akira

そうですね。私が利用した頃は、まだICE-TDはおろかIC3も運用に就いていない頃で、しかもいつも夜行列車だったので、コペンハーゲン方面は、早朝(5時頃?)のフェリーでした。それでも船内に入りたくて、眠い目をこすりながら、免税店を覗いたり、食堂でスモーブローをほおばったりしていました。
逆方向の時は、まだ明るい時刻だったこともあって、船内のデッキで遊んだ覚えがあります。カモメが一緒の速度で飛んでくるので、パン屑などを投げると空中キャッチなんて芸を披露してくれました。今となっては、どれも良い思い出です。
by Akira (2008-09-23 15:14) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0