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43969 DSG 1174 WR4ü(e)-39 / Ep.IIIb [Maerklin-Reisezugwagen]

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いよいよD-Zug客車セット(43969)最後の1車種である食堂車(WR4ü(e)-39)を紹介したい。このセットで唯一UIC-XではないSchürzenwagenであることが、またこのセットをひときわ輝きのあるセットに仕立てて見えるのは私の単なる贔屓目であろうか?

Ep.III時代では、特に食堂車についてはセットを初めて開梱した時嬉しい驚きがあったのである。それは、なんとDSGの同形食堂車で初めて窓ヘッダの上に「DEUTSCHE SCHLAFWAGEN- UND SPEISEWAGEN-GESELLSCHAFT」(DSGの正式名称)と黄色文字で記されているではないか?
確かに、実車の世界でもヘッダの上に文字がある同形車両を写真で見たことがある。このようなバリエーションの違いは全く私のツボである。ある意味今回のセット、私にとっては新金型のPw4ümよりも価値を感じてしまうのである。

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さて、早速このモデルの実車について調べてみたい。上画像厨房側車端部の出入口扉下横にはDSGの車体番号が記されている。当時食堂車と寝台車は車両保有もDSGであったため、CIWL同様DBとは異なるオリジナルの車体番号が記されている。(食堂車は4桁、寝台車は5桁の番号)塗装色は、Rubinrotの車体に銀色屋根、黒裾。表記は黄色と当時のDSG標準色を踏襲している。
この食堂車の車体番号は「1174」である。「1174」は、1939年、Salzgitterの*LHB社にて製造。1966年のDB帰属時に「10 174」と車番が変更され、1978年にPurpurrot色塗装で廃車となった。

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RICラスターを見ると、全てではないが当時の西欧諸国の範疇をカバーしており、直流1500Vのフランスなどにも対応しているのが理解出来る。航送は不可のようである。セットで想定しているD 265については、食堂車もBasel Bad - Hagenと全てDBの国内運用なので全く問題ないと言える。

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REV表記は、1963年10月30日と記されています。次回検査日は赤文字で1年後に表記されています。

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車体中央を真横から見る。車体中央のDSGの文字と、その左右に配置されるマークは標準仕様である。窓ヘッダの上に文字が見えるのは新たなバリエーションながら、やはりこのレイアウトはCIWL客車の影響そのもの...と言えよう。しかし、真鍮製の切抜き文字をボルトで締めて飾られたCIWL客車と比較してしまうと、文字を塗装で記しただけのDSGの表現は、ちょっと空しい気もしてくる。

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DSG食堂車独特の横長サボには、Basel Bad Bf. - Hagenと、その主要停車駅が記されているのだが、Karlsruheが表記から抜けているのは、停車しなかったから?

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先程とは反対側(食堂側)には、エアコン用ルーバーが印刷されている。つまり、1963年には、既にエアコン設置改造されているということである。
台車は、製造当初からのGörlitz III Schwerである。台車に付いても60年代あたりから順次Minden-Deutz形に履き替えられているので、それ以前の仕様ということになる。

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先程とは反対側の厨房廊下側を手前にした全体像である。こうしてみても、そのプロポーションの美しさが理解出来る。

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厨房側の車端部妻面である。貫通幌は、蛇腹式。エアコン付きは順次ゴム幌に変更されたのだが、このモデルは、その過渡期の仕様であろう。
Popカラー塗装のモデルとは異なり貫通扉の木材表現である茶色塗装がされていないのは残念な部分。

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さて、ここで同時代(Ep.IIIb)の同型食堂車モデルであるDSG 1160(43242)と並べて比較してみた。(奥が1160、手前が1174)
両車を並べてみると、ヘッダ上の文字の有無以外ではほとんど違いを見つけることができない。
しかし、よく見てみると1160は、貫通幌がゴム幌、また台車がMD形に改造済みであったりする。

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屋上から見ても、その違いは中々見つけられない。

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先程と反対側(食堂側)の車端部を見ると、両車共エアコン改造が施されているが、その表現が若干違うぐらいか。

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最後の画像は、車体側面である。ここを観察すると、その違いが見えて来る。車体文字以外の違いに、1160の車体窓柱上部にある2カ所のルーバーが1174にはなく、逆に1174のDSGマーク左横にあるルーバーが1160にはない。このあたりは、設計時の違いなのかエアコン改造時に新たに設けられた違いなのかは定かではない。ただ、両車共1939年の製造であるが、製造メーカーは異なり、1160はWUMAG社、1174はLHB社である。

モデルとしての違いは、車内装備のテーブルに1160は無塗装であるが、1174は白色で塗装されてある。(これはインサイダーモデル故かどうかは定かではない..)

同じ車両が沢山在籍して来ると、こうして車体番号によって色々と異なる部分が見えて来て興味深いが、実車との検証が出来ていないので、それが本当に正しいのかどうかは不明である。ただ、今回の1174のような窓ヘッダ上の文字列などは、視覚的に大きなイメージを与える部分なので、実車検証されていると思いたいのは確かである。それにしても今迄リリースされて来たSchürzenwagen食堂車が全て異なる車体番号であるということは、メルクリンがユーザーの気持ちを充分に配慮したものであると好意的に受け止めるものである。私のようなSchürzenwagen大好きなヲタが出現してしまうのは、そういうプロセスがあってこそのもの...である。

* ) LHB: Linke-Hofmann-Busch GmbH(現 ALSTOM Transport Deutschland GmbH)

参考文献:Schürzen-Schnellzugwagen Teil 1 / KIRUBA Classic 1/2010

[EDIT] 2020-04-21

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東西急行

Akira様、東西急行です。1/87急行セット全て拝見致しました。
食堂車はフェリー航送の対象外と言う点に、何某か意味深いものを感じます(旧式食堂車の火力源を考えまするに尚更…とは申せ空調追加の時点で纏めて電化済みでしょうか)。
ゴム気密幌と従前の蛇腹幌が上手く繋げていたのかも気になりますが、走行中車輌間の往来は原則乗務員のみと考えれば危険は少ないと思えます。
附記:彼方の食堂車は、今次大戦後の新造車以外は先ず例外無く昇降扉が付いています。車長が余りに短い省鉄は早々に廃止しましたが、食堂車の原点であろう調理室付き優等座席車を想起させる重要な部分と存じます(省鉄食堂車も調理室を合理化、縮小出来れば片側だけでも残せたのでしょうが…)。
by 東西急行 (2010-11-14 17:28) 

Akira

東西急行さん、こんばんは。

1/87というのはフルスケール食堂車だけで、UIC-Xは1/93,5のショートスケールになりますが、まぁH0ということでご勘弁を。

貫通幌に関しては、ゴム幌と蛇腹幌を繋げる術があるのかもしれません。何しろ食堂車ですから乗務員のみ通過出来るのでは商売にはなりません...。

食堂車の火力源は、このモデルでは電化されている仕様と思います。屋根上の煙突が消滅し、側窓も変更されています。
by Akira (2010-11-14 18:18) 

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