26557 SBB WRm RIC / Ep.IV [Maerklin-Reisezugwagen]
TEE Bavariaセット(26557)でRe 4/4 I 機関車と同等かそれ以上に期待していたのが、この食堂車(WRm RIC)である。何故なら、TEE Bavariaを組成する上で外せないのがこのSBBの食堂車であるからだ。興味深いのはメルクリンのセットものの場合、大抵は同じ国内の機関車と車両を合わせているのだが、このTEEだけは別格で、1つのセットに機関車と食堂車はSBB、座席車はDBというもの。つくづくこのセットは、それまでのメルクリンのセオリーを崩したと言って良いと思う。
実車は、当初SBBの食堂車標準色エンジ色で登場したが、Re 4/4 I(TEE)を用意し、座席車もTEEカラーであるため、このTEE BavariaのためにSBB車籍の食堂車も最初で最後であるTEEカラーを纏ったのである。つまり、全10両存在した同形式食堂車は、おそらく..であるが、 TEE Bavaria向けの2両のみTEEカラーを施したと考えられる。
さて、かねてよりドイツのファンフォーラムを始め、USなどでもこのモデルの窓の大きさとプロポーションに疑問が投げ掛けられており、確かに2月のメッセで見たハンドマスターモデルと比較しても窓の大きさ、柱とのバランスなど残念な結果となってしまった。
何しろ、H0では随分前にリリプットが同形式モデルをリリースしたのみで、それから初めてリリースされたのだから、ドイツではメルクリンファンでなくても大いに期待が掛かったモデルであったことは容易に想像出来る。
そこでかの有名なSBB客車資料本(俗称ミドリ本)を捲ってみると、ユーロペン塗装であるが確かに車体と窓のバランスが違う。やはり窓は一回り小さく金型が彫られたようである。フルスケールではないだけに、全体のイメージを左右する窓とボディのバランスは、特に注意して設計すべきであったように思う。ただ、だからと言って捨ててしまいたくなるような酷い違いである訳でもない。むしろ27cmのバー車の方が酷かったと感じる。
▲ 車体厨房部分にあたる場所には「TEE」のマークが大きく表示されている。DBではDBマークとなるだろう。この違いがエレガントさをより大きく醸し出しているのであろう。
▲ 車体中央に「SBB CFF」の文字、その下に車体番号「51 85 88-70 000-6」がある。
▲ DBなら「SPEISEWAGEN」(食堂車)のところをSBBでは「RESTAURANT」にするあたり、仏語の影響が大きいからであろうか。スイスらしさはこのあたりからも読取れる。
▲ サボにはTEE Bavariaの文字とMünchen、Lindau、St. Margareten、Zürich HBなどの経由地が記されている。
▲ 厨房側の出入口扉は客扱いをしないためか車体同色である。(図面を見ると片側は厨房の中に繋がっている)
▲ 食堂側出入口扉は金色に塗装されている。
表記のレタリングは、相変わらず精細で滲みのないレベルの高いもの。
台車は、スイスのシュリーレン形であろうか。1度その乗り心地を味わってみたいものである。
RICラスターをみると、入線許可国が4カ国(DB/SNCF/FS/ÖBB)+SBBしかないが、電源は4電源のようである。おそらく申請をしなかっただけで実質はベルギーやオランダも入線可能であろう。
REV表記(直近検査日)は1973年4月3日とある。1972年のオリンピックに合わせているなら日付はことなるのだが...。次回検査日は、1974年4月2日とあるので、仕様としてはこの2つの日付の間ということになる。
特徴的な屋根上のパンタグラフである。多電源故、交直流の整流器などが所狭しと並んでいる。
妻面である。尾灯がないので最後尾に来る場合は赤色ランタンを車体に引っ掛けて走ることになる。また左下部分に小さな表記があるが、ここには「OLTEN」と記されている。
色々文句も並べてインプレしたのだが、とにかくこのモデルの存在自体が貴重であり、嬉しいもの。TEE Bavariaに限らず、同形式車両はオリジナルのエンジ色仕様やその後のユーロペン塗装など、今後のバリエーションも期待出来よう。メルクリンからリリースしてくれただけで、信じられないような感じなので、ただただ有り難いモデルである。
参考文献:SBB Reisezug- und Gepäckwagen / Generalsekretariat SBB
Akiraさん、こんばんは。
インプレありがとうございます。・・・と言いつつ、私のところには約二週間前Ae610Cargoと共に到着し、試運転の結果も極めて快調でした。心配だったWRmの窓寸法についても、希少なモデルだけに残念な思いは拭い切れないものの、実際に手にして走らせてみると個人的にはそれほど苦にもならず、正直ホッとしています。
ここからは全くの推測ですが、Re4/4のパンタを前後使い分けるほど細部に念を入れているだけに、窓寸法の件も単純ミスではなく、ショートスケールという制約の中で何を取り何を捨てるか、メルクリンなりの意図があってのことではないでしょうか?緑の37044の黒パンタの件にしても、他に赤い貫通型39421も黒なので、やはり単純ミスとは思えない(思いたくない)のですが。
このあたりの「真相」について、もしメル社から聞き出せるチャンスがありましたら、是非よろしくお願いいたします。
by seidoh (2010-11-30 22:50)
seidohさん、こんばんは。
既に到着済みとのこと。試運転、私も早くやりたいです。
さて、WRmの窓ですが、どうやら車体全体のプロポーションも怪しいようで、実車は台車が隠れるくらいまで裾が下がっているのですが、モデルは台車回転のため?裾が高めです。
更に屋根と車体の境界線から窓上までの長さ、窓の縦の長さのバランスが合っていないこと。窓の幅と柱の幅のバランスも違うので、どうしても見た目の印象が実車と異なってしまうようです。
ドイツのファンフォーラムでは以下のような図で示しています。
http://img574.imageshack.us/i/sbbricwrteemaevergl.jpg/
昔の27cmモデルの時は、確かに窓数が違ったのですが、印象は良かったです。これがセンスなんですが、今回のモデルは残念でした。
でも、重箱の隅を突くようなマネはしたくないですし、私は割り切ることにしました。
by Akira (2010-11-30 23:31)
>実車は台車が隠れるくらいまで裾が下がっているのですが、
・・・とすると、ひょっとして「腰高感」を出そうとして裾を下げずに窓下端を上げたら妙なことになってしまったとか!
>ドイツのファンフォーラムでは以下のような図で示しています。
うーん、頭では分かっていても、こういうものは見ない方が精神衛生上良いかもですねぇ。
>重箱の隅を突くようなマネはしたくないですし
全くその通りだと思います。
by seidoh (2010-12-01 00:00)
seidohさん、おはようございます。
う〜ん、やはり頭の中にある実車のイメージというものがモデルにとって如何に大切なのかが理解出来るという好例だと思います。
ドイツのファンフォーラムは、メルクリン社内でもちゃんとチェックしているでしょうから、販売店(顧客)からの意見も合わせて、以後改善されることを祈るのみです。
by Akira (2010-12-01 07:53)