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メルクリン破綻処理終了 [Maerklin-Allgemein]

今月21日にゲッピンゲンの裁判所で行われた債権者向けの集会で、債権者側が再建計画を承認、また債権の一部放棄に同意した。それにより、弁護士の管財人下で進められて来た破綻処理も今年末で終了となり、来年1月1日より自主再建により新生メルクリン社が発足される。
ただ、現状の鉄道模型業界全体は今なお前途険しいのは承知の通りで楽観は出来ないのも確かである。

これまで、当ブログでも本件についてその見通しに少しばかり触れて来たが、いよいよそれが決定されたことになり、昨年2月のメッセ前日ニュルンベルクのまさに現場に居た自身を思えば実に感慨深い。

[SWRニュースウエブ版(ドイツ語版動画付き)]
http://www.swr.de/nachrichten/bw/-/id=1622/nid=1622/did=7340592/17h6ti0/index.html

日本での新聞記事は、私が知る限りでは時事ニュースのウエブ版のみである。

http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2010122500121

メルクリンが破綻した翌日のニュルンベルクメッセは、酷いものであった。本来なら創業150周年を祝う最初のお披露目の場でもあったはずだが、それどころではなかった。日本からも本件に関する報道のされようが連日伝わってきて、その事態の大きさがドイツから日本へと(それも誇張され..)伝わったのは残念でならなかった。一方今回の自主再建のニュースは上に記した通りである。日本のマスメディアはこんなもの..と思うしかないのであろう。

破綻当初、その時の新製品の素晴らしさと、それらがプレゼンされたメッセのブースが当時の私の本件に関しての心の支えでもあったのは確かである。また、メルクリンというブランドは無くならないという確信が心に残っていたのは、当時の私の根拠のない自信にもなっていたわけだが、実際ドイツでのメルクリンのブランドが意味するものは私の想像を遥かに超えるものでもあった訳である。メルクリンは鉄道模型業界では世界最大であるが、玩具業界では一つの小さな会社に過ぎない。しかし、ここまでこの会社が支持された理由は、ここをご覧のファンの方には記すまでもないであろう。

それから、いくつもの親会社候補との折衝をした結果、今回のような自主再建となったのは喜ばしいことである。もし親会社の元で経営再建を図ることになった場合、生産拠点の問題が大きくのしかかってくることは明らかで、ゲッピンゲンの本社工場による生産の維持を頑に守った姿勢が今回の自主再建と大きな関わりがあると私は思う訳である。これはとても大きなリスクを持つことになるのだが、一方で高品質でなければならないメルクリン製品にとっては不可欠要素でもある。これを死守したことは諸刃の剱でもあるが、私は間違いのない選択であったと思う訳である。

おそらく今後もメルクリンにとって決して生やさしい道ではないと思うが、それを克服するためには、サービスも含めて顧客の求めるものに対して真摯に対応することや、更なる技術革新、そしてファンに夢を与える鉄道模型であって欲しいこと。そこにメルクリンの未来はあると私は信じるのである。

[追記]
メルクリンドイツ公式サイトから破綻管財人であるPLUTA法律事務所名で本件についてPDFファイルで配信された。(ドイツ語)

http://produktadmin.maerklin.de/presse-upload/0001-101221-Pressemitteilung-final.pdf

これが破綻処理終了についてのメルクリン公式発表と捉えることが出来よう。

[EDIT] 2010-12-28 09:19
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かなりのメルファン

こんばんは。今年も新製品が続々と上陸しつつある時期になり気を引き締めて(財布の紐も引き締めて)購入計画を練り直している段階です。自主再建路線の選択は正解、というかその方がメルクリンらしくていいと思います。ドイツの本社工場がメインになる(?)であろう事にも安心しました。玩具業界中では小さくても鉄道模型では世界一なのですからなおさら特化して貫き通して欲しいですね。最後に自らを救うのはやはり夢のあるマーケティングと真面目な製品づくりに尽きるのだと思います。是非自らの足で立派に立ち直し、ブランド力に恥じる事なく飛躍し続けて欲しいと思います。
by かなりのメルファン (2010-12-25 21:46) 

Akira

こんばんは、かなりのメルクリンファンさん。

コメントありがとうございます。同業他社のメーカーはそのほとんどが中国生産となっている現在、やはりゲッピンゲンの本社工場生産に拘る姿勢は間違っているはずはないと私も思います。
また、ドイツでは今なお鉄道模型のスタートセットが子供達の欲するクリスマスプレゼントの上位にあると聞いています。私も最初はメルクリンのスタートセットから始めた訳ですし、その魅力は立派な?オヤジとなった今でも忘れられるものではないです。これから如何に鉄道模型の魅力を子供達に伝えることが出来るか?ということが今後の鍵の1つになるのではないでしょうか?
by Akira (2010-12-25 21:57) 

seidoh

Akiraさん、こんばんは。

自主再建、素晴らしいことですね。投資家の顔しか見ていない企業では、決してできることではないでしょう。こういう話を聞くと、特に根拠がある訳ではないですが、何かドイツの良心のようなものを感じます。
by seidoh (2010-12-25 22:08) 

Akira

こんばんは、seidohさん。

資本主義の世界では、結局お金がモノを言う世界ですが、今回のメルクリンの破綻とその後の処理については、何か別のモノを私は感じています。それは何だか私にもわからないのですが、結局はメルクリンを残しておきたいという気持ちを持った人がドイツには多かったということでしょうか?良質の玩具を与えることを大切にするのがドイツ人と良く言いますが、メルクリンはSteiffと並んで良質の玩具の代名詞であり、それを消し去ることは出来ないのでしょう。そこが「ドイツの良心」と繋がるのではと思います。
by Akira (2010-12-25 22:15) 

だんきち

「メルクリンを残しておきたいという気持ち」これは忠誠心という意味の方のブランドロイヤリティでしょう。「誰が何と言おうとメルクリンがイチバン」という意識を持った顧客が他の鉄道模型会社に比べて圧倒的にたくさんいる、しかも購買能力やその裏付けとなる社会的地位はそこらの玩具とは全く違うレベルである、このように熱くてオイシイ顧客をテンコ盛り抱えた会社を傾くままに放置する理由などないわけで、去年からのゴタゴタは愛好する心と資本主義の両面でドイツ人が外国資本からメルクリンを取り戻す過程であったと思うのです。
そんな紆余曲折を経て新生叶ったメルクリンには今度こそ大いに期待しております。
by だんきち (2010-12-26 01:01) 

Akira

おはようございます、だんきちさん。

仰る通りですね。今度こそ、そのような顧客の期待を裏切らない健全な経営で会社を発展させることに、私も大きな期待しています。
by Akira (2010-12-26 06:44) 

KDB

お早うございます。KDBです。
メルクリンは自主再建なったそうで、喜ばしい限りです。いくら大きな親会社がついても、「投資会社」ではユーザーの方を向いた仕事はお座なりになります。「この会社で儲ける」と、「この会社で愛好者の期待に応える」では、姿勢が大違いです。たとえ投資会社の傘下で無くても、かってのヨーロッパの主要メーカーは、トリックスとロコ傘下になったフライシュマンを除いて、みな中国製品になってしまいました。中国製品が一概に悪いとは言いませんが、何かどこかに心が篭っていない印象を受けるのです。バックマンの製造製品など確かにスムースによく走ります。しかし、明らかに手抜きと分かる足回り構造の蒸気機関車、何年かでクラックする事があるダイカスト、強引に取り付けて破損しかけているプラスチックの部品、禿げやすいダイカスト面の塗装、など、これまで私が出会った中国製品の印象です(全部がこのようではありませんが)。メルクリンは再びドイツ人の手に戻り、愛好者の方を向いた良質の製品を送り出してくれると期待しています。
by KDB (2010-12-26 08:30) 

klaviermusik-koba

難しい問題ですね。私のように細く長くメルクリンにつき合ってる人間として思うのは、メルクリン製品の価格は相対的に昔に比べ、ずいぶん安く提供されていて、それでいて質は落ちていない。

でもこれは時代は変わってもドイツが自分の国の質に誇りを持っているからこそできることだと思います。音楽についても同じでこんなコストに合わないものはないのです。
by klaviermusik-koba (2010-12-26 09:57) 

Akira

こんにちは、コメントありがとうございます。

> KDBさん。
その通りですね。メルクリンには、今の姿勢を貫いて顧客を向いたより良い製品づくりに邁進してもらいたいですね。

> klaviermusikさん
細く長くつき合うというのは、確かにメルクリンを趣味として長く続ける秘訣でもありますね。欲しいけど買わ(え)ないというのは、フララストレーションが溜まり易いですが、何でも買えるというのは、時として飽きが来たりします。

今や4世代に渡って楽しめるメルクリンですが、まだまだ今後も長くつき合えるモデルを「買える程度」の価格で提供する姿勢であって欲しいです。
by Akira (2010-12-26 15:38) 

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