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Former Orient Express Dining Carriage Restored [欧州鉄道]

ハンガリーに長らく保存されていたCIWL食堂車が先頃レストアされ、完成のお披露目がされたとのニュースを発見した。以下がその時の映像。



これは、1912年に製造されて今年が丁度100年が経過している食堂車で、我々が良く目にしている濃紺色の車両より1世代前の車体の木目が美しい木造ダブルルーフ車両である。ハンガリーは長く共産圏下で、この車両は解体されずに放置されていたようである。それをここまで見事にレストアされたことは、賞賛に値することである。

当時は、エアコンもなく暖房やレンジももちろん石炭が使われていた車両である。冷房がない代わりに、側面窓の工夫でベンチレーション機能を果たしたり、当時の技術の粋を集めた車両であることが窺われるもの。インテリアの装飾も当時の雰囲気が充分である。このレストアが完成した記念に短距離ながらお披露目も兼ねてキャンドルディナー列車として走らせたそうであるが、今後もオリエント急行として走ったであろうこの食堂車がVSOEの元で長く運用して欲しいものである。

この同形車両は、メルクリン/TRIXからH0モデルでリリースされている。モデルでの登場も期待したい。

参考サイト:Former Orient Express Dining Carriage Restored / NTD TV
http://ntdtv.org/en/news/world/europe/2012-05-15/former-orient-express-dining-carriage-restored-.html
タグ:CIWL VSOE Ep.IV
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seidoh

Akira様、こんばんは。

文化の厚み、というか、懐の深さ、というか、真の豊かさというか・・・。
旧ソ支配下の辛酸を舐めながらも、価値ある物を守り通してきた彼の国には、まことに頭が下がります。此方SLだけはそれなりに残っていても、牽かれる客車が大衆迎合のイミテーション、所詮「イベント列車系」ばかりではねぇ・・・。
それはともかく、アナウンサー女史も、客車に劣らずなかなかの美人さんでしたね。
by seidoh (2012-08-03 22:42) 

Akira

こんばんは、seidohさん。

以前からブタペストにCIWLの客車が眠っているらしいことを風の便りで聞いていましたが、それがこの食堂車かどうかは未確認です。いずれにしても共産圏時代に良く解体されなかったと思いました。おそらくその価値を知っていた人達が何とか保管していたのでしょうね。欧州では建物のファサードを敢えて残しているように、今出来ない職人の技術を後世に残すということに価値を認めていることだと思います。
今回のレストアはおそらくVSOEの運営会社からの支援があったのでしょうね。VSOEのノウハウとサーヴィスは一級ですから、この食堂車もVSOEのクルーによって今後も運行されることを願っています。
by Akira (2012-08-03 23:52) 

Berliner

これはいい話ですね。でもハンガリーの鉄道人が価値をわかって残しておいたかどうかについては私はちょっと否定的です。減価償却を終えた固定資産ってその残存価値よりも除却費用の方がずっと大きいってことがありますから、敷地が余っていてその高度利用を求められないなら、敷地のすみにほったらかしにしておいた方が経営的に得だってこともあります。そんな理由で今まで残っていたってこともあるような・・。
でも日本は、蒸気機関車が引く客車をもっと本格化して欲しいですね。ユニットクーラーのついた近代客車は止めて欲しい。レールパークなんていうところに残っている客車はもう復帰できないのですか? 私は二等車に関心があるのですが。

ところでポーランドには蒸気機関車などのレストアを専門にしている工房がありましたね。賃金がドイツ等に比べて安いということもありますが、それで経営が成り立つというのはすごいこと。それにHandwerkerの意地も感じられます。この食堂車はどこで修復されたんでしょうか。インタビューされていた人、スラブ系の名前でしたね。
by Berliner (2012-08-04 00:59) 

カゲノ

木造客車がここまできれいに存在するというのがすごいです。
ところで保存車両はニス塗りですが、メルクリン/TRIXの木造ワゴンリ客車はおそらく茶色ペンキ塗りを表現していると思います。現役当時は両方存在したのでしょうか?(白黒写真だといまいち不明)
by カゲノ (2012-08-04 01:20) 

東西急行

Akira様、東西急行です。
>CIWL木製食堂車
画像を仔細に解読出来ず車輛番号特定は叶いませんが、1912年製造
と言う履歴より推して、本車の同型車は相当数有ったと考えられます。
ギミック面では風取り窓の可動式硝子スリットに戦慄を覚えました。
今後VSOE(Simplin線経由を投げた以上屋号に入れているのは詐欺!)
の一部に組み込まれるとすればUIC符丁を刻まれる訳ですが、出来れば
止めて欲しいと切望します。
>東欧
忌まわしむべき共産主義に冒され任せにされた地域が、結果的にタイム
カプセルの役割を果たしたと改めて実感しております。表向き「共産党様
万々歳(んなワケ無ぇだろ粛清ハッピィが)」と喚いておけば大抵の文化的
活動は容認されていました。

附記:車輛の快適性にはシートピッチ(背もたれ間の距離)より座席の幅が
影響すると近頃思っております。同時代の優等車を比べた際欧州車輛より
省鉄の方が二等座席、食堂(出自、シートピッチより推して明らかに二等座
席の変種)のシートピッチで勝っていました。
にも関わらず彼我への一般的評価は我が方に厳しい、殊に「狭苦しい…」
とする声が大きく多年不可解でしたが、某サイトの「航空座席の快適性は
幅が決める」との一文と手持ち資料とで一挙に理解が進んだものです。
肩がぶつかる程に狭い省鉄座席では落ち着いて乗っていられない、高い
優等料金が無駄だと断ぜられるのも道理と思った次第です。
「優等車に貧乏人の詰め込み思想は有害」とも言えます。



by 東西急行 (2012-08-04 08:54) 

Akira

おはようございます。沢山のコメントをありがとうございます。

> Berlinerさん
古い車両が残存していたのは、単なる偶然か、必然性があったのかは、今のところ私も確認のしようがないですが、結果として100年前のCIWL食堂車がこうして蘇ったことはポジティヴに考えています。
日本の蒸気機関車列車に使われる客車ですが、12系が多いですよね。そもそも蒸気機関車が無くなったのは無煙化という言葉通り、車内に煙が入り服が汚れたりしますから日本では中々受け入れられにくいという事情があるかも知れませんね。一方で旧型客車にエアコンを取付ける事は不可能ではないとも思います。あとはコストの問題でしょうね。

> カゲノさん
確かにメルクリン/TRIXの食堂車とは台車も異なりますし、色も窓周りが白塗装ですからニス塗りの現車とは形式も異なりそうです。デビュー当時(1910年代)はどうだったかわかりませんが、メルクリンモデルは1921年仕様だったかと...。

> 東西急行さん
私もあのガラス製の風取り窓スリットには、その工芸品的美しさを感じました。さて、VSOEが絡んでいるとしても、RIC仕様に改造はされていないような気がしています。(UIC表記が見当たりませんでした)

ハンガリーは共産圏の中でも比較的自由だったという話は聞いています。経済的に恵まれなかった共産圏の国々は東独もそうでしたが、ハンガリーでも仰るようなタイムカプセルがあちこちに存在した訳です。皮肉ではありますが、昔の良い部分がこうして蘇ることが出来たのはそれ故ですね。我が国のYb形は正反対の気がします。
by Akira (2012-08-04 09:55) 

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