43290 DB AB4üe-35/52 (11 613 Ffm) / Ep.IIIa

昨日紹介した食堂車と同じセットに同梱されている１/２等区分室客車（43290）について触れてみたいと思います。この客車も食堂車と同じGruppe 35系列です。F-ZugのStahlblau（鉄青色）に塗装された同形式２両がセットにあり、今回紹介するモデルはこのうちの１両です。
このモデルも食堂車同様フライッシュマンのOEMです。

この車輌は、全長21,824mのため、モデルはフルスケールです。外観で特徴的なのは当時の主流である出入口が一段凹んだ所にあることと、ひときわ大きな側面窓でしょうか。図面を見ると幅1.400mmです。UIC-X客車の客室側面窓が1.200mmであるので、その大きさがわかるというものです。そしてそれは客室（区分室）の大きさにも比例しています。 車体中央にはDBのロゴが印刷されています。実車はステンレスの切り抜き文字が貼り付けられていたはずです。

[実車について]

この車両は、形式通り1935年にKasselのWegmann社*で製造されました。戦後はDB車籍となり、1954年に改造されていたようです。Ep.IVのUIC表記以降は、形式がAüe 308となり３度ほど番号が変わっていたようです。1976年12月に廃車されています。

[モデルについて]

さて、このモデルの長所は食堂車と同様ディテールの繊細さでしょうか。この長所は同時に短所（と言うべきか）も食堂車と同じで華奢な感じがメルクリンモデルのイメージとはやや異なるように思います。

興味深いのは、出入口扉横にある等級表示です。最初にこのモデルの画像を見た時、等級である「２」の数字の位置が随分低い位置にあると感じたのですが、モデルの等級数字の上に蓋らしきものが印刷されています。もしかしたら、実車では、この蓋の下に「１」の文字が隠されていると思われます。実際に１/２等合造車なのに車体には２等車表記しかないのは、１等区分室部分が２等に変更できるからと想像できます。Ep.IIIa以前のSchürzenwagenでは、１/２等合造車は車体中央の２室が１等で区分室の大きさは２等と同じで、６人用区分室が１等では４人用区分室になっており、この客車も中央部の２室が４人用区分室になっていますが、等級表記が１/２等と２等に変えられるのであれば、区分室自体も４人用を６人用に変更できるクイックチェンジシステムが導入されていたのかも知れません。

＊Ep.IIIa時代の等級は３等級制で、この車両の２等車は、２等級制である現在の１等車に当たります。

台車は、Görlitz III Leichtです。台車の表現は素晴らしいです。車輪もフライッシュマン社製のため印象が異なります。

車体表記は、Ep.IIIのもので「11613 Ffm」の車体番号が記されています。

サボには、列車名の「Merkur」の他、目的地であるFrankfurt (M)までの主要停車駅が印刷されています。

台枠部分の表記です。RICラスターは11カ国対応です。所属駅はFrankfurt (M) Hbfで、直近検査日は1953年5月8日、次回検査日は同年10月8日と記されています。

妻部分の斜めから見たところと正面です。貫通路は蛇腹のタイプです。 今回のセットには、２両の同形式があるが１両には集電シューが取り付けられ、もう１両と食堂車にはRTSカプラーを通して室内照明の電力が供給されます。集電性能には問題ないです。 このモデルに関して望むべきもことは多くないのは確かでしょう。それより、Gruppe 35系列ではこのモデル以外にも１/２/３等合造車などがあるはずなので、そのモデルもあればと思います。

*) Wegmann: Wegmann & Co., GmbH

参考文献：Einheits-D-Zug-Wagen (geschweißt), Bauart 35 /「Wagen」Das Archiv der deutschen Reisezug- und Güterwagen, GeraNova Verlag

[EDIT] 2020-03-01

タグ：F-Zug DB Ep.III Gruppe 35 Stahlblau Fleischmann Merkur