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43290 DSG 1133 WR4ü(e)-35 / Ep.IIIa [Maerklin-Reisezugwagen]

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前回届いた新製品の目玉とも言うべきモデルは、F-Zug "Merkur"セット(43290)です。これは、戦前形車輌、Schürzenwagenの一つ前の車輌でしょうか。Gruppe 35系列と呼ばれる長距離用客車である。そしてもちろんメルクリンH0モデルでは初めての形式にあたります。今年のInsidermodellがEp.III仕様ののBR05であることから、このGruppe 35系列のF-Zug仕様がこのモデルに合わせてリリースされました。
さて、このモデルですが、実はメルクリン製ではなくフライッシュマンによるOEM生産です。よって、モデルを手にするとメルクリンらしからざる部分も多々あるが、決してそれはネガティブなことではなく、窓の表現などメルクリンモデルより繊細さを感じられる部分もあります。また別パーツもメルクリンより多いように思います。

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[実車について]

このモデルの実車であるWRü(e)-35のデビューは、形式通り1935年です。落成当時の車体番号はMITROPA 1088です。同形式は、まず15両製造され(1102迄)、翌1936年に25両製造(1127迄)。メルクリンモデルの1133は、その二年後(1938年)に製造され(1128から)、おそらく二次車であろうと思われます。(MITROPA番号は一次車と二次車は連番)違いは台車にあるようで、二次車は4枚板バネの台車とのこと。(いずれもGörlitz III Leicht)
同形式は総数60両を数え、大所帯と言えると思います。最後の車輌は1939年MITROPA 1147として製造されました。 同形式の1両は1936年にGoerlitzで製造され、製造後すぐに"Schaffendes Volk"(成功する国民)展示会へと運ばれ同形式が初めて公になったそうです。

[モデルについて]

最近のメルクリンモデルが実車を忠実に再現する姿勢が強く現われて来たためか、フライッシュマン製であっても、外観からはそれ程違和感を憶えません。

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しかし、細かな点では確かにフライッシュマンらしさが出ている様にも思います。例えば出入口横の把手が樹脂の別パーツで表現されているところや、窓廻りなどの繊細な表現、またインテリアのテーブルランプの表現などがそれにあたります。特にキッチンの窓にある換気部分の表現はメルクリンモデルより遥かに繊細であり好印象です。逆に屋根上のベンチレーターの一部にはメルクリンのSchürzenwagenで見られる様な金属製パーツなどはなく、あっさりと樹脂の別パーツで仕上げてある部分もあります。

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床下に目をやれば、やはり繊細な表現の台車(Görlitz III Schwer)や台車内側にあるベルト式車軸発電機まで表現されているのは素晴らしいです。それに対して車輪や車輪へと導電させるパーツなどもメルクリン製ではありません。特に車輪については昨今のメルクリン車輪のグレーがかった艶のないメッキ処理ではなく、ツヤツヤした銀色に光る素材で好みにもよりますが、私はメルクリン派です。もちろん機能的には問題ないです。そして台枠部分にはしっかりと"märklin"の文字が彫られているのは、あく迄メルクリン製としてリリースされた証ですね。


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このモデルは、3両セットの1両であるため、全車室内照明付きですが、集電シューは他のモデルに付いており、この食堂車モデルにはRTSカプラーによって導電されています。またRTSカプラーの電極に直接ケーブルがハンダ付けされているため、おいそれとカプラーの取り外しが出来ず、食堂車の組成が3両の中央にしか出来ないのは辛いところでもあります。(もちろん車内照明を点灯させなければ問題はない)


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上画像は、モデルの表記類です。いずれも精細で美しく印刷されています。RICラスターは9カ国に入線許可が記されています。また電気暖房対応の表記もあります。

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台車は、Görlitz III Schwerです。台車も美しいモールドです。

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屋根上の厨房用煙突や、ベンチレータ類、また妻部正面です。貫通幌は蛇腹式です。

製造したフライッシュマンでもこのモデルは発売されていますが、Merkurではなく、Gambrinusセットとのこと。このGruppe 35系列自体は興味深いモデルであるのですが、現在はROCOとの合併でフライッシュマンとのコラボレーションは期待できません。

参考サイト:メルクリン・ドイツサイト Set mit 3 F-Zug-Wagen "Merkur".


参考文献:EJ-Special 2/92 "75 Jahre MITROPA" / Eisenbahn Kurier Hermann Merkur Verlag GmbH
[EDIT] 2020-03-03
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コメント 2

DB103

 こんばんは。
 いつも教えていただきありがとうございます。

 本日、食堂車について調べているときに見つけました。

http://www.speisewagen.net/

 ご存知かもしれませんが、一応貼っておきますね。

 それにしても、ドイツ型の車両はわからないことだらけですね。
 制式は28形、35形、39形(シェルツェン)のようですが、模型の世界ではWR4ue-34とか-40と記載されている例もあります。
 28、35形は輌数も多いし、製造期間もそれなりにあるので、形態変化もあるのでしょうが、残念ながらこのあたりの解説はありませんでした。

 そうそう、資料によってはDSGの4ケタ番号の後ろにPが付くものがありましたが。これは正しいのでしょうか?

 あと、こちらのWR4ue-35ですが、Gambrinusの方を持っています。
 ステップのメッシュが抜けているなど、やり過ぎの感はありますが、良くできていますよね。
by DB103 (2015-06-14 20:32) 

Akira

こんばんは、DB103さん。

私にとっては、同じ欧州のフランスやイタリアの客車の方がチンプンカンプンですw
CIWLも未だに把握しきれていませんし...。
DSGの4桁番号の後ろにつく「P」は、Privatの略、つまり私有客車の表記だと思います。カタチ上は、DSGはCIWL同様民間会社ですからね。
この客車はフライッシュマン製なので、メルクリンより繊細です。今や、フライッシュマンはロコと同じグループなので、このようなコラボレーションは今後はないでしょう。貴重なモデルとなりました。
by Akira (2015-06-14 20:44) 

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