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43249 MITROPA 1189P WR4ü / Ep.V [Maerklin-Reisezugwagen]

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今日は久しぶりに客車の紹介をしてみたい。1997年の限定モデルとしてリリースされたこのSchürzenwagenの食堂車(43249)は、ちょっと変わったモデルである。と、言うのもこの食堂車の実車は、1997年にISG(CIWL)/ DSG車両工場(ミュンヘン郊外のNeuaubing)にてレストアを施された動態保存車両であるということである。故に、Ep.II時代のオリジナルに可能な限り近づけた現代に生きる車両をプロトタイプにしたモデルということである。


このモデルの実車であるが、1938年10月にGörlitzにあるWUMAG社でMITROPA AGから30両発注されたうちの1両で、落成はその2年後の1940年1月となっている。第2次大戦後LHB社とFahrzeug- und Maschinen-GmbH社が共同で設立されたSalzgitter-LebenstedtにあるFAMASで最初の改造を受けた。1958年には、蛇腹式幌からゴム幌に改装、1960年にはエアコン取付け、そして1961年には重油式暖房への改造を受けている。1966年1月1日からはDSGからDBの所属となり、DSG特有の4桁番号からDBの2+3桁番号(10189)へと変更となった。形式もWR4üg(e) 152となり、個体番号はUIC規格の51 80 88-46 189-3となった。1967年には台車をMinden-Deutz( Bauart 34)に交換され、1970年には最高速度が160Km/hに引き上げられた。同時にUIC番号も51 80 88-86 189-4に変更される。
1970年6月には、直流3000Vの電気暖房を装備、再びUIC車体番号が51 80 88-80 189-0に変更となる。
その後、1980年にはDSGのサービスクルー向けトレーニング車両への改造工事が行われたのである。UIC番号は更に51 80 88-80 189-0へと変更される。この改造されたトレーニング車両はFrankfurt/M Hbfの155番線で任務を果たしていた。
1985年には、2週間程民間企業にチャーターされ、その時は外装をシールで変えている。1986年12月から半月程Neuaubing工場で小修理を行っている。1989年には、当時のIC塗装(O.Rotベース)に模様替えしている。これは、当時DBの第一線で活躍していたIRのBistroCafeのサービスクルー養成のために車内インテリアもBistroCafe同様の設備がされていた。

そして1997年にNeuaubingのISG/DSG工場にて再び元の姿にレストアされ、「歴史的食堂車1189P」として本来の優美で美しい姿に再現されたのである。この時には前述したように、動態保存のため利用者に食事を快適に提供できるようエアコンや電気暖房は撤去されず、また厨房機器も石炭オーブンには戻されていない。

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▲ 独特の横長サボにはMITROPAマークとロゴが印刷され、台車はオリジナル(Goerlitz III)に履き替えらた姿を忠実に再現されている。また、画像右にはエアコン用空気孔が印刷されているのが見える。

さて、モデル自体は、数あるSchuerzenwagen食堂車の中でも最も数奇な運命を辿った車両と言えるであろう。Weinrot「MITROPA」から始まって、Rubinrot「DSG 」、Purpurrot「DB」、DSGトレーニング車両としてのTEEカラー、O.Rotに至るまで、戦前に出来た車両が時代や事情に合わせて改造を受け、リニューアルされた続けた車両を今一度戦前の姿に戻すという作業をしたので、一般的な時代に合わせたモデルの仕様とはまたひと味変わっている。
まず、車体色(RAL 3005 Weinrot)や表記は戦前のEp.II時代の姿に戻されている。そしてもちろん車体横の文字は中央に大きく「MITROPA」、左右に「SPEISEWAGEN」が記されている。
車体の大きな特徴は、後に改造されたエアコンがあるため、そのための空気孔と厨房の窓にあった空気取り入れ口が撤去されたままとなっている。台車は、おそらく再びオリジナルの「Görlitz III SchwerタイプGA VII」に履き替えられたのであろう。オリジナルのホイールベース?の長い台車がこの車体にはよく似合う。

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▲ オリジナルのEp.II仕様モデル(43241)=奥との比較。1189P=手前には厨房窓上部の空気取入口がない。

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▲ 同様に食堂側の屋根。手前が1189P。ベンチレータ(煙突?)の形状が1カ所異なる。

屋根は、戦前の黄色がかったクリーム色に塗装されているが、エアコンがついたためかベンチレーター(煙突?)の1つが「T」字形に変更されている。(Ep.IIモデルとの比較画像参照)
サボは、保存車両ということもあってであろうが、「MITROPA」のロゴが印刷されている。

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また、このモデルには、このモデルの実車の歴史やその他同形食堂車のバリエーションなどが纏められている小冊子(独語)が添付されており、モデルの理解には非常に重宝する。これを読む限り他のSchürzen食堂車の中でも最も数奇な運命を辿った食堂車と言って良いであろう。そう考えて改めてモデルを眺めてみると中々感慨深いものがある。

メルクリンとTRIX H0からリリースされたSchürzenwagen食堂車モデルを全て手にしている訳ではないのだが、好きなモデルということもあって、Ep.IIから今回のEp.Vモデルに至る迄、既に結構な数になっていることも確かである。前々から、メルクリン / TRIX H0のSchürzenwagen食堂車モデルを纏めてみようかとも思っているのであるが、そろそろその時期に来ているのかもしれない。


参考サイト:
MITROPA-Speisewagen 1189 P / WR4ü-39 1189
http://www.wagenfreunde.de/mitropa.html

Freunde der Mitropa e.V.
http://www.mitropa-freunde.de/1.html
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