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4282 DB Bim 263 / Ep.IV [Maerklin-Reisezugwagen]

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今回がDBのInterRegio最後のモデルの紹介となるBim 263(4282)である。画像の上から通路側、そして区分室側である。

InterRegioが登場したのは1985年のDBの新しいCI発表から3年後の1988年で、丁度私が留学のためにドイツに渡った年と重なる。私の居たBremenは当時まだIR路線上ではなく、Hamburg - Fuldaを結ぶ1本のみであったと思う。そのInterRegioを初めて見たのは9月から始まったドイツ語学校の授業が開始されてしばらくした頃だったろうか。学校のクラスメイトの日本人4人でバイエルンのZugspitzeへ1泊旅行に出掛けた際に途中のHannover Hbfに停車中の美しいブルーを纏った編成が停車していた時であったと思う。列車内からだったので牽引機すらわからず僅かな時間であったが、とても印象深いシーンであった。
それからBremenの生活にも少し慣れた頃、休日には1人で列車撮影も兼ねてCelleやGoettingenあたりに出掛けた時、初めてInterRegioを利用した。その時は、これがあのUIC-Xからの改造とは思えないモダンなインテリアに感動を憶えたのであるが、まさか当時はこの車両を製造している会社に就職するなど考えてもいなかったのである。

たまたま、このIRの車内で話をした同世代のドイツ人に誘われ、日を改めて彼のハンブルグの家に1泊したのも良い思い出である。この時、初めてドイツ人の(長距離?)散歩好きを実感したのである。1時間以上ひたすら歩く....。当時の私はほとんどドイツ語を話す事が出来なかったし、英語は全く話せなかったので、良く私に付き合ってくれたものと今では思うのである。ただ、そういう機会があったからこそ、観光客の行かない湖水の豊かなハンブルグの美しい場所を色々と見る事も出来た訳である。(今ではMiWuLaで有名になった倉庫街のSpeicher Stadtも彼が案内してくれた)

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さて、前置きが長くなったが、このモデル(4282)は、1990年にリリースされた。この年はIRがある程度の成功をおさめドイツ全土にくまなくIR網を構築しているところ...と言えようか。折しも東西ドイツ統一ということもあり、当初の計画とは別に東側にもIR網が張り巡らされつつある時だったかも知れない。ドイツ統一当初は、DBとDRは別会社であったため、DBのIR車両にDRのマークを付けた列車も1994年のDB民営化迄はみる事ができた。

上画像は、車端部分のディテールである。等級表示の真下にDBマークが来るようレイアウトされ、一見派手なカラーリングであるような印象だが、色使いは非常に落ち着いたブルーのツートンである。出入口ドアはUIC-Xのままの流用である。台車もそのまま。しかし、この車両を改造したPFAでは、台枠から車体迄矩体だけの状態にして、使われていたアスベストの完全除去から台車、台枠、出入口扉を含めた車体以外は全て新しくしたのである。それは客室車内の内装部材全てに及び、トイレや洗面台、側窓や貫通路についても全く新しく交換されている。また、一部車両は、PFA子会社のProtec社によるBioReaktor(バイオ技術による汚水の真水化機器)でトイレ用水の完全循環も試行されていた。

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表記類は、90年代のメルクリンの水準である。(当時としては、レタリング印刷の精細さには既に定評があった)車両表記は、UIC表記の「51 80 22 - 91006 - 2」及び、形式である「Bim 263」が記されている。これを手元の資料で調べると、1988年8月にPFAで改造落成されている。またRIC表を見ると国内向けであることが理解できる。

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上画像は、妻部分を正面からみたところである。いつも記すが、モデルでは貫通扉が変更されていないことがつくずく残念に思う。尾灯については、42991(TEE Rheingold '68セット)の区分室車に付いている尾灯のみを部品で注文して改造した。よって集電シューや室内照明も付けている。

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インテリアは、1等車やBistro Caféと同様、ブルーの一体成形である。実車は淡いグリーンのシートモケットに薄い水色の台座、ダークグレーの床(PVC)、卵色の壁とホワイトの天井である。実は、この色使いは、Anthroposophieという考え方のデザイン手法が取り入れられている。デザイナーでも中々知らないこの分野は、ドイツで始まったシュタイナー教育で取り入れられている考え方である。個人的には、この手法もありとは思うが、これだけの世界はちょっと困る。ちなみにICE1の登場時のインテリアの色彩もAnthroposophieの考え方がベースである。

http://www.rig-bahn.jp/db-page/db-image/ir/bim2630.gif

私がドイツに来た年に運用が開始されたInterRegioであるが、その後ミュンヘンのDBデザインセンターでのインターンシップでは、ボスがこのIRのデザイン責任者であったK. D. Bodack氏であったり、卒業後就職したのがPFAであったり..と、何かと縁のあるInterRegio車両である。
このカラーリングのUIC-Xの実車をみる事はもう出来ないが、個人的に特別な思い入れがあるだけに、せめてモデルだけでも編成を揃えていつまでも走らせたいものである。

参考文献:"WAGEN" Das Archiv der deutschen Reisezug- und Güterwagen / GeraNova

参考サイト:
InterRegio Coach / Railways in Germany
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-ir.htm

Anthroposophie / wikipedia ドイツ
http://de.wikipedia.org/wiki/Anthroposophie
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カゲノ

こんにちは。
Eisenbahn-RomantikのDie 80er Jahre という回の映像に、インターレギオの映像(23:30ぐらいから)があってデザイナーのkarl-dieter bodackという方が出演されているのですが、この方ですかね?

http://swrmediathek.de/player.htm?show=52198210-abe6-11e6-a5fb-005056a10824
by カゲノ (2017-09-03 16:00) 

Akira

カゲノさん、こんばんは。

おっしゃる通り、Karl-Dieter Bodack氏が私のインターンシップの時のボスでした。
by Akira (2017-09-09 23:20) 

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