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37580 DB ET 491 001-4 / Ep.IV [Maerklin-Triebwagen]

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年が明けて初めて届いたのがET 491。いわゆるガラス電車である。このガラス電車については、ちょとばかり悔しい想いがあるのでせめて模型でも...と注文したモデルである。

私がミュンヘン中央駅近くにあるBZA(Bundesbahn Zentralamt)のDB Design Centerでインターンシップしたのが1991年の春から夏に掛けてである。毎日U-BahnとS-Bahnを乗継いで通っていたのだが、実習途中から最寄り駅の一つ手前であるHauptbahnhof(中央駅)で下車してそこから歩いて行くようになったのである。理由は簡単で、中央駅のプラットホームを端迄歩いて行くと、そこからBZAの建物まで繋がっていて、丁度地階にあった工房で仕事をしていた私は、正面玄関を通らずにダイレクトに、しかも最短距離で直行することができたからである。もちろん理由は他にもあって、毎日ミュンヘン中央駅を発着する色とりどりの列車を眺めながら通勤できたというのも大きい。

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ミュンヘンの遅い春も5月近くになると暖かな晴れの日が多くなり、私の毎日の通勤路であるホームには時折このガラス電車をみる事ができるようになった。何しろ1両だけしかない車両で、しかも団体専用電車ゆえ、この電車に出会う日は何だか得した気分にもなった。運用のほとんどはミュンヘン鉄道局主催のオーストリアなどの風光明媚な観光地に向かう行程であるが、稀に結婚式の披露宴を兼ね、チャーターされた運用もあって、その時はこのガラス電車は思いっきり装飾が施され、そのホームで出発を待つ姿を見た事もあった。

インターンシップも終わりになる頃、妻を誘って日曜日のガラス電車の募集に応募したのである。しかし、当日は残念ながらこのガラス電車が不調で運用に就く事ができず、代わりにO.Rotの111形に1両だけBpmz291客車を連結した編成が私達を迎えてくれたのである。その旅行の楽しみは半減したが、目的地である春のチロル地方は感激するほど美しく楽しい思い出となった。そしてもう一度チャンスがあればと思っていた矢先にガラス電車の事故のニュースを聞き、それも修復不能な程酷い状態ということで、その希望も消えてしまったのは残念に他ならない。

ただ、その車両は壊れたままであるものの、解体されてしまった訳ではなく保存団体の手により保管されているのは唯一の希望であるが...。
そんな苦い思い出のある車両のモデルだけに手元に置かなければと考えた次第である。

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さて、そのモデルは画像でもわかるようにEp.IV仕様である水色ベースのモデルである。我々には最も馴染みのある仕様と言っても良いのではないだろうか。(私が実車を見た時は最終仕様である青色である)

モデルを手に取ると、その大きさに対して意外に軽い印象である。確かにボディは樹脂製なので致し方なかろうと思う。モーターもおそらくレールバスと同様車内を見通せる小型ゆえに、重量についてはメルクリンらしからぬとは思ったものの、特に牽引をしない1両だけで動かす車両なので、走行性能に関してはそう問題もないのだと考えられよう。ただ、まだ動かしていないので何とも言えない。

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ガラス電車と言うだけあって、車内は丸見えである。ボディの上半分はほとんどガラス窓になっているので、透明樹脂の精度がモデルの出来不出来の評価を左右すると言っても過言ではないと思うが、その部分に関しては、特に問題もなく良く出来ていると思う。
そのため、車内のディテールもあっさりと仕上がってはいるものの、運転台などのモールディングはしっかりとできているように思う。

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印刷は、メルクリンらしい精細で滲みのない仕上がりである。3次曲面の斜め位置でもしっかりと印刷されている。

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屋上には、2基のパンタグラフが装備されている。1基は菱形でドイツ国内やオーストリア向けであろう。もう一基はワンアームタイプで集電舟の形状がドイツとは異なるので、スイス?や近隣諸国向けのようである。床下には、集電パターンの変更用ピンが差してあるので、架線集電も可能である。

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集電シューは、その形状から静音シューであろうか。

このモデルは、メルクリンTVなどのレポートを見る限り、TGV-POS同様ハンガリーのGyoer工場で設計製作されたモデルのようである。ただ、それが樹脂製ボディということ以外ではゲッピンゲン工場で設計製作されたモデルと同様のレベルであると言って間違いはないであろう。まだ走らせていないので走行性能やサウンドギミックなどについてのインプレッションはできないが、そのあたりを検証した時にはまた報告したいと思う。
このモデルは全てのガラス電車ファンはもちろん、小規模レイアウトで楽しむ向きにもちょうど良いアイテムとしてお薦め出来るものである。

参考サイト:Aussichtstriebwagen. / メルクリンドイツサイト
http://www.maerklin.de/de/service/suche/details.html?page=&perpage=10&level1=2341&level2=2346&art_nr=37580&search=1&era=0&gaugechoice=0&groupchoice=0&subgroupchoice=0&catalogue=0&features=0&searchtext=BR+491&backlink=%2Fwww.maerklin.de%2Fde%2Fservice%2Fsuche%2Fproduktsuche.html
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東西急行

Akira様、東西急行です。
遅ればせ乍ら新年のお慶びを申し上げます。
「ガラス電車」の御紹介を目にし、不謹慎にも
「相当以前に保管先が大火災を起こした際丸焼け全損に帰した
車輌だな」
と直感しました。ネット上が惨事への落胆と同車への哀悼に埋
め尽くされたことは未だ鮮明に残っております。

by 東西急行 (2011-01-09 21:30) 

Akira

東西急行さん、こんばんは。

新年おめでとうございます。
ご安心ください。先のニュルンベルクの機関庫火災の際には、このガラス電車は別の場所に保管されていたので燃えていません。以下サイト参照。

http://www.glaesernerzug.de/gzs/gzhistorie.html

この状態は瀕死とも言えましょうが....。
by Akira (2011-01-09 22:02) 

阿亮 A−Liang

わたしもガラス電車、昨年の暮れに入手しました。
走行は低速からとてもスムーズで、ファンクションは室内灯が2段階で調整できたり、サウンドもたとえばSBBのRBe2/4(赤い矢号)とちがって径の大きいスピーカが使われているので警笛、発車アナウンスとも大変良好でびっくりしました。エクステリアもインテリアも本気を感じさせますね。さすがMaerklinクオリティと思いました。
Akiraさんも是非一度走らせてみてください!
by 阿亮 A−Liang (2011-01-10 14:47) 

Bemo

Akira さん、こんにちは

私も、昨年ガラス電車を購入しました。

走行も、サウンドも良く、特にインテリアの照明が気に入っております。TEEのドームカーの照明もこんな感じかなと思っております。Rocoのもの(68788)と較べると、一層洗練された感があります。Roco も再発していますが。

ところで、あるサイトで、旧型のカプラを新型のカプラに台車の一部と一緒に、メルクリンのスペアパーツ3-4部品で交換できるのを知りました。手持ちのデジタル化済みの BR103 (3357) で試してみようかと思います。カプラの近代化は客車や貨車(メルクリンのサイトには機関車以外のパーツリストは探せませんが)でもできるのでしょうか?Roco などは、NEM への交換パーツがあるようですが?

by Bemo (2011-01-10 15:17) 

Akira

こんばんは、コメントありがとうございます。

> 阿亮さん
サウンドやファンクションなどの情報をありがとうございます。
ガラス電車を早く走らせたいのは山々ですが、ちょっと今はそれが叶わない状況です。でもこの情報で益々楽しみになりました。

> Bemoさん
室内照明の2段階調節は良さそうですね。私のモデルはまだ誰も乗車していませんが、乗客を乗せて走らせれば更にリアルになりそうです。
レレックスカプラーからクローズカプラーへの交換方法は、以前MM誌でも連載されていたと思います。私も昔の機関車は沢山あるので一時期交換を考えましたが、ズボラな正確が災い(幸い?)して未だ改造したモデルは少なく、今となってはそのまま..という感じです。特に困った事もありませんし...。
by Akira (2011-01-10 21:35) 

カゲノ

>BEMOさん、Akiraさん
カプラー取替えのMM記事の件、おそらく以下のページの内容かと思います(PDFでダウンロード可能)。機関車や貨車等改造事例があるようです。
http://www.maerklin.de/mm/themen_specials_downloads.php
by カゲノ (2011-01-10 22:16) 

Gut

こんばんは。
この度始めてガラス電車について詳しく知ることができました。
それまでは模型店で目にするくらいで、もっと古い時代に走っていた路面電車か何かだと勝手に想像していたのですが、ミュンヘン中央駅にも停車していたのですね。
ちょっと興味が湧いてきました。
by Gut (2011-01-10 22:28) 

Akira

> カゲノさん
こんばんは。MM誌のカプラー改造シリーズ記事ページの紹介をありがとうございます。確かにこれです。

> Gutさん
確かに見た目は路面電車に見えなくもないですね。今は事故により走行不能に陥りましたが、運行していた当時は、ミュンヘンを基地にして主にGarmisch-Partenkirchen経由でオーストリアの国境を越えチロルのInnsbruck方面に抜けるコースが多かったです。Garmischから先Innsbruck迄の景色が素晴らしくガラス電車は、特に良い景色の場所を超スロー運転で乗客を楽しませます。団体列車ならではのサービスですね。
by Akira (2011-01-11 00:08) 

Bemo

カゲノ さん、情報ありがとうございます。

MM バックナンバーのPDF 公開されているのですか。

なんとか、Google で翻訳するつもりです。
by Bemo (2011-01-11 12:09) 

klaviermusik-koba

いいですねえ。こういう車両はなかなかモデル化しにくい、と思っていたのですが、拙宅にはRocoのアナログ時代のものが見つかりました。おそらくメルクリンから出た最新のものですから、出来は比較にならないと思います。この種の車両はモーターをうんと小型化しないとサマにならないのでどのメーカーも苦労のしどころなのだと思います。
by klaviermusik-koba (2011-01-12 17:03) 

Akira

kobaさん、こんばんは。

Rocoからは随分前にガラス電車が出ていましたねぇ。仰る通り、ガラス電車は本当に中身が丸見えですから、モーターが見えたらマズいですよね。おそらくレールバスの技術を使って小型モーターを床下に置くように配置して見えなくしたのだと思います。このあたりは最新の技術が生きている気がします。
by Akira (2011-01-12 22:13) 

Hiroki

Akiraさんはじめまして。
ガラス電車を生で見られたなんて羨ましいです。

私も最近友人にガラス電車の存在を教えてもらい、その存在感と可愛らしい外観がいたく気に入りまして、Nゲージのフライシュマン製のガラス電車を購入しました。
Akiraさんのメルクリンは票記に至るまで作り込みが素晴らしいですね!
実は私は購入の際にカラーリングですごく迷いまして、Akiraさんの水色もすごくクールでかっこいいし、その前のTEEカラーもノスタルジックでいいなあと・・・
散々悩んだ挙句にTEEカラーにしました。
こちらは1000円安くて、新品同様でしたのでそれが理由です。
本当はどちらも欲しかったのが本音です(笑)

この電車を鑑賞していると、思わずにやけてしまう自分に気づきます。
それほどまでにこの電車は私の心を魅了し、満たしてくれるのです。
事故で瀕死の状態で保管されている写真も見ました。
本当に胸が痛みました・・・
修復は相当難しそうですが、なんとか修復して21世紀も走り続けて欲しい・・・そんな願いでいっぱいです。
by Hiroki (2013-02-12 10:26) 

Akira

おはようございます、Hirokiさん。Spielkisteへようこそ。

ガラス電車は、私にとって色々と想い出深い車両ですが、古い車両でもあるので、修復も難しくなっているのかも知れません。通常であれば廃車解体されている車齢でもありますし、一方で、1両で完結し観光目的に特化したユニークで存在感のある車両ゆえ、長らく生き延び事故を起こしてもなお何とか解体されずに居るのは奇跡的と言えるのかも知れません。

模型では、以前はROCOぐらいしか知りませんでしたが、最近はNでもH0でも選択肢が増えました。紫赤色(Purpurrot)モデルは、デビュー時のもので、大目玉が魅力的です。私のモデルはスカイブルーでEp.IV時代です。私が実際見た時は1990年代なので紺色でした。メルクリンからは、まだこの最終仕様がリリースされていないので、いずれ出るのでは?と思っています。

修復の最大の問題は資金なのでしょう。おそらく新車が購入出来る程必要なのではと思いますが、是非再び(折角ならオリジナルに復元して)本線上を走って欲しいものです。
by Akira (2013-02-13 10:11) 

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