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T23333 DB AB4üe-39/52 / Ep.IIIa [Maerklin-Reisezugwagen]

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何気なしにブログの左カラムに整理されつつある客車モデルのバナーを見ていたら、Ep.IIIa時代のSchürzenwagenについて何も記していないな〜と気づいたのである。PwMサイトには一応TRIXの該当モデルについて記してはいるものの、考えてみれば当ブログでは食堂車と荷物車以外は記していない。そこで区分室客車モデルのT23333から順番に記してみようと思う。

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▲ 車端部分乗降用扉横の等級表記は3等級制時代ならではのレイアウトである。

メルクリンからもF-Zug "Rheingold"(43237/43238)や"Loreley-Expreß"(43209/43219)セットとして同形客車はリリースされているが、TRIXからはそれより少し前のEp.IIIa仕様(つまり3等級制)時代の仕様として単品モデルが5種リリースされた。この仕様は、等級制変更となる1956年6月3日の夏ダイヤ改正よりほんの少し前の仕様なので中々きわどい。つまり等級とは無関係な食堂車モデル荷物車モデルは、Ep.IIIb時代のメルクリンモデルとの混結も全く問題ないように出来ているのがミソである。

さて、このモデルはEp.IIIbで言えばA4üeである。Ep.IIIa仕様のA(1等車)とB(2等車)は、Ep.IIIb時代では統合され両方共1等車(A)となった。これは日本の国鉄でも過去3等級制の時代があり、後に1等と2等が統合されて1等となったことと同様である。
このSchürzenwagenでは、区分室の内寸は全て同じである。このため、外観からはどの部分に1等区分室があるかは判別できない。1等は、車体中央部分の2つの区分室がそれに該当し、2等の1室6名分の座席が配置されているのに対し、1等は4席の配置である。もちろん室内設備はもちろん、シート表皮なども2等に比べて上等の生地が使われていたりする。もっともモデルでは、室内装備は他のモデルと同じであるのは残念なところ。

以前ドイツで動態保存されている同形の1等車(Ep.IIIa以前では2等車)に乗車したことがあるが、戦前製客車でありながら幅2,2m以上x奥行き2m以上ある区分室の室内空間は、とてもゆったりしていて100Km/h以上の速度でも揺れがほとんどなく、快適な旅が出来たのは印象深かった。

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台車はGörlitz III である。台車とそれを隠すスカートの存在は、Schürzenwagenらしさが良く出ているディテールである。

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車体番号などの表記類である。「11 642 Kar」である。残念ながら手元にこの形式についての詳しい資料がないため、製造会社を含めた履歴がないので不明である。おそらくCredéかLHB、Hansaあたりだろうか。この形式は全部で103両が製造されたそうであるが、F-Zug仕様である鉄青色に塗装され、更に「DEUTSCHE BUNDESBAHN」の切抜き文字が施された国際列車仕様は、そう多くはないはずである。
モデルの表記は印刷も含めて極めて良好。但し、このモデルがリリース当初のロットで車体中央にある「DEUTSCHE BUNDESBAHN」のロゴが1:160スケールで印刷されたまま出荷され、多くのファンをがっかりさせたという経緯がある。(後に販売店経由で正しいロゴが印刷されたモデルに無償交換された)

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そのいわくつきの車体中央の「DEUTSCHE BUNDESBAHN」ロゴ。私の元にも当初Nスケールサイズのロゴ付きモデルが届いたが、暫くして正しいロゴサイズが印刷されたモデルに交換となった。但し、画像を注視してみれば分かるかも知れないが、小さなロゴの上から印刷し直されている。特に目立つモノでもないため私自身は大して気にならないが、気になるファンも居るかも知れない。

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サボの印刷は、位置、書体など正しい表記となっている。種別や列車名の表記はなく、停車駅とオランダからスイスへ向かう列車ということだけが把握できるもの。滲みやズレもなく印刷精度は良好。

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RICラスターには、F-Zug "Rheingold"の運用経路であるオランダ(NL)やスイス(CH)はもちろん、チェコスロバキアやハンガリーなど当時の東欧諸国の乗り入れが可能な仕様となっているが、何故か「DR 」(東独)がないのは、戦後すぐであるであろうか。3〜4電源の対応となっているようである。
REV表記は、1955年12月13日と、2等級制への変更直前である。

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車体妻部分を正面から見たところ。バッファは丸形、尾灯ランタンを載せるための台座が屋根左右にある。

以上が、1955年当時のF-Zug向け客車の1/2等区分室車(AB4ü-39/52)モデルについての印象である。当時は、戦後処理の一環で「Rheingold」など国際列車の食堂営業がベルギーに本拠を置くCIWL社が担当であったようである。1955年から西ドイツのDSGに切替えられたが、モデルにある新番号への車体番号の変更も、この前後のようなので、編成を組んだ時はSchürzenwagen食堂車を組成するのが正しいのかも知れない。

また、当時も同じ経路でF-Zug "Rheingold"の他に、F-Zug "Loreley-Expreß" も1/2/3等列車として運転されている。(当時のF-Zug "Rheingold"は、1/2等のみ)

参考サイト:
23333 Schnellzugwagen
http://www.trix.de/produkte/frontend/index.php

Step's Waggon-Archiv - Personenwagen
http://www.michael-stepputat.homepage.t-online.de/pw/pwpage03.htm

Rheingold (1951-1962)/ Railways in Germany
http://www.rig-bahn.jp/db-page/j-rheingold2.htm

[EDIT] 2012-05-09 22:10
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Berliner

一等区分室の座席ってどんな感じでしょうか。ラインゴルトの開放室の一等座席は写真で見たことがありますが、区分室のものはまだ見たことがありません。ICの現一等車区分室の座席は広いだけという感じがしないでもないですが、旧一等車の座席は特別な設計なのでしょうか。
by Berliner (2012-05-09 04:43) 

Akira

Belinerさん、おはようございます。

3等級制時代のSchürzenwagen1等車の室内写真を見つけることができませんでしたが、手元にあるほぼ同じ室内寸法の35系列客車の旧1等車の写真を見ると、ソファのような深い座面を持つ横長シートを2つの太い肘掛けで中央2分割されています。更に一体化されていない枕も各座席の上に吊り下げられるような形で付いています。2等車を見ても充分贅沢な作りなので大差はないでしょうが、最大で4人分しか座席がないということが最も大きな差と言えるのかもしれません。シート以外については、白黒写真で見る限り壁や天井、荷物棚などに差は感じられませんでした。

現ICの1等区分室車はシート表皮にピンク色のモケットが使われていますが、Bimなどの2等区分室車のシート表皮は旧IRと同様で1等車とは室内寸法が異なります。定員5人というのは良いですが...。また床面素材は1等車は絨毯敷きで2等車はPVCになります。
by Akira (2012-05-09 08:57) 

Berliner

情報を有り難うございます。
使う人数によって等級が違うっていう発想は、今でもあるかも知れませんね。寝台車なんか一室を何人で使うかで等級の扱いが違うのではいですか。
ドイツの鉄道の座席は、今の人間工学設計よりも昔のものの方が快適ではなかったかと思うことがあります。そんなに揺れるわけでもないのに椅子にぴったりとはまり込んでしまうのはあまり心地よくありませんから。
by Berliner (2012-05-10 05:54) 

Akira

おはようございます、Berlinerさん。

35系列客車については、3等級制時代の1等区分室2室は、運用種別などによって2等扱いが出来たようですね。車端部分の等級表示の「1」が隠れるように出来てます。

寝台車については、以前は同じ部屋でも「S」、「D」、「T2」、「T3」などあり、「S」、「D」は1等扱い、「T2」、「T3」は2等扱いになります。ベットの数などで室内を変更して数種の仕様に変更出来るのは合理的な発想で欧州寝台車ならではですね。
by Akira (2012-05-10 08:52) 

klaviermusik-koba

使う人数によってクラスが違う、というのは古来ヨーロッパ的発想ではないでしょうか。寝台車もそのとおりですが、旅客機でも3列のエコノミークラスの座席を中央にテーブル状の板を置いて両側の2席をファーストクラスに使う、というのに乗せられたことがあって、これは詐欺ではないか、と思ったものです。

私の札幌往復は多くの場合、後方座席を取ると3席を独り占めできますからこれなどさしずめファーストクラス扱いと言えます(笑)
by klaviermusik-koba (2012-05-10 17:32) 

klaviermusik-koba

あ、もう一つ言い忘れましたが、昔のパリのメトロは、室内の装備は全く変わらないのに1等、の表示だけで倍の運賃をとるのです。当然同じ装備なのに倍の運賃を払う人は滅多にいませんから、空いた車両に乗れる、というメリットがありますから、高い運賃を払う意味がまったくないわけでもないのです。
by klaviermusik-koba (2012-05-10 17:40) 

Akira

こんばんは、kobaさん。

確かルフトハンザの国内路線にもエコノミー(片側3列)とビジネス(同2列)を変更出来る機能を持ったシートがありますね。

昔ハンブルクのS-Bahnに乗った時1等車がありましたが、室内は2等車と全く同じでした。要は2等車と分離するということがその意味なのだということが理解できました。階級社会の名残りなんでしょうね。もちろん1等車は空いていますから混雑とは無煙ということもあるでしょう。
by Akira (2012-05-10 22:28) 

Berliner

等級って利用者のステイタスの違いを表すシンボル以上の意味はなく、設備は何も変わらないということもありますね。ベルリンのSバーンにも新車に置き換わってからも長らく1等区分があり、少しピッチが広く(気のせいかも)背もたれ高く赤いモケットの席がついていました。今は、区分自体は残っていますが、一等の制度が廃止されています。釈迦に説法だったかな。
by Berliner (2012-05-11 07:55) 

Akira

Berlinerさん、おはようございます。

多くの欧州人に共通した欲求の1つは、「静かさ」なんだと思います。それは車両などの静粛性とは別の意味での静かさであり、1等車の存在意味はその静かさの確保ということなのでしょうね。区分室車両が今でも少なからず存在するのは、やはりそこから来るものではと思います。ただ、通勤車両の1等廃止など見ていると、最近はあまりそうとも言っていられなくなっているのでしょうね。ただ、日本と異なる鉄道運賃制度があるので、近郊列車以上には必ず1等は連結されていますね。
by Akira (2012-05-11 08:22) 

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