SSブログ

HKX 運用開始 [欧州鉄道]

以前、当ブログでも紹介したHKX(Hamburg-Köln-Express)が昨日から営業を開始した。NDR(北ドイツ放送局)のウエブ版が以下報じている。

http://www.ndr.de/regional/hamburg/bahn607.html

HKXはHamburg-AltonaとKölnを結ぶLCCのような民間鉄道事業社である。以前は、ここにMetropolitan(MET)と呼ばれるノーブルな列車が運行されたが、営業不振によって無くなってしまって久しい。今回のHKXは、METと同じ路線に1日3往復が運行されるが、そのコンセプトは全く異なる。というのは、モノクラス制であり運賃も事前予約の最安値がEUR 0,05 / Kmで計算されているからである。それは座席予約込みである。つまり、Hamburg-Köln間が片道最安EUR 20,-で往復事前予約すれば、復路10%割引が適用されてEUR 18,-となり、往復EUR 38,-である。一方予約なしの場合、EUR 0,15 / Kmとなり、同区間片道がEUR 60,-となる。

さて、そのLCC列車の車両であるが、METのような新設計の新製車両という訳にはいかないのはもちろんである。しかし、種車は62系列(旧1等区分室)客車を使用しているため、充分贅沢な空間を持つ6人用コンパートメントである。リニューアルされたのは外観塗装の他、内装のシート生地や取手の色ぐらいであろうか。食堂車もないが、サンドイッチ程度の軽い食事はシートサービスが可能である。
ファンにとって期待していた旧ÖBBのTransalpinに使用されたRh1040は、何故か昨日は出番がなかった。もしかしたら予備車扱いなのかもしれない。
ちなみに、牽引機はMRCEのDispolok Taurusである。黒い車体にHKXの文字が記されている専用機である。

いずれにしても、驚くべき低価格を実現したのがHKXである。70年代の古い車両を再利用した列車であるが、快適性は充分保たれており更にこの価格設定である。既存DBに対する魅力溢れる新しいコンペティターの登場であると言って良いと思う。

参考サイト:HKXオフィシャルサイト(乗車券購入も含む)
https://www.hkx.de/de/
nice!(1)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

コメント 8

hikari

Akiraさん、どうもです。

調べてみましたが、
ICやECの数分後を追いかけるようなダイヤ設定は挑戦的?
ただ、日や便によって予約でも20、40、60ユーロと価格差がありますね。

ICやECの通常料金は高いのですが、BC25で62.25ユーロ、BC50なら41.50ユーロですから、
私だったらICかECの食堂車でビールを飲むかなぁ?
by hikari (2012-07-24 22:59) 

Akira

こんばんは、hikariさん。

詳細な情報をありがとうございます。列車によっても価格の変動があるのですね。
ダイヤ設定は、おそらくDB優先でしょうから、その合間を縫って走るようなイメージなのかも知れません。聞いた話では、ダイヤが混乱したときは、DB列車優先になるようです。
BahnCardは、鉄道利用が多い人向けなので、観光利用などの人にはHKXは貴重な選択肢の一つになるでしょうね。
by Akira (2012-07-24 23:33) 

HUH

遅れに遅れて、ようやく運転開始となりましたね。
でも、今のところは問題は山積みと言わざるを得ません。ここまで遅れた原因は何といっても車両です。Rh1040は結局試運転さえも行われておらず消息不明です。予備車にもならないでしょう。
とりあえず用意されたのは、Alexで使用されていたAvmz 111・4両、そしてNordOstseeBahnの客車ですが、間に合わせ感は否めないところです。3往復といっても、よく見たら、毎日走る列車はほとんどなく、平日は1編成で足りるだけの本数しか運行されません。
何とか開業はしましたが、今後体制をきっちりと整えることができるか、という点が最大の改題でしょう。安ければ良いというものではないことは、例えばイタリアのTrenOKが証明しています。

ちなみに、DBは当面使用するIC客車のリニューアルを開始していますが、優先的にHamburg-Koelnに投入するそうです。DBもかなり意識しているには間違いないでしょうね。
by HUH (2012-07-25 00:35) 

Akira

HUHさん、おはようございます。

色々な情報をありがとうございます。
先に記したNDRのウエブ版にある動画インタビューでは、ポジティヴな印象ばかりでしたが、問題は多々あるようですね。運賃の価格は、やはりバランスが大切で、1等車定員の乗客数とあの破格な価格は収支バランスをどのように捉えているのか、私も疑問は残ります。おそらく最もウエイトを占める人件費を削った結果なのでしょうが、利用者が低迷すれば、すぐに消滅というような憂き目に遭いかねませんね。Avmz 111も車齢的に長くは持たないと思いますし、Rh4010についても先が見えなさそうで心配です。
by Akira (2012-07-25 09:01) 

Berliner

放送の中で言っていた"fast nostalgisch"が気に入りました。このタイプの座席、割と好きです。
最新の車両や改修された車両の座席は、人間工学設計で、飛行機の座席のようにじっと座っている分には快適なのかもしれませんが、あまりにもぴったりはまり込んでしまって私は好きでありません。広い空間で窮屈がなければ、こういうソファータイプの席はかえって楽だと思います。一等車はなかなか利用できませんので、機会があれば乗ってみたいものです。
METの車両は、ハンブルク-ライプツィヒ(?)間の中途半端なICEとして使われていたようですね。以前乗りました。ICEカラーですが、それにしては車内がちょっと広々として座席や調度も立派でした。ただしあまり手入れが行き届いていませんでしたから、もうこれでお終いの予定だったのでしょう。
by Berliner (2012-07-25 16:37) 

Akira

こんばんは、Berlinerさん。

その言葉は私も心に残りましたが、半分褒め言葉、半分はネガティヴなのでしょう。ただ、このAvmz111は、腐っても鯛というか由緒正しいTEEの出自ですからね。デビュー当時はこの車両自体が多くのドイツ国民にとっても高嶺の花の存在でしたから、それは贅沢な空間です。(UIC-Xの1等車は1両に6人用10個室に対してこの62系列客車は6人用9個室)また、シートのクッション素材も馬の毛を使っていると聞いています。これはヘタれにくい素材とのことで、同じ時代のメルセデスベンツのシート素材にも使われていたようです。
車両は古くても、快適性は充分にあると思われます。視覚で感じる古臭さは否めませんが...。
by Akira (2012-07-25 20:07) 

klaviermusik-koba

皆さんのコメントを含めて興味深く拝見しました。上下分離方式だからこういう競争ができるのですね。いいか悪いかはわかりませんが乗客にとって安く乗れるのはありしたいけれど、すぐに消えてしまうようだと、交通機関としての信頼性が薄れると思います。鉄道版LCCというのは私も面白いと思いますが、実際はなかなかどの国も厳しいようです。
by klaviermusik-koba (2012-08-02 21:23) 

Akira

kobaさん、こんばんは。

欧州諸国の鉄道が国有時代だった当初から、(子会社であったにせよ)MITROPAやCIWL、また多くの民間旅行会社が車両保有していたように柔軟性がありました。今や、機関車もリース出来る時代ですし、オーストリアやスイス、イタリアの機関車がドイツに走る時代です。日本は航空機のLCCも始まったばかりで、そのリスクと価格のバランスを利用者がどう判断するのかが興味深いです。ただ、鉄道についても今のような硬直化した状態だと、いずれ問題が表面化して大きな変革が行われる時が来るかも知れません。今はHKXの行方を見守ってゆきたいと思います。
by Akira (2012-08-03 00:59) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0