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Interior IC3 / DSB Ep.IV (その2) [欧州鉄道]

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前回に続いてDSBのIC3インテリア。
乗降扉は両開きで回転式プラグドアである。バスでは見かけるタイプの扉だが鉄道車両としては珍しいと思う。ドア上部にはFIS表示器がある。このFIS表示器は、今となってはカラー液晶が主流であるが、当時は電光表示されるだけでも革新的であった。特筆すべきは、DSBのコーポレートフォントがヘルベチカだと思うが、この電光表示のフォントもコーポレートフォントになるべく近づける努力をしている。現在の技術なら液晶パネルを使えば簡単に実現可能だが、当時の技術でここまで実現させるのは並大抵のことではなかったであろう。

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デッキ部分の壁面とその天井に掛けてのディテールである。手すりはピンクである。ピンクは難しい色であるが、ここでは品良く纏められていることがわかる。壁に掲げられている車内案内板の色彩も調和の取れたもの。
壁面から天井に掛けては非常用コックなどの機能を造形的にも上手く纏められている。

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サニタリー(WC)である。便座は、片持ち式で壁に設置されている。これは欧州では一般住宅用でも割と普通にあるタイプである。これの1番の利点は、掃除のし易さである。便器が床に置いてあるタイプは、床の掃除が簡単には思うように出来ないのは誰でも理解出来るところである。
洗面台は比較的広く使い易い。初めて利用して驚いたのは、ブルーに塗装された部分にセンサーで可動する水道や電源プラグなど、ここで使われる全ての機能がピクトグラムで表記されている。洗剤マークの下にあるポンプの取手を引くことで手洗い用洗剤が出るのだが、液体ではなく泡状のタイプであったこと。今では家庭用の手洗い洗剤にも泡状に出るポンプがあるが、当時はこれを見て感心したものである。

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更には、赤ちゃん用オムツ替えベッドも折りたたみ式で備えられている。まさに至れり尽くせりのサービスである。

IC3で最も見るべき先頭車の貫通路を開けた部分の写真が見つからないのは残念であるが、運転室の制御机は貫通扉でもある前面部分を開くと同時に畳まれる構造になっている。そのため、貫通扉を広くしても扉を開いた時に運転台そのものが畳まれているので、そのためのスペースは最小限となる。そして貫通扉の前に折りたたみ式の白壁を作ると、そこは運転台の面影すら見えない単なる貫通路となるのである。この構造を見て感動しないほうがおかしいと思える程見事な機能性を備えた車両であることがわかる。

その後、この前面構造を持つ車両は、IC3と同形車両がイスラエル向けに輸出されたり、DSBの電車タイプのIR4やSNCB(ベルギー国鉄)の制御客車などで採用されている。実は、1990年代にドイツのミュンヘン中央駅とアルプス方面へと結ぶOberlandbahnで、このIC3と同じタイプの車両が採用される計画があり、そのインテリアをPFAが担当することで、製造を担当するABB社が、わざわざDSBから借用した1編成をミュンヘン中央駅からPFAのあるWeidenの工場までデモンストレーション走行を行ったことがある。(残念ながら結果としてはIC3は選定されなかった)

私もデザイン室のボスが所用で参加出来なくなったこともあって代理としてPFAの代表の1人としてPFAの社長と一緒にミュンヘンからWeiden迄の特別列車に同行させて貰ったのは、ラッキーで懐かしい思い出である。ミュンヘン中央駅のIC3は珍しく、注目の的でもあった。
タグ:Ep.IV DSB IC3
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