42753 DB B4üe-30 / Ep.IIIa [Maerklin-Reisezugwagen]
▲ 洗面所側
▲ 非洗面所側
Gruppe 29鉄青色客車の増結セット(42753)の2つ目のモデルは、左右に2枚ドアを持つ開放室客車です。ここのタイトルにはB4üeと記していますが、実車は、3等級制当時は言うまでもなく3等客車であり、実際の形式はC4i-30となります。当時の最高種別であるF-Zugには、ほぼ縁の無いであろう3等車がこの塗装であることは考えにくく、この車体と鉄青色の組み合わせもファンタジーであると考えられます。(一部長距離国際F-Zugの「Rheingold-Expreß」や「Loreley-Expreß」には、Schürzenwagenの3等客車が運用されていたようです)
側面車端部分です。Görlitz III Leicht台車を履き、1/2等車より多い乗客の乗り降りをスムースにするため片開き扉を2枚並べた出入口扉は、中央に柱ができますが観音開きです。その後の両開き扉のルーツになる扉形状に見えます。実車では、扉の中央に手すりが付いていますが、モデルでは少しだけ出っ張りを作って、その雰囲気だけを見せています。この手すりが別パーツであれば、実車のディテールには近づきますが、当時のメルクリンの判断では、扱いやすさと製造コストを優先したものと考えられます。
Ep.III時代までの特徴的な左右窓の桟に記された車体番号や形式、その他表記です。車体番号の「72 128 Esn」は、1930年に旧東独 BautzenのWaggon- und Maschinenfabrik AGにて落成、1945年からはDB車籍となり1977年2月7日にBye 655として廃車されています。
車体中央のDBマークとサボです。鉄青色のためDBは銀色で印刷され、金属製切り抜き文字を表現していますが、実際は異なると思われます。サボは、他のモデル同様「Hannover - Köln」です。
RICラスターは5カ国の鉄道入線許可が表記されています。
REV表記は、1954年3月17日が直近の検査日です。
妻部正面と斜めからみた画像です。
このモデルの紹介を通して、今までそれほど興味の持てなかった2箇所に2枚づつ扉を持つ戦前の客車を調べてゆくうちに、今回のセットの他のモデルも含めて当時の各地方ごとにバラバラであった王国鉄道から統一されたてのDRG(ドイツ鉄道公社)で制式客車ともいうべき新しい鋼製客車の登場が急がれていたことと、そこで製造された最初のシリーズが車端部分を絞った形状が特徴のHechtwagenで、その次に設計製造されたのがこれらGruppe 29と言われる車体を持つシリーズであったことが理解できました。
この片側に4枚扉を持つ実車も、試作車を含めて10形式もあり、製造メーカーも17ありました。戦後は東独国鉄や外国に散逸したり、被災した車両も少なからずあったでしょうが、DBに残った車両の一部は今も動態保存されて走っています。
この客車シリーズは、メルクリンも少しばかり金型に手を加えて今の水準にリニューアルさせることも不可能ではないような気がしていますので、正確な時代考証も含めて、同じシリーズのまだ模型化されていない他形式とともに再リリースがされればとも感じています。
参考文献:
C4i-28 ... -34a; Bye 651 ... 664 / 「WAGEN」GeraNova Verlag
Vieachshsiger Einheits- Durchgangswagen, 3. Klasse, Bauart 1930 / Die Einheits-Personen- und Gepäckwagen der Deutschen Reichsbahn / Bauarten 1921-1931 Regelspur
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