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ÖBB NightJet 新型客車が登場 [欧州鉄道]

欧州西側の夜行列車はDBのCNLが商業的な失敗から撤退して、その失敗を徹底的に分析して登場したÖBBのNightJetは、CNL時代と変わらぬ車両を使いながら、ソフトのサービス向上で利用者は着実に増え、今や「飛び恥」などという言葉も出てくるなど、航空機より鉄道移動がトレンドになりつつある状況は、European Sleeperなど欧州西側やチェコのRegioJetでも夜行運用を始めるなど、NJ以外でも次々に民間で夜行列車が脚光を浴びていることからも、その進化は歓迎されることとなるでしょう。

そんな中で、かねてからアナウンスのあったÖBBのNightJetがSIEMENSのViaggioをベースにした客車による新型車両のインテリアが完成、公表されました。以下は、Railway GazetteのWEB版アドレスです。(登録することで全文が読めます)

OeBB NightJet 新型客車 / Railway Gazette

この新型車両は、RailJet同様、制御客車つきの7両固定編成のようで、2両の座席客車(Bfmpz, ABbmpvz)、2両の寝台客車(WLAmz)、3両の簡易寝台客車(Bcmz)で構成されています。定員254名です。

これを見ると、座席客車の1両は2等開放室制御客車で、もう1両は1/2等合造の区分室/開放室客車、2両の寝台車は全て1等車扱い、3両の簡易寝台車(クシェット)は、2等車扱いです。

3両のクシェットには、おそらく2種のカテゴリがあって、4人用区分室のほか、ミニキャビンと言われるカプセルホテルにリスペクトしたと言われる1人用の区分室があります。注目は、やはりミニキャビンで、新しいアイデアがこの小さなキャビンに詰め込まれているのがわかります。例えばベッド上の様々な機能がついた折り畳み式の大型テーブル。そして外に面したハシゴの壁には、鍵付きの下駄箱と小物入れが備わっています。もし、1人旅なら4人用個室ではなく、このミニキャビンを私は選ぶでしょう。この1〜2人旅の利用者をターゲットにしたミニキャビンは、今後の夜行列車の新しいカテゴリとして普遍的なものになると個人的には思えてきます。

1等寝台車は、シャワーもついた豪華な個室になるので、今以上に人気になると思いますが、2等寝台がなくなるので、利用者は分かりやすい選択となるように思います。(1等のみになるのはちょっと残念とは思いますけど、包括料金になるので安くなることもあり?)

「コンパートメント、ミニキャビン、荷物ラックには、NFC スマート カードを使用してアクセスできます。 リアルタイムの乗客情報システム、無料 Wi-Fi、USB および電磁誘導充電ポイント、モバイル信号透過窓などの機能が備わっています。」
...とあるのは、カ寝台個室やミニキャビン、或いは付帯する荷物入れが1枚のカードキーで解錠・施錠ができるのでしょう。今の時代に合わせて、車内Wi-FiやUSBコンセント、非接触型のスマートフォン用充電器もあるのでしょう。『mobile signal permeable windows』(モバイル信号透過窓)については、良くわかりません。また、軽食とドリンクが用意されているのは、ウエルカムドリンクと夜食のことだろうと想像できます。現在のNightJetの供食スタイルが、この新型車両の登場でアップデートされるのかも知れません。

他に、ベビーカーや(スキーやスノボなど)大型手荷物を収納するスペースも用意されているのは、夜行列車としては嬉しい配慮です。手荷物制限をする予定がないというのは、利用者の意向を十分に配慮した結果だろうと思います。このあたりのきめ細かな配慮がCNLには欠けていたのだろうと考えられるので、CNLの失敗を徹底的に分析して作り上げたNightJetブランドは、ある意味成功例としては、至極真っ当な結果だと感じます。

オーストリアのレオノーレ・ゲヴェスラー連邦気候変動対策・環境・エネルギー・モビリティ・イノベーション・技術担当大臣は、「鉄道での旅行は気候を守ることを意味する」と述べたのは、欧州だけではなく、世界に共通する課題でもあるべきことでしょう。Viaggioベースの新型車両は、最高制限速度230Km/hとのことで、ようやく欧州西側各国で高速新線の建設が進み、各国の高速新線がネットワーク化したことで、国際列車が中心となる夜行列車の到達時間が大幅に短くなり、その役割が今後は益々大きくなってくると感じます。
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