SSブログ

「鉄道」新世紀 / 週刊 東洋経済 [欧州鉄道]

b14-KA_GT100-8C_803.jpg

昨年12月5日に東京大学本郷キャンパスで行われた「LRTデザインコンテスト2009」の展示会場には沢山の来場者に恵まれ、私も会場では何人かの方々と名刺交換までさせていただいたのだが、例えば交通新聞には大会の記事と共にコンテストについても大きく取り上げていただいた。そんな中で東洋経済新報社の編集の方ともお話をさせて頂いたのだが、その後先方からメールを頂き、近々週刊東洋経済に3回目の鉄道特集を行うので記事を執筆して頂きたいとのオファーを頂いた。再びその編集の方とお会いした時に色々なお話をさせていただいたのだが、私が住んでいた頃のカールスルーエのトラムの変わりゆくさまについて興味を持たれたということで、カールスルーエの路面電車について執筆することになったのである。

既にカールスルーエのトラムについては、拙ブログをご覧になっている方には、そのカールスルーエモデルと言う名を通して、その先進性を少なからずご存知であると思うが、それを単に「ドイツ鉄道に乗り入れている復電圧路面電車とそのシステム」と誤解している場合が多い。そうではなく、カールスルーエという街に適した様々な取り組みを総合したものがカールスルーエモデルであるということを記したのである。もっともその代表的な取り組みの一つが復電圧車両ではあるのだが...。本当の意味でドイツの路面電車のありようを理解して欲しいとは思っているものの、まだまだ書き足らない部分が多々あり、かつ相変わらずの拙い文面ゆえ心配ではあるのだが...。
詳しくは誌面を見て頂きたいと思う。発売日は3月29日全国の書店店頭に並ぶはず...である。

カールスルーエに復電圧車両が登場した1989年から既に20年を過ぎた今、我が国でも少しずつではあるが、その芽が出始めているのは確かである。一方でまだまだそのような機運すらない空き店舗の目立つ中心市街地を持つ地方都市の数は、我が街をも含めて数限りない。それは行政の責任である以上に、そこに住まう市民の意識の問題でもあると思う訳である。私達がすべき事は沢山あるのである。


画像は、Ettlingen車庫に佇む営業開始直前の復電圧車GT100-8C形(左)とAlbtalbahn乗り入れ用単電源車GT6-80C形(右)

参考サイト:「鉄道」新世紀 / 週刊 東洋経済 http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/toyo/detail/BI/20728535e1186503b9ec598726396313/


nice!(2)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 12

CISALPINO

Akiraさんこんにちは。

私が育った街は堺市なのですが、LRT計画が市長のリーダーシップにより頓挫してしまいました。何でも造れば良いというものではありませんが、古き時代(いわゆる自治都市)の「堺」という街を再現するのであれば、交通体系も今のままでは力不足だと思います。

都市の規模はLRTを走らせるに十分ですし、また交通事業者がバス、路面電車、そして鉄道と同じグループ企業なので、たとえばヨーロッパのような市内運賃を一元化するような試みも「モデルケース」として先端を走って欲しかったですね。今やICカードで運賃を払う時代ですし、それは十分可能だと思っていました。

私情を書いてしまいましたが、明後日をとても楽しみにしています。


by CISALPINO (2010-03-27 09:10) 

Akira

CISALPINOさん、おはようございます。

堺市の話は聞いております。どこの都市でもやはり行政と市民、運用側が同じ目的意識を持って取り組むべき問題ですね。意識というのは大切なファクターで市民が一体となって「街を再生」する意志が強ければ、移動の要となる公共交通の充実は必ずその大切な1つファクターとなると思います。
そして堺市には堺市以外のどこにもない最適な公共交通の姿があるはずです。
by Akira (2010-03-27 09:39) 

Bemo

Akira さん

 写真に写っているトラムは型番が違いますが、これと同じでしょうか?

 http://www.eurorailhobbies.com/erh_detail.asp?erh_find=tram&stock=R-69172

 堺というと、阪堺鉄道(http://www.hankai.co.jp/)がありますね。

 東洋経済の記事、楽しみです。

by Bemo (2010-03-27 10:56) 

Ktochen

Akiraさんも経済誌に進出ですね。ご活躍何よりです。
「東洋経済」の鉄道特集は好評なのでしょうね。

私の手元には2年前の最初の鉄道特集がありますが、KATOと外国型模型店の協力により、N700系、Taurus、ICE1、AVE、Ae6/6、RAmTEE、BR145と2階建客車、メトロノーム・・・等の模型の写真が表紙を飾っています。
経済誌らしく世界の鉄道産業の現況などのレポートもあり、読みごたえがあると思います。思うに、編集の方は「鉄道愛」のある方ではないかという気が誌面づくりから窺えます。

カールスルーエのトラムには「食堂車」(?)がありますね。"RegioBistro"と車体標記されていました。どんなもんだろうと電停1駅間だけ乗ってみましたがパンやコーヒーが楽しめるようでした。

月曜日を楽しみにしております。
by Ktochen (2010-03-27 11:21) 

seidoh

Akiraさん、CISALPINOさん、こんにちは。

私も仕事の関係で堺市とは浅からぬ縁があるのですが、LRT頓挫の件については、前市長末期に具体化まであと一歩と思われたのが、啓蒙活動が不足していたのか沿道住民の大反対に合い、そんな中、某有名知事が送り込んだ?現市長が選挙のマニフェストで廃案をうたい、何だか政争の具にされて消えてしまったような、非常に残念な顛末でした。
もっとも、行政のプランも、阪堺線との相互乗り入れは赤字路線の救済策という趣旨の報道が目立ちましたし、LRTによる環境先進的な街づくりというコンセプトが、堺市民に浸透していなかったのだと思います。
私など、カールスルーエモデルの二番煎じですが、南海高野線に乗り入れて旧美原町あたりと結ぶくらいの発想が欲しいなぁ、と無責任な立場で勝手に思案していたものでした。
by seidoh (2010-03-27 13:05) 

Akira

コメントをありがとうございます。

> Bemoさん
ロコのモデルはまさにその2電源車両です。メーカーとしても、2電源ならICEと一緒に走らせても大丈夫でしょうし...。

> Ktochanさん。
週刊 東洋経済は、既に2回鉄道関連記事を出していましたが、いずれも好評だったそうです。今回はデザインに関する記事もありそうですし、ちょっと期待しています。(私のはデザインとは関係ないです)
この車両は乗車したことがないのですが、おそらく軽食程度の供食は出来ると思います。通勤で仕事帰りにビールを飲みつつ帰宅出来るなんてのは羨ましいですね。

> seidohさん、こんにちは。
鉄道はどこの国でも政治と深い繋がりがあります。それはドイツでも同様ですが、路面電車などの市民に身近なテーマだと、その効果によって大きく街が変わる可能性を秘めているので、市民にも関心が高いと思います。それをどう活かしてゆくか次第で結果も変わるとは思います。堺市についての詳細はわかりませんが、それが市民の選択であったのでしょうね。
by Akira (2010-03-27 14:26) 

S.やくも

29日ですね。当地は多分2日くらいズレると思いますが。

広島にいると,大回りさせられたり信号が邪魔だったりと
つくづく行政の無策ぶりを感じます。
市街の空洞化という点では広島はまだ幾分ましだと思いますが
早く手を打たないと大変なことになりそうで怖いです。
by S.やくも (2010-03-27 20:24) 

Akira

S.やくもさん、こんばんは。

広島市は早くからLRTの概念を取り入れているので、少なくとも他の多くの地方都市よりは遥かに良いと思います。が、やはりどこにでも問題はあるもので、それはドイツでも同じことです。ただ、日本の場合、警察や国、県、市など異なる管轄が同じ領域に入り交じるなど縦割り行政の悪い部分が表面化しているので、このあたりはどこかがイニシアチブを取れる体制を作らないと折角のインフラも機能不全を起こしますねぇ。大切なのは、目的意識をハッキリとさせた仕組みづくりなんでしょうね。
by Akira (2010-03-27 21:13) 

klaviermusik-koba

LRTで完全に成功しているところは日本ではまだ見あたりませんが、私の知る限り(鹿児島、熊本、長崎、広島、岡山、富山、函館、札幌)それぞれ土地にあったやり方でいろいろ試みられています。ただ、ドイツとちがって日本は現在地方都市が経済的に疲弊していますから、なかなか難しいようです。行政の強力なバックアップなしには不可能ですが、一番アグレッシブなのは富山だと思います。鹿児島もなかなかいい。3日ばかり前に行きましたがもうほとんどの路線内に芝生が敷き詰められ、町の景観が一変しました。
by klaviermusik-koba (2010-03-28 17:32) 

Akira

こんにちは、klaviermusik-kobaさん。

富山については、昨年末の大会で富山市長の講演を聞く機会に恵まれました。私が感銘を受けたのは、富山がLRTありきでプロジェクトを進めなかったことでした。富山としては今後高齢者の急増が予想され、医療費の増大も考えられることから、その費用を抑えるために高齢者の健康増進の意味合いから、高齢者でも気軽に利用出来る公共交通の推進を図ったそうです。そこに路面電車がちょうど合ったというワケで、現実的に高齢者の方々が家に籠ることなく積極的に外出するようになりつつあるそうです。
運転間隔も日中10分程度と聞いていますし、夜は11時過ぎ迄走っているなど、我が街のことを思うと羨ましくなるばかりです。何より驚いたのは、既に試験的ながら運賃収受を信用収受方式にしているということで、この町でこの方式が定着すれば全国に広がる可能性を秘めています。このあたり、インフラの使い方次第でプロジェクトの成否が決まることを裏付けていると思います。

ただ、ここ迄の施策は、カールスルーエなどヨーロッパでは既に行っていること。街の景観の向上一つにしても公共交通で一変しうることを、全国の市民が知って欲しいですね。
by Akira (2010-03-28 17:58) 

こういち

Akiraさまこんにちは、こういちといいます

LRTなどの軌道系公共交通を導入するには、当事者(≒沿線住民)の
合意が必要だと考えています。沿線住民の知らぬ所でLRTの計画を
進めてしまっては、「そんなこと聞いていない」と反対されるのは
目に見えます。

また行政が、「はじめにLRTの導入ありき」での計画を避けなければ
ならないです。

残念ながら堺市の場合は、上記の事項に嵌ってしまい、LRT計画
そのものが頓挫したと考えられます。

以上、つたないコメントですが、失礼いたします。
では、今後ともよろしくお願いいたします

by こういち (2010-03-30 01:57) 

Akira

こういちさん、こんばんは。

まさに仰るとおりです。LRTを導入する時一番大切なことは、市民のコンセンサスなんですね。あの有名なストラスブールのLRTも当初反対する市民が少なくなかったようです。そのため、行政も中心市街地にある広場にインフォメーションセンターを設け、LRT導入の効果などを広く市民に示していたのを導入前に見ました。それでも住民投票では僅差で決定されたみたいですし、市民と行政が一体となって相当の努力が必要だと思います。また政争の具として利用されてしまうようでは、まだまだだと。LRT導入の目的は何か?その意識を市民が共有できることが大切です。
by Akira (2010-03-30 02:37) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0