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氷河特急と氷河急行 [欧州鉄道]

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スイスの事故は連日ニュースで放送され、原因究明の調査が行われているようであるが、運行再開も決まったようで、その対応の早さはこちらが心配するほどであるが、おそらく大丈夫なのであろう。

さて、昨日のブログ記事のコメントで「氷河特急」はおかしい..というレスもあって、私も呼応してしまったが、この日本語での呼び名の問題は結構難しい奥深いものが潜んでいそうな気がしてきたのである。

と言うのも、多くのメディアは「氷河特急」という名前の引用をおそらくスイス観光局の記事から抽出したものと考えられるからである。(以下参照)

http://www.myswiss.jp/jp.cfm/transport/scenic/offer-Scenic_Routes-Train-243505.html

これは、なかば公のページと言えるものなので、Glacier-Expressを日本語で「グレッシャーエキスプレス」と記すのが正しい...のかも知れないが、「グレッシャー」を氷河と認識出来る日本人がそう多くなさそうなことは私も理解出来る。すると「氷河エキスプレス」?となるが、なんだかしっくりこない。それなら「氷河急行」か「氷河特急」しかなさそうだが...。

私も含めて「氷河急行」を支持しているのは、鉄道用語にある種のこだわりをもつ人たちが多いのかもしれない。一方で「氷河特急」とするのはイメージが掴み易いから...なのではないか?

これには異論があるのはすぐ理解出来る。要は違うモノサシを持って来て1つの基準で比べようとしているからである。「特急」1つとっても昭和40年代以前の国鉄時代の特急と現在のJRの特急、私鉄の特急もまったく同じ呼称でも意味が違う。日本での特急の意味合いが曖昧なのに、そこへもってきてスイスのMGB/RhBの運行する優等列車に付ける名前を急行が良いか特急が良いかという議論そのもの自体がナンセンスなのかも知れない。

もう1つ、「Glacier-Express」は列車種別ではなく列車名称であるということ。急行や特急は列車種別であることが、この問題を複雑にしているように思えるのである。公式にはGlacier-Expressは、D-Zugにあたるようであるから「特急」ではなさそうであるが、Glacier-Expressが列車名称であるのでやはり急行や特急という日本語訳自体が適切ではない...と言えるのかもしれない。(これは、InterRegioを地域間急行と訳すときも同じかも知れない)ただ、その名前を見聞きしたとき、イメージが湧かないのは、やはり問題であろう。

ここは運行会社であるMGB/RhBがどちらでも良いから決めてもらうのが1番なのでは?と思うのである。個人的には2種類以上の列車種別が存在しないMGB/RhBに「特急」という種別が付くのはイヤであるが...。

ちなみにスイス観光局のRhBで運行されているもう一つの看板列車Bernina Expressにはベルニナエクスプレスと記されている。それが結局正しいのだろう。

画像は:食堂車付きの旧Glacier Express / 2003年8月3日 Andermatt駅にて撮影
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seidoh

Akiraさん、こんばんは。

私も個人的には、Express=急行、という理由で「氷河急行」支持派ですが、おっしゃる通り、これはこれで単に日本流の列車種別にこだわっているだけ、ということになりますね(それも既に実態は無きに等しいですが)。全席指定、供食サービス付の「特別」列車ですから、名称としての特急は、むしろ妥当かもしれません(少なくとも営業上は)。RhBでは一般車編成のREもありますから、列車種別としても意味はあると言えそうです。

それはともかく、運悪く事故に遭われた方々のショックを思うと言葉もありませんが、裏を返せば、世の中に絶対の安全など存在しない、という現実を改めて突きつけられた気がします。ここはひとつ、冷静に事故原因の究明を見守りたいものです。(一部マスコミは、例によってセンセーショナルな見出し報道をしているようで、苦々しい限りです。)
by seidoh (2010-07-25 22:31) 

N

こんばんは、確かにおっしゃるとおりです。現在使われている言葉の中で対応する言葉を当てはめる作業のことを翻訳というのだとすれば、日本で急行という言葉が既に死語に近いのでしょう。日本の特急は4310以来、特別な列車ではなくなっていますし。せめて、オリエント特急などという人が現れることの無いのを願うばかり。
by N (2010-07-25 22:34) 

Akira

こんばんは、seidohさん、Nさん。

コメントをありがとうございます。
今回の日本語による表現の難しさを考えたとき、日本語を母国語とする人々が最も正しくイメージが出来る「ことば」であるのが正解なのかも知れませんが、杓子定規な表現ではなく、すっと頭に入って無理のない表現であるのが良いとは思うものの、その「ことば」を見つけるのは並大抵ではありません。今回のことは翻訳が日本語力も大切である事がわかる例です。

でも、氷河急行がしっくりこないのであれば、やはりグレッシャーエキスプレスしかないですねぇ。そして種別は供食付きのD-Zug。
by Akira (2010-07-25 22:50) 

Y103

「氷河急行」に一票です。
昔は「氷河急行」と言っていたような気がしますが、スイス観光局が「グレッシャーエクスプレス(氷河特急)」としているので、「氷河特急」でしょうがないのかなと思います。
国鉄末期からJRにかけて「急行」が「特急」に名称と料金が格上げされた日本では「急行」という表現に無理があるのかもしれません。
メルクリンで「E03」や「TEE」そしてラインゴールドという列車名称に憧れ、欧州の鉄道になじんだ私にとって、「express」を「特急」とするのに違和感を持っているのは「勝手な思い込み」なのかもしれませんが。
「グレッシャー」だけ日本語にして「氷河エクスプレス」も表現の一つと思います。
by Y103 (2010-07-26 00:42) 

Akira

おはようございます、Y103さん。

本当のことを言えば、スイス観光局の日本語表記は、もしかしてあまり深く考えずに「氷河特急」としたような気がしなくもないです。

しかし、例えばTEEは「ヨーロッパ国際特急」と和訳されていることが多いですし、「ヨーロッパ国際急行」だと違和感を感じてしまいます。同じExpressなんですが...。
なので、私自身はTEEは急行でも特急でもなく「TEE」なんだと思う訳ですが、TEEを知らない人には説明できないのが辛いところ。
もっとも、TEEは、列車種別であり列車名称ではなく、かつD-Zugなど「急行」列車に相当する種別の格上にあたるので「特急」でも良いのかな?なんて思ってしまいます。

今でもREは快速、D-Zugは急行、IC/ECは特急、ICEは新幹線というくくりにしか訳せないですねぇ。
by Akira (2010-07-26 08:40) 

klaviermusik-koba

Akiraさん、お久しぶりです

特急、という言葉はLimited Express、つまり制限(乗車人数が)された急行という、もとはといえばアメリカからきた日本特有の造語でしょう。(例:Twenty-Century Limited)もしこれを厳密に今の日本の列車に当てはめれば本当の意味での特急は夜行寝台列車ぐらいしか残らないのではないのでしょうか。これすら、朝になれば自由席特急券で乗れるのですからうんと厳密にいえばこれもバツ、ということになりそうです。急行より特急の方が格上、という常識も日本特有のようですから、文化の差、としかいいようがないです。

GlacierExpressは自由席もありますから、厳密な意味では特急ではありません。そもそもヨーロッパには日本の「特急」に相当する言葉がありませんから私は「急行」派です。特別料金のいらない「Rapid」「Schnellzug など」に対する特別料金の必要な「Express」ですから、実は私は日本のほとんどの特急も「急行」と呼んで欲しいと思っているくらいなのです。新幹線の「SuperExpress」もかなり慣れた今ですらすこし引っかかる、といえばひっかかるので、単に「SHINKANSEN」でいいのでは、とも思います。

私は古い人間ですからいまでも本当の「特急」は「燕」だけだ、と思っているのです。


by klaviermusik-koba (2010-07-26 20:41) 

Akira

klaviermusik-kobaさん、こんばんは。

こちらこそお久しぶりです...。LGB新線の進捗を楽しみにブログで拝見しております。

さて、この「特急」なんですが、私もJRの昼行特急列車はほとんど意味をなしていないどころか害悪になっていると感じています。
と、言うのも、例えば我が町を通る特急「あかぎ」など、昔の急行「佐渡」や「信州」以下です。(敢えてリクライニングシートでない165/169系電車であっても)供食設備もなく停車駅も多く、料金だけは特急など、魅力のない列車に成り下がっています。最近は普通列車や快速列車全てにG車が連結されているので、その差は縮まるばかりです。もし、これが急行に格下げされれば料金も下がり充分に競争力(利用する人が増えるという意味)も出てくると思います。
ちなみにドイツの場合は、D-ZugやIR、FDなど一定距離(確か50Km?)以下乗車の場合のみ追加料金が必要ですが、それ以上の場合は不要になります。

何だか脱線してしまいました。急行や特急の意味、要は日本人にどこ迄正しくイメージ(理解)させることが出来るか?ということなのだと思います。でももしかしたら「氷河急行」より「氷河特急」の方がありがたがるのかも...?
今は少なくなってきましたが、TGVが出来てしばらくは、やたらにTGVを使いたがるツアーのパンフに辟易とした憶えがあります。
このような集客活動自体になんだかさもしさを感じてしまうのは私だけでしょうか?
by Akira (2010-07-26 21:01) 

seidoh

こんばんは。

列車種別や名称などという、おそらく「一般人」から見ればまことにたわい無い談義で盛り上がれるのは、趣味を同じくする者同士の特権だと思います。一方、こういう機会に冷静になってアレコレ考えてみると、趣味人(マニア?)として今までこだわってきた意見や主張の中に、実は大した根拠が無いとか一面的な見方に過ぎないものが少なくないことに気づいて、やや自虐的ですが、個人的には頭を柔らかくするのに非常に役立ちます。

たとえば、よくある「特急乱発」に対する違和感は、あくまでも旧国鉄の、しかもかつての良き時代を基準にした感覚であって、私鉄にまで視野を広げれば、Ltd.でも何でもない、明らかに営業上の効果を狙った特急は古くから多数存在しています。また翻訳の例として、今さら新しくもない新快速を、JR西ではSpecial Rapid、JR東海ではNew Rapidと表記するそうですが、直訳では東海、実態では西がほぼ妥当かとは思うものの、新快速はやっぱりShin-Kaisokuでしかなく、英語表記に厳密性を求めても大した意義は無いでしょう。

もちろん、私も「こだわり」あってこその鉄道趣味と信じて疑いませんが、たまにはクールになることで、かえって見えなかったものが見えてくることもあるようです。
by seidoh (2010-07-27 01:07) 

Akira

seidohさん、おはようございます。

Glacier-Expressをネタにした「特急」「急行」呼称問題もこれほどのレスが付く関心事ということを目の当たりにして、やはり皆さん「こだわり」を持っているのだなぁ...と、妙に近親感だったり。
一方で、列車種別の名称に関しては、利用者の混乱を防ぐためにも、国なりがガイドラインを決めて統一させるのが望ましいかな..と。
でも、そうなるときっとこのような楽しい議論も不要になってしまうのかな..と一抹の淋しさも..。
by Akira (2010-07-27 08:14) 

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