回想の旅客車 〜特ロ・ハネ・こだまの時代 [日本の鉄道]
拙ブログの読者でこの本を知っている、または既に手元にある方は少なからず居るように思う。と言うのは、交友社から昭和60年に発刊された後、再び学研から同書が復刻されたこともあって、先日紹介した星晃氏執筆の書であることからも、またその内容の濃さ深さからも日本の鉄道趣味界では必読書であるのではなかろうか?ドイツならヴィッテ氏が自分の開発した車両についての細かな覚え書きを記した書と同じようなものであるからだ。(もちろんそのような本は見たことも聞いたこともないが..)
▲ 改めておさめられた欧州各国鉄道車両のカラー写真
この書の上巻部分と下巻部分の大半については、ここ以外でもネットを彷徨えば幾らでも論評記事は見つかるであろうし、敢えてドイツ・ヨーロッパ鉄道記事を主としている拙ブログで記すこともないと思う。しかし、この書の下巻の最後に星氏が1953年から54年に掛けて調査研究で滞在したSBBでの思い出についての記事は、先に紹介した「ヨーロッパの鉄道スナップ」と合わせて読むと、とても興味深い。
彼とて、日本では様々な海外の情報を文献や写真などで見聞きしていただろうが、実際にスイスに出掛け、そこで目の当たりにする日本との習慣や環境の違いに戸惑いながらも彼の言葉で記された思い出や体験は、読むものをその地に誘い共有出来るものである。しかも、それが私自身の興味と同じであるから尚更のことである。
彼が関係した歴代の国鉄車両についての記述を集めたこの本の巻末に敢えて外国の車両の調査についての記事を執筆し、おさめたことは、筆者にとって自身の開発した車両の概念的背景に必ず大きな存在として欧州の車両があったに他ならなかったからではないのであろうか。
そう思いながら改めて歴代の国鉄車両を眺めると、どの車両を見てもその根底に流れる思いのようなものを感じてしまうのである。また、それを日常の足として幼少から使って来た我々世代の人間には、もしかしたら欧州の車両のあの憧れにも似た部分を国鉄時代に開発された車両を通して感じていたのかもしれないのである。
Special Thanks: BOAC VC10さん
*以下は、アマゾンジャパンの同書復刻版へのリンクである。
[回想の旅客車(上)]
[回想の旅客車(下)]
Akira様、東西急行です。
前回に引き続き興味深い書物の御紹介誠に有難う御座います。
私は慌てて復刻元のサイトを覗きましたが、とうの昔に在庫を吐き出しており正規ルート?による入手は絶望的です故、古書店、競売市場にて元本二冊を捜索する他無い有様です。
附記:敗戦前製造された旧型食堂車が本来の洒落た内装を捨て去り、鉄と合成樹脂による前衛的なものに転換した様に強い時代性(外面だけ取り敢えず新しくしただけ)を感じます。
by 東西急行 (2010-09-12 21:13)
>東西急行さん
お住まいが何処か存じませんが、学研版なら、
ジュンク堂書店各店、紀伊国屋書店各店に在庫があります。
直接店舗に出向いて問い合わせれば、今なら入手可ですよ。
by abc (2010-09-12 22:27)
こんにちは、東西急行さん。
復刻とは言え、少し前の本になるので在庫がある場所も限られて来るのでしょう。abcさんからの情報では、大手の書店にあるみたいですから入手は難しくなさそうですが。
日本の戦前形車両のリニューアルは、確かにそうかも。おそらくコストや人材の不足がそうさせたのかも知れません。一方ドイツのU形寝台車は、60年代製造でも木目の美しい重厚なインテリアでしたからね。また152形食堂車は、リニューアルでは、エアコンや厨房機器の取り替えなどはあったにせよ、合成樹脂板などされずに今でも木目のままで残ってますからね。そのあたりは、国民性でもありましょう。
by Akira (2010-09-12 23:08)
私はこのようなサイトを作成したいですが、あなたとご相談をしたいです。
宜しければ連絡していただきませんか。
by 車買取 (2012-06-21 21:08)