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氷河急行に乗りたくて...(その3) [欧州鉄道]

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▲ St. Moritz駅で購入した帰りの氷河急行の座席指定券。ドイツで発券されたチケットとは通貨表記(DMとFrS)など若干異なる。

再び早くに宿で朝食を済ませたあと、駅へと急ぐ。早朝のSt. Moritz駅で構内の機関車の撮影などをしたあとZermatt行きの氷河急行に乗り込む。この列車は8時半発のG 903列車である。この列車は行きの編成とは異なるもの。もしかしたら食堂車も違うかなと微かに期待も込めつつ発車となる。そしてこの列車の食堂車は、ChurからAndermatt迄の連結である。嬉しい...。

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▲ BVZマークの印刷された手洗い用の手ふき紙。ちょっとごわごわしているが、意外に水分吸収能力は高い。

発車してすぐに検札があり、その時に今日のランチをどうするか尋ねられる。往路とは異なり、食堂車は完全予約制ではないようである。駅弁のないスイスではもちろん食堂車の予約を行う。確かランチは2回転で、11時と12時のどちらかの食事開始時間を選べたと思う。
しばらくすると朝のお勤めでトイレに行く。そこで気づいたのは、なんとこの美しいスイスの客車のトイレは汚水処理タンクがなく、直通タイプであること。まぁ、化学物質ではないので自然に帰ると言えばそれまでだが...。ほとんど汚物処理タンクが付いている日本を考えれば、ちょっと意外であった。

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▲ 戦前製のRhB食堂車。ノスタルジックなインテリアでコース料理を堪能出来るのは、当時の氷河急行ならでは。

再び8時間近くの氷河急行の旅であるが、流石に客車が違ったり方向が逆とは言え、同じ路線を往復するのは..と思うのだが、やはり車窓のダイナミックで美しい景色は飽きる事がない。更には食堂車で過ごす時間が1時間あるのは、長い鉄道旅行にはとても良いアクセントである。もちろん美しい車窓を眺めながらのランチは、格別である。
Churで食堂車を含めて何両かの客車を増結し、平坦な路線を快走する。山岳路線に入り景色のクライマックスに入ったDiesentisあたりで食堂車に呼ばれた(..と思う)。

食堂車は、何と往路の車両とは異なりノスタルジックな1930年前後にドイツ帝国時代のMitropa社の私有食堂車として製造されたWR 3810-3012食堂車である。(上画像参照)当時は赤色であったが、今は青色に塗装され、「GOURMINO」の名称でノスタルジー列車などの運用に就いているようである。

ここで不安をよぎったのは、昨日と同じ料理が提供されるのではないかということ。いくら美味しくても、昨日と同じはちょっと..と心配していたが、さすが?氷河急行である。私達のような酔狂な乗客も居るというのを知ってか知らずか、違うメインディッシュを含むコース料理で、往路とは違った雰囲気の中、お代わりも含めて美味しく頂く事ができた。特にDiesentisからSedrun、Oberalbpass、そしてAndermattへの区間は、本当に素晴らしい景色であるが、ここで食事が取れたのは幸運である。

Brig迄の残りのルートを走りながら到着が名残惜しかったのは「鉄」には理解の出来ることであろう。Brigで路駐したクルマがちゃんと残っているか心配したのだが、それは杞憂で一路そこからカールスルーエの自宅に戻ったのである。
充分すぎるほどに乗車した氷河急行であるから、その後この地を訪れた時は全てクルマで訪問し、撮り鉄だけに徹していた訳である。車窓から見る景色よりもその緑一杯の景色の中で赤い列車の走る姿の方が美しいと感じたのは、乗車して初めて気づいたことでもある。

翌年再びFO沿線のSedrunで一週間貸別荘に滞在(スイスは宿泊代が高いので長期の場合は貸別荘に限る)した。氷河急行の車窓から景色を眺めながら、今度はこの美しい景色の中で心に誓った氷河急行の良く見える芝生の上でおにぎりを食べるという願いは、この時おにぎりをほおばりながら列車を眺めた時に成就した。その美味しさと美しさは、今でも忘れられるものではないのである。
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