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43204-1 DB Pw4üse-38/52/59 / Ep.IIIb [Maerklin-Reisezugwagen]

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▲ 手ブレーキ側

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▲ 非手ブレーキ側

昨年告知されたD475夜行列車セット(43204)が、ようやく手元に届きました。今迄メルクリンからは中々夜行列車のセットはリリースされておらず、特にSchürzenwagen寝台車は今迄単品か、Riviera-Expressセットに同梱されていたくらいしかありませんでした。リリースされなかったのは、当時多くの夜行列車にメルクリンモデルにはない、CIWL寝台車や簡易寝台車などが組成されていたこともあるかも知れません。そんな中、今回はSchürzenwagen寝台車が2両同梱された4両セットと、車内の乗務員・乗客の声などが収録されて話題にもなったデジタルサウンド寝台車(43252)がD475列車として告知されたので、Ep.IIIbの寝台車モデルが、番号違いで一気に3両増え、合計4両になりました。
今回は、そのD475列車セットの4両のうち荷物車(43204-1)について触れてみたいと思います。

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このモデルは、今迄3両リリースされてきたEp.IIIb時代のSchürzenwagen荷物車の中でも屋上に見張り窓のない低屋根タイプです。画像は車端部。

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画像の台車は、Görlitz III Leicht。

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画像は車端部分の表記類。車体番号は「105 885 Mü」です。これは、デジタルサウンド荷物車の4996443272と同じ車体番号です。特に49964は、屋上の監視窓もない低屋根タイプなので同じ車輛をプロトタイプに選んでいるとのではないでしょうか。幾つも同形式モデルがあるのだから何故同番号にしたのか理解に苦しむところと考えていましたが、資料を見てみるとこの形式の荷物車は、これ1両のみの存在だったようです。

残念ながら手元にこのモデルの実車詳細資料がなかったのでネットで検索したところ、以下の経歴が判明しました。

Pw 4ü-40形 「105 885 Bln」として1941年にWUMAG社にて落成。1959年にDWM社にて改造。その後1966年にUIC表記化によりDüse948形「51 80 95-10 001-3」に改番。1971年12月に廃車。つまり、このモデルは1959年に改造された後の仕様と考えられます。

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▲ Flaschengrün地に白色DBロゴは、コントラストが大きく美しい。
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▲ RICラスターには、17カ国の入線許可と5つの電源に対応している多電源仕様。
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▲ REV表記は1962年6月8日が直近の検査日。

表記類の印刷は、メルクリンの標準的レベルと思います。
同じ仕様の49964モデルの検査日は1959年と表記されています。このモデルは、59年の3回後の検査という位置付けかもしれません。

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出入口下ステップに印刷された文字列です。ここには「手ブレーキ側はここ」の表記がされています。この凹んだパーツの内部にどのようにして印刷できるのか気になっています。
また、なぜか他の同番号モデルは、非手ブレーキ側の同じステップ内部に「手ブレーキは反対側」表記があり、その違いも知りたいところです。

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画像は妻部側面です。

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▲ 標準装備されたRTSカプラー

このセットはMHIモデルであるため、室内照明が標準装備されています。今迄私が所有している室内照明標準装備のセットモデルには導電タイプのドローバーで連結されていましたが、このモデルでは、通常のKKKカプラーとも連結可能な導電タイプのRTSカプラーが標準装備されています。集電シューは、この荷物車モデルに装備され、他の3両には導電カプラーを通して電気の供給が行われています。ハイエンドのMHIモデルとして段々充実度が増してきているのは嬉しい配慮です。

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画像は車体を外したところです。LED室内照明基盤が室内装備パーツの上に載せてあります。左右にムギ球を配置して透明樹脂パーツで導光していた時代が懐かしくなるほどの様変わりです。

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同じ車両番号の43272モデルと一緒に撮影しました。屋根上の監視窓の他、所属管理局や検査日などちょっとした表記の違いなども見つける事ができます。

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上画像は、この車両モデルと同じ車両番号で、表記以外は同じ仕様(監視窓なし)のmfxデジタルディーゼルサウンドファンクション装備モデル(49964)と並べてみたところです。
違いは検査日のほか、若干の細かな表記の違い程度です。

これら同じ車体番号2種との比較では検査日が異なることから、それぞれ時系列で同じプロトタイプながらその時々で改造前や改造後など時系列での違いがモデルで表現されていると解釈できるように感じています。残念ながら実車画像での確認ができないところが悔やまれるところですが、どれかのモデルが誤っているというわけではなく、それぞれのモデルが正しい表現であるのではないでしょうか。

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せっかくなので、同時代のV160モデルと連結させて撮影しました。このモデルはLED室内照明付きなので夜の風景も楽しめます。

[EDIT] 2020-04-21

参考サイト:
Drehscheibe-Online / ドイツ語

Schnellzugwagen-Set. / メルクリンドイツサイト

参考文献:"Deutsches Wagen-Archiv: Reisezugwagen 1" / transpress 1993, S. 209 / Wagner, Wagner, Deppmeyer
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BOAC VC10

どうもです。自分もTRANSTHERMOS の冷蔵車、3両揃えてしまいました。

Schürzenwagenの荷物車を写真で見たことないなと思い、「Wagen」の「1 Geschichte der Eisenbahnwagen」の章にSchürzenwagenの項目があったのを思い出し、調べてみたら、やはり普通の荷物車は105 885の1両だけだったようです。 
(「鍵十字用」の普通じゃない荷物車はいくつもあるようですが。)

個人的にはどちらかというと、先日の「Exclusiv」で出ていた代用荷物車の方が気になります。
by BOAC VC10 (2014-07-21 00:57) 

Akira

おはようございます。BOAC VC10さん。

「WAGEN」に記述がありましたか。後で私も見てみます。代用荷物車は気になりますね〜。でもセットなので、単品リリースを待とうかどうか悩みどころではあります。
by Akira (2014-07-21 09:09) 

Akira

こんにちは、BOAC-VC10さん。

「WAGEN」で私も確認しました。1940年に大量に発注したものの、1両を除いて取り消されたようですね。あと1942年にも20両程発注されたようですが、これも全車取り消し...。やはり戦時中なので事情もあったのかな..と。これを見る限りやはり1両限りのSchürzenwagen荷物車ということなのかも知れませんね。そうなると雑誌に出ていた戦後の鉄青色のSchürzenwagen(監視窓付)荷物車の存在が気になってきます。
by Akira (2014-07-21 16:23) 

BOAC VC10

Akiraさんこんばんは。
猫のために本棚をクローゼットの奥に入れてしまい、以前のように辞書を片手に書籍を広げて・・・という事も減り、調べが浅くてすみません。

「Deutsches Wagen-Archiv: Reisezugwagen 1」持ってました。確かに登場時の写真がありますね。
Schürzenwagen荷物車には、SalPw4ü-38、後にD4ü38/51→Düse947となり、80年代初頭まで残った車両もあるようですが、こちらは鍵十字の特別車の残党のようです。これはPw4üse-38/52/59 とは窓配置が違うようです。
Akiraさんがご覧になった鉄青色のSchürzen荷物車、どれなのか気になりますね。(鉄青色の客車一覧がどこかにあったような。)
by BOAC VC10 (2014-07-21 23:39) 

Akira

BOAC VC10さん、おはようございます。

図面のみではありますが、DRG時代のKanzlerwagenの荷物車(と言っても発電機やら厨房設備機器があるようですが)のPw4ük-37があったようですね。これらが戦後どうなったのか、興味のあるところですが、そのうちの1両(105 060)がTRIXから鉄青色の荷物車としてリリースされています。以下ネタ元です。
http://www.drg-salonwagen.eu/salonwagen/salmaschpw37.html

TRIXモデルのブログ記事は以下..。
http://maerklin-kiste.blog.so-net.ne.jp/2007-03-14

場合によっては、ブログ記事修正もしなくちゃですね。
by Akira (2014-07-22 08:10) 

佐藤直人 NS Eisenbahn

こんばんは、はじめまして。
自分も105 060荷物車の件は気になっておりました。
105 060の詳しい履歴は、Reichesbahn-Salonwagen(Eisenbahn Kurier刊行 EK-VERLAG ISBN:978-3-88255-679-7)に載っており、258ページには青銅車の写真もあります。Akiraさんのご覧になった車もこれではないでしょうか。(TEE-story誌がどこかに紛れて比較できませんでした。すみません。)
Salon車をルーツとする青銅色Schürzen荷物車は、DB浮き出しのマーク付きで他にも存在していますが、いずれも低屋根ではないようです。
つまりTrixで発売した製品は、105 885車体を利用した(標記類は105 060のホンモノ?)なんちゃって製品かもしれません。でも個人的には編成美でゆるしちゃっています。
それでは
by 佐藤直人 NS Eisenbahn (2014-07-22 23:24) 

佐藤直人 NS Eisenbahn

こんばんは。
先ほどのコメントで、「鉄青」と書くところを「青銅」と書いてしまいました。
失礼いたしました。
佐藤直人
by 佐藤直人 NS Eisenbahn (2014-07-22 23:35) 

Akira

こんばんは、佐藤直人さん。

はじめまして、でしょうか?情報をありがとうございます。
「TEE Story」誌は、私も昨日から探しているのですが、現在迄見つからずです。EK誌の方は、知りません。ただ、別のEisenbahn-Journal誌Sonder 2/2012「F-Züge」の56/57ページ見開きでBR 03 1001牽引のRheinpfeilが機関車の次位にSchürzenwagen荷物車をつけていて、白黒ながらDBマーク付なので鉄青色ということがわかります。しかも薄型屋上監視窓付で、おそらくこれが105 060なのでは?と感じています。一方私の記憶では、「TEE Story」の写真では、Schürzenwagen荷物車の屋上監視窓が流線型ではないタイプだったので、これもまた違う車体番号なのかも知れません。いずれにしても鉄青色Schürzenwagen荷物車はありということが分かったのは、たとえTRIXがなんちゃってでも良かったです。
by Akira (2014-07-23 00:18) 

BOAC VC10

Akiraさん、佐藤さんおはうございます。
とり急ぎ、鉄青色の客車一覧を見つけましたので貼っておきます。
最終頁、下から4~7番目の「Salon~」がSchürzen荷物車に該当と思われます。(105 885は居ない。)
http://www.railforum.de/images/listeblauefz.pdf

確かにTEE Storyの荷物車は流線型でなく、カマボコ型のキューポラでした。
by BOAC VC10 (2014-07-23 07:50) 

Akira

BOAC VC10さん、おはようございます。

ありがとうございます。このデータはお宝ですね。しっかりDLさせて頂きました。
この表に記されている「nur für Rheingold-, Rheinpfeil + Loreley-Express」という記述は、荷物車は全てこの3列車のみの運用で、座席車は車体表記の「DB」か「DEUTSCHE BUNDESBAHN」が分かりやすい判別方法かも知れません。(実際は、国際運用のための電源の違いなどあるのでしょうが、未確認なのでモデルとの整合性を確認してみたくなりました。)

これによれば、7両の鉄青色荷物車が存在し、そのうちご指摘になった105 060、064、072、073がSchürzen荷物車でしょう。で、キューポラ(屋上監視窓)ですが、図面から考えれば060と064は低い流線型タイプと推測されます。残りの2両はTEE Storyに掲載されていたカマボコ形かも知れません。あの低屋根タイプは中々カッコいいので是非製品化して欲しいですね。それにしても、サロン専用荷物車の060と064は、この表では形式がPw4ük-37のままなので、鉄青色になっても発電機と厨房は潰さなかったのでしょうかね〜。特に発電機は場所も取るので荷物室が圧迫されてしまいそうです。
105 885は、鉄青色のF-Zug仕様ではなく、D-Zug向けのFlaschengrünなので、この表からは外れていると考えて良さそうですね。
by Akira (2014-07-23 10:04) 

NS Eisenbahn

Akiraさん BOAC VC10さん こんばんは。
リストにあった、青鉄色のSchürzen荷物車4両について色々分かりました。またTEE Storyも見つけたので比較しました。

105 060は、寝台・厨房設備付き電源荷物車として製造されました。
流線型のキューポラをもち、荷物ドアが1箇所あります。Salonグループを外れ一般荷物車になった際に発電機を下ろしています。その際、車内の配置を変更し荷物ドアを2箇所に増設、キューポラを流線のまま逆エンドに移設しています。EK-VERLAGに鉄青色時代の写真があります。

105 064は、060とほぼ同型の車両で製造されました。
一般荷物車化の際、やはり荷物ドアを2箇所に増設しましたが、増設ドアが車端側に寄ったため間延びしたように見えます。またキューポラの移設はしていません。図面では荷物ドア間の窓が、縦長の小窓になっています。残念ながら写真が未発見です。

105 072は、寝台・厨房設備付き荷物車として製造されました。
流線型のキューポラをもち、荷物ドアが1箇所あります。Salonグループを外れ一般荷物車に改造されています。その際、荷物ドアを増設しましたが比較的中央に近く、2箇所のドアは結構接近しています。EJ誌F-Zügeの写真はこの車両です。同じ写真がEK-VERLAGに掲載されています。

105 073は、071の同型車で製造されています。
一般荷物車へ改造の際、荷物ドアを2箇所としましたが、完全に位置を変更しています。キューポラを逆エンドに移設しましたが、カマボコ型に変更したため大きく姿が変わりました。EJ誌TEE Storyの写真はこの073です。

いずれの車もTrix模型のような低屋根でなく普通の丸屋根で、キューポラも屋根に沿った薄いものでした。あまり監視窓としては向いてなさそうですね。

EJ誌のKIRUBA Classicの続刊がいつ出るのか、待ち遠しくなります。
※EK-VERLAGは450ページを超えるハードカバー本です。お勧めします!

by NS Eisenbahn (2014-07-23 23:40) 

Akira

佐藤さん、おはようございます。

4両全車の鉄青色荷物車の変遷の詳細をありがとうございます。素晴らしいです。結果としてTRIXモデルの仕様は残念ながら「なんちゃって」モデルではあったものの、雰囲気は良いのでヨシとしますが、一方で屋根とキューポラを変える事で正しくなるのであれば、是非実現して欲しいですね。しかし、サロン列車用からの改造仕様は扉増設でそれぞれが違う位置なら、金型を変えて作るほどのことは難しいことも納得です。結局ある程度のところで妥協点を見つけて納得することが良さそうです。(ただ、屋根とキューポラ形状は目立つので、それだけはオリジナルに忠実にして欲しいですね)

KIRUBA ClassicのPart2は、以前メッセで聞いたところ、その翌年にでも出るような話でしたが、それから何年経ったことか....。諦めずに待つのみです。
by Akira (2014-07-24 08:23) 

BOAC VC10

Akiraさんお早うございます。佐藤さん、流石です。

「TEE Story」の写真(荷物扉間の窓1つ)と比べて、105 060-065の図面
http://www.drg-salonwagen.eu/salonwagen/salmaschpw37.html
にもうひとつ扉を増設しても、扉間の窓は2つ以上になりそうだし、キューポラは流線型、

105 072の晩年の姿
http://www.drehscheibe-online.de/foren/read.php?31,379671,page=all
と比べても、扉間がやけに近いということで、いったい何者?と思いあぐねていたところでした。
ここまで各車バラバラに扉位置やキューポラの改造・移設を行うとは・・・。

EJ誌「F-Züge」の105 072の写真を見て納得しました。
by BOAC VC10 (2014-07-26 07:57) 

Akira

おはようございます、BOAC-VC10さん。

鉄青色となった荷物車は、改造された車両ばかりで汎用性がないこともあって、欲しいのにないモデルになってしまった感がありますね。私は、ある程度合っていれば目をつぶるスタンスで模型と向き合いたいのですが、屋根の高さ、側扉の数、キューポラの形状については譲れない一線ですねぇ。(これは27cmのIR客車の貫通路形状も同様です)
メルクリンのSchürzenwagenは、屋根やキューポラの交換が可能な構造なので、何とか出来ると踏んではいるのですが...。

とは言え、VC10さんや佐藤さんの今回の一連の書き込みで、鉄青色Schürzenwagen荷物車の実態が分かったのは大きな収穫だと思っています。何となく「違うのだろ〜な〜」と思い続けるより遥かにスッキリしたのですから。
by Akira (2014-07-26 09:39) 

NS Eisenbahn

Akiraさん、BOAC VC10さん。おはようございます。
105 885のタイプが量産されていれば、おそらく鉄青の車も登場したでしょうね。

Salonwagen der Deutschen Reichsbahn bis 1945のサイトは、大変興味深いです。製造当初は、105 071~073が同型車だったようです。

メルクリンはときどきTrixで同じ車両を出す際、自社のより格下の仕様にすることがあります。105 060をTrixブランドでしか出さなかったのは何かの伏線?と、期待して気長~に待っています。


by NS Eisenbahn (2014-07-27 03:33) 

Akira

おはようございます、 NS Eisenbahnさん。

Salonwagen der Deutschen Reichsbahn bis 1945サイト、資料的にとても貴重ですね。885は、モデルと仕様が異なるのでしょうか?今一歩これについても理解が出来ていませんが、キューポラはなしと考えて良いですよね。

TRIXはメルクリンの格下となるのかどうかは私にはわかりません。3線式と2線式のファンは指向が異なるという話は聞いているので、そのあたりのマーケッティングで判断されるとは思っています。いずれにしても、期待したいですね。
by Akira (2014-07-27 10:18) 

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