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幻のBR 03.10 + Doppelstockwagen (Stahlblau) / DB Ep.III [Maerklin-Allgemein]

1960年代にはメルクリンH0はドイツでは既に鉄道模型世界の不動の地位を築いていたと思います。テレビゲームもなかった当時のドイツでは鉄道模型レイアウトの保有率も多かったように聞いています。ただ、現在のような少量多品種というわけではなく、限られた種類を生産していました。それは当時の総合カタログのページ数の少なさからも理解できるところです。

蒸気機関車などはほぼ全て金属製であり、客車は24cmの鉄板製。樹脂製は一部の貨車にあったぐらいではなかったでしょうか。
そんな1960年のメルクリンカタログに以下の画像のページがあったそうです。

http://abload.de/img/katalogseite_loreley-yiunl.jpg

このカタログ画像に掲載されているBR 03.10機関車も2階建て客車も私が知る限り、リリースされた事実はないと思われます。つまり新製品として告知はされたものの、何らかの事情で生産されずに終わってしまったと推測できます。

さて、この機関車の03.10形蒸気機関車の実車は、元々流線型のカウル付きで登場し、戦後カウルを外され一部の機関車は、F-Zugやここにある2階建客車を牽引したようです。
この時は残念ながらH0モデルでリリースされませんでしたが、その後通常の03形モデルに鉄青色を施した機関車が3種ほどと、新型ボイラのBR 03.10の鉄青色塗装もリリースされていますし、客車の方もTRIXモデルとともに樹脂製フルスケールでリリースされています。

[BR 03 1014]
http://maerklin-kiste.blog.so-net.ne.jp/2007-08-29

[BR 03 1022]
http://maerklin-kiste.blog.so-net.ne.jp/2007-06-13

[BR 03 1043]
http://www.maerklin-sammler-infos.de/maerklin/lokomotiven/03097/03097_m2.htm

24cmの鉄板客車に2階建客車がリリース予定だったこと自体が驚きでしたが、もしリリースされていたらなかなか人気が出たようにも思います。
数年前にTRIXベースでリリースされた樹脂製の2階建客車はフルスケールであったがためにR=360通過は可能なものの、内/外輪差によって架線柱やトンネールポータルに接触するリスクもあり購入できなかったファンもいたはずです。

最近メルクリンからは毎年少しづつですが、24cm鉄板客車やそれに合う機関車をレプリカモデルとして再リリースし続けています。それは、今でも当時のメルクリンの信頼性に裏付けられた人気のほどが窺えます。この鉄青色の2階建客車や03.10形モデルも50年後の約束を果たす意味でもレプリカモデルとして新たにリリースされればきっとファンから歓迎されることでしょう。

[追記]
その後1956年から1962/63年までのカタログを確認したところ、該当するページは見つかりませんでした。

[EDIT] 2015-05-17
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KDB

今日は。KDBです。
60年代の西ドイツにおいて「3軒に1軒は鉄道模型を所有しており、その6割がメルクリン製品だ」と、広告にありました。従って5軒に1軒はメルクリン製品を保有していたことになりますね。
記載の03-10は初めて見ましたね。ディテールが似ているので、最初は01(品番3048)を塗り替えただけなのか?と思いましたが、明らかにボイラーが細く、煙突が髙くなっていますね。1960年の予定品だったのでしょうか。2階建客車も鉄板製品があったら楽しかったですね。60年代のメルクリンは発売品種が多くなく、カタログも薄かったのですが、すぐ消える製品はなかったので、時間をかけて資金を溜め、購入する楽しみがありました。現在のように「ある時に買わないとダメ」は少々困ります。もっとも、国内某Nゲージメーカーのように、カタログが「絶版製品及び予定製品ご案内」になっていたのは、もっと困りますね(最初の製品を発売したあと、30年間も品切れの機関車とか、20年近く予定品になったまま発売されない機関車とか)。さすがにメルクリンはカタログ記載の製品については責任を持って供給してくれますね。
by KDB (2015-05-16 18:21) 

Akira

こんにちは、KDBさん。

このカタログは1960年代というところまではわかっているのですが、それ以上は...。で、おそらく同じカタログに黒塗装のBR 03.10の案内もあります。以下がそのカタログページの画像です。
http://abload.de/img/katalogbild_0310abu3q.jpg

面白いのは、30VA使用のトランスが必要とあるので、大型モーター仕様を想定していたものと思われます。このページにある実車の白黒写真はライン左岸線?を走るF-Zug"Rheingold/Loreley"のように見えます。当時は鉄板客車にSchuerzenwagenがあったので、それと組み合わせる想定だったのでしょう。
なので鉄青色仕様は2階建客車と組み合わせたセットを想定していたものかも知れません。もっとも2階建客車は4両のみの試作車でしたから販売まで至らなかったのかも知れません。

最近はメルクリンも限定商品が多く、基本的なラインナップは長期的なカタログモデルとしていつでも買える環境にあって欲しいものです。
by Akira (2015-05-16 20:23) 

NS Eisenbahn

こんばんは、Akiraさん
大変興味深い製品ですね。もし発売されていたらと思うとワクワクします。

鉄青の2階建て客車の実物ですが、26.4m級とその前年に製造された22.4m級の2タイプがありました。両者は窓数以外そっくりです。量産には至りませんでしたが、センセーショナルに取り上げられ、18 451が牽引している写真がEisenbahn Journal Sonder 2/2002にあります。

模型は、前者はTrixとHobby Trainが競合、後者はHerisが発売しました。
メルクリンのカタログにはDB4ygとあり、22.4mの方かと思います。ほぼスケール通りになりますね。

「ライン河左岸を走る~」の写真は、alba出版「RHEINGOLD」(1988刊の正方形のハードカバー本です)にオリジナルがありました。荷物車の後ろにも7両程度見えます。
キャプションには、
Trotz der dominieren 3. Wagenklasse strahlte der Zug - hier geführt von der 03 1053 bei Bacharach - eine ungewohnte Exklusivitat aus.
とあります。
3等車ばかりだったのでしょうか? ドイツ語に乏しくてすみません。

この写真、他の本でも見たような気がします…
ではまた。
by NS Eisenbahn (2015-05-17 02:07) 

Akira

おはようございます、NS Eisenbahnさん。

私もこのカタログ画像を見て、ワクワクしてしまいました。仰る通りこの試作車は最初に22,4mが登場し、翌年26,4mが鉄青色塗装で登場したようです。当初は両者とも食堂車(下階に厨房、上階が食堂)も設備され、D-Zugに運用されたようです。

カタログではモデルが22,4m仕様で、実車画像は26,4mというのはナニですが、興味深い客車です。当時はまだ26,4m客車が一般的ではなく、この2種の試作車は量産化には至りませんでしたが、後の平屋のUIC-Xになるための重要な判断材料の一つとしての役割もあったのでないかと思われます。
一方旧東独のDRでは2階建客車は、戦後も量産され続けたのは興味深いです。
近々に運用が開始される新しい2階建IC列車は、考えてみればこの鉄青色以来の優等列車に充当されるのも面白い対比になります。

さて、もう一方のRheingoldらしき優等列車の実車画像ですが、私もどこかでこの画像を見たことがあります。文章からは3等車ばかりと読めるので"Loreley-Express"かも知れませんね。当時は"Rheingold-Express"が1/2等車で構成され、同じ運用範囲の"Loreley-Express"は3等車中心で組成されていたように思います。

当時は、短期間でこの2列車を含めて色々変化が大きく把握が難しいです。ご参考まで..(F164 "Rheingold-Express" 1951夏ダイヤ)
http://www.thundernet.or.jp/~PwM/ZB/F164_51.html

ところで、このカタログ画像ですが、元の記事には1960年代のカタログとありますが、生産されなかったことや、対象とされる実車を見ると1960年代というより1950年代なのかな...とも思いますがどうなのでしょう?
by Akira (2015-05-17 08:36) 

KDB

Akira様、貴重な資料ありがとうございます。
03-10の画像、よく見るとちょっと不自然なところがありますね。正面から見たボイラーは細いのに、火室とキャブとの関係は01と同じに見えます(03系列はボイラーが細いので、もっとキャブ前面窓周辺が広い)。中央シリンダーの尻棒がフロントデッキに突き出していますが、これがどうも修正画像に見えます。たぶん、01の画像を一部修正して作成したものでしょうか。実際に試作に至らなかったのかな?とも思われます。30VAトランスを使用するよう記載がありますが、このように使用トランスを細かく指示しているのは、1962年カタログまでだったように思います。また、そのトランスの形態をみると、日本に初めて輸入された当時の1961年頃までの製品でしょうか。だから1960年代ならごく初期とみて間違いないでしょう。写真の客車はシュルツェンのようですが、確か鉄板製のシュルツェンは1957年ころまでに廃番になったようです(1980年ころ、某店で見せてもらったことがありますが、横幅が相当オーバースケールで他と混用するとおかしな外見になりました)。しかし青色の03-10が牽引するにはやはり青のシュルツェンが最適ですから、メルクリンがどのような戦略(?)を持っていたのか、考えると面白そうですね。
by KDB (2015-05-17 08:56) 

Akira

こんにちは、KDBさん。

当時の状況把握が良くできていないので大変参考になります。当時のカタログは写真ではなく絵だったので、試作モデルがなくても描くことができたように思いますが、01のキャブなどを利用するつもりだったのかも知れません。今のようにフォトショップがある訳でもないので01をベースに修正しながら手で描いたのかも知れませんね。確か03形のリリースは1973年が初めてのようですから、当時のパシフィック機が01のみであった以上、01形をベースに考えていたのかも知れません。

Schuerzenwagenモデルについての考察もありがとうございます。確かにSchuerzenwagenを牽引している写真があるということは、03.10形をリリースする以上、客車についても何らかの手立てが講じられているようには想像できますね。当時はD-Zug用としてGruppe 54形の24cm鉄板客車モデルが客車のメインだったように思うので、もしかしたらこれに合わせた24cmの鉄板Schuerzen客車のリリースを考えていたのかも知れません。(このカタログに告知されていたのかも?)

そう考えると、どうしてもこのカタログを見てみたくなりますね〜。
by Akira (2015-05-17 10:22) 

Akira

こんにちは、KDBさん。続けてのレスです。

今、当時のカタログは見れないかと検索したら以下のようなサイトにたどり着きました。

http://dermodellbahnblog.de/maerklin-katalog-pdf-download.html

ここから該当しそうな1950年代後半から60年代前半のカタログを見てみました。
残念ながら1956年から1962/63年カタログまで見たのですが、この画像のページは見つかりませんでした。手がかりは客車と30VAトランスの絵なのですが、絵の30VAトランスは1956年にはあるものの、24cm客車はまだなく、ここで描かれている2階建客車のような形状にはなっていません。一方、1962/63年の30VAトランスは躯体の形状が変わっていますので、これ以前であることがわかります。

不思議だったのは、このカタログ画像は商品番号が記されてないのです。これが不可解でこの時期も含めて製品番号は今に至るまで必ずあるので、もしかしたらカタログになる前の段階の試作ページがどこからか流失したのかも知れませんね。もう一つの可能性は完全にフェイクであるということ。フェイクであるならすばらしく手の込んだものと言えます。なので私は前者なのかな?と思いたいです。
by Akira (2015-05-17 11:02) 

Akira

続けてです。

この時代のメルクリンカタログは興味深く、色々眺めていたのですが、1954年版のカタログの表紙には03 1487の牽引するF-Zug Rheingoldであろう列車の絵が表紙になっています。

http://www.modelleisenbahn.hostingsiteforfree.com/Biblioteca/Catalogos/Marklin/pdf/MA1954_ES.pdf

これがこの03.10形モデルとの関連があるのかないのかわかりませんが、実際製品化されていない機関車が表紙絵になるのは、当時としてあるのかどうかも含めて興味深いところです。少なくとも製品化検討を匂わせた表紙のような気がしています。
by Akira (2015-05-17 11:22) 

NS Eisenbahn

こんばんは、Akiraさん

まぼろしのカタログ推理は楽しいですね。
03青鉄と2階建客車のページデザインは、石目のコマ割りが1966/67版(E03が表紙)に似ていますね。客車にプライスが書かれているのも興味深いです。
一方03.10黒の方は、コマ割りがありませんが煙の描き方が同じです。(当時、発煙機能付きモデルに煙が描いてありました)。プライスどころか、モデルの重さまで書いてあります。
なにか本気度が伝わってくるので、個人的には「試作ページ」にかけたいですね。

でも新たな矛盾が…
この煙の描き方は、発煙機能が登場した1960/61カタログそっくりです。
う~ん。


by NS Eisenbahn (2015-05-18 01:41) 

NS Eisenbahn

続けてですみません。NS eisenbahnです。

ライン左岸線のF-zug写真を思い出しました!
MIBAのZugbildung(1)に載っており、説明にちゃんとF163 (Loreley Express)とありました。
ちょっとスッキリです。
by NS Eisenbahn (2015-05-18 02:47) 

Akira

NS Eisenbahnさん、おはようございます。

私もその後ここに出ているカタログ全てをDLしたりしていました。おっしゃるように1966/67年版のカタログレイアウトが、この鉄青色2階建客車のページに該当しそうです。一方で03.10形とLoreley-Expressの実車写真のあるページは、30VAトランスの躯体形状から50年代のカタログかなぁ...と考えております。いずれにしてもここから見えてくる妄想世界は楽しいものです。

特に1966/67年カタログが出る時期、つまり1966年春の新製品発表機会であるニュルンベルクメッセでの新製品パンフレットがあるとすれば、どう告知されたのだろうか?とか、E03が1965年に002号機が初めて登場したことも考え合わせると、当時の新製品リリースのペースを考えると、03.10形や2階建客車以上に当時最高速度200Km/h運転を実現させたE03やTEE客車を優先させたのではないか?とも想像したりします。

いずれにしても、メルクリンの時々の新製品と実車世界の変遷は少なからずリンクされていて興味深いところです。
by Akira (2015-05-18 08:51) 

KDB

なんだか推理小説の謎解きみたいで盛り上がりましたね。確かに1966/1967年カタログ風のようでもあるし、トランスは50年代のようでもあるしーーー。いずれにしろ製品番号の無い新製品はおかしいですが、価格や重量まで出ているのも不可解ですね。私は「試作ページの流出」にかけたいと思います。Nゲージの登場から間もなく、メルクリンもN製品の発売を考えたことがあったそうですから(名前は忘れましたがドイツの雑誌に試作客車の写真がありました)、いろいろと戦略が練られていたのでしょう。なお03-10は1970年代新製品として流線型が出ましたが、動輪径やホイールベースが明らかに小さく不可解でした。ところがそのあと間もなく18-4が登場し、この足回りと部品が共用であることがわかり、メルクリンの戦略に納得した思い出があります。
by KDB (2015-05-19 12:44) 

Akira

こんにちは、KDBさん

ネタとなる画像が2つもあるだけに面白いですね。流線型ボディの03.10形がリリースされたのは確か1970年だったと思いますが、その下回りは18.4形と共通だったのですね。もしかしたら、下回りは流線型ではない仕様で開発が始まったようにも考えられます。

いずれにしても当時から様々な機関車の開発計画はあったでしょう。その決定は当時としては(今でも)大きな決断でしょうから慎重であり、様々なシミュレーションがあったように思います。

メルクリンがNを計画しつつ中止の判断をした広告は見たことがあります。これも投資ですから広告でそれを示すのは、またひとつの戦略かもしれません。TRIXを吸収した今となってはナニではありますが。
by Akira (2015-05-19 15:07) 

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