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FD 1980/1981 Königssee 1988 Sommer [Zugbildung]

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▲ 1989年に作成した編成図です。クリックすると少しだけ大きくなります。当時、メルクリンインサイダー会員専用フォーラムで質疑しながら作成したものです。

メルクリンH0で今年の新製品として告知されたFD 1980 "Köenigssee"客車セットを見て、ぜひこの列車の編成表を作成したいと考え、調べてみると、どうしても旧塗装の同列車の資料が見つからず、更に調べを進めてゆくと、メルクリンからアナウンスされた旧塗装の仕様のモデル群はダイヤ改正直後のかなり限られた期間のみ運用されていたのではないか...と思うようになりました。

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私がドイツ留学で渡独したのは1988年8月。初めて降り立ったブレーメン空港は、当時地方空港として相応しい規模の小さな空港で、タラップから階段を降りると夏なのに15度という気温でとても寒かったことを覚えています。
この時まで(西)ドイツに足を踏み入れた経験は2度ほど。初めての時は大学生時代の独自企画のツアーで、そして卒業後、就職して2年目の冬休みに友人と二人で旅行をした時の2回。既に東京のドイツ語学校で1年間勉強したとは言え、実用のドイツ語もまだほとんどできない中、ドイツの語学学校で選んだ場所がブレーメンだったことによります。

1988年と言えば、1985年にドイツの鉄道が開業150周年を祝い、Neumeister DesignによってデザインされたICE-Vが登場し、ドイツ連邦鉄道(DB)として最後のCI/PIを発表した年から3年が経ち、当時発表されたInterRegioが高速新線を経由して走りはじめた年でもありました。
当時DBでは、伝統的なD-Zugを地域間急行として新しい種別のInterRegio(IR)に置き換えようとモダンなデザインに改造したUIC-X客車を使って、2時間おき定時発車のタクト運用を始めました。まだ1路線でしたが、車両が単なるリニューアルとは異なり、台車と台枠、車体以外は全て新しくしたほぼ新車のような車両だったことや、IC/ECとは異なり特別料金を取らない地域に根差した列車だったこともあり、利用者には概ね好意的に受け入れられ路線ネットワークは次第に拡大してゆきます。

一方、ICEが登場する前ですから、IC/EC列車はDBの最高種別として主にビジネス利用が多く、長距離利用者が1時間ヘッドで西ドイツを網羅する全国ネットワークが築かれていました。(日本のL特急はInterCityによく似たコンセプトでした)
更に、主に観光利用を狙った長距離列車もDBでは少ないながらも走っていて、北ドイツのハンブルクやルール地方からの利用者をアルプス山脈が連なる南ドイツ・オーバーバイエルンの観光地へと結んでいました。それはICではなくFD(Fern D-Zug)という種別で、IR同様IC/EC料金を必要としない長距離列車でした。車両自体は、ほぼIC/ECと同じ1等区分室車、1等開放室車が62系列(Avmz 111/Apmz121)、あるいはEurofima客車(Avmz 207)、また2等区分室車はUIC-X(Bm 235)、2等開放室車はUIC-Z(Bpmz 291)を使用していて、供食車両は当初はQuickPickやCafeteria車両、後には半室食堂車(ARmz211/217)や全室食堂車(WRmh132やWRmz135)などが組成されていたようです。*形式は他にもあります。
そして列車名も観光向け列車らしく「Tegernsee」や「Alpenland」など南ドイツの観光地の地名や名称が付けられていて、名前を聞くとFD列車であるとイメージしやすくなっていました。

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▲ 1988年夏ダイヤの"FD 1980 Königssee"編成表の資料。クリックすると少し大きくなります。

さて、今年のメルクリンH0の新製品にはDB時代のInterRegio客車が28.2cmモデルとして告知された他、"FD 1980 Köenigssee"客車セットが発表されました。
この"FD Köenigssee"は、他のFDとは異なり、唯一当時の高速新線を経由してハンブルクからブレーメン経由でハノーファー、そしてミュンヘンへと結ぶ観光特急という位置づけで、車両も最高制限速度200Km/hを施した車両のみを使っていました。更にはその車両はトンネルの多い高速新線を経由することから、気密仕様に改造された新塗装の最新客車が用意され、IC/EC列車でさえまだ高速新線経由以外の路線では、通常仕様の車両と混成されたり、旧塗装と気密仕様ではない新塗装車両が混成する運用が多かったりしたものです。*ブレーメン中央駅は、ハンブルクとルール地方経由で南下するIC列車の停車駅でした。

しかし、メルクリンから発表された1988年仕様とされたH0客車セット(43767/43768/43769)は、全て気密仕様ではない旧塗装でした。私がブレーメン中央駅で撮影したり、この列車を使って遊びに出かけたりした時は、既に全車両が最新仕様の客車で組成されていましたが、ダイヤ改正当初の5月あたりの写真を見ると、旧塗装の客車が混成されていたりしてのを確認しています。更に1988年の夏ダイヤ改正では、列車番号がFD 780/781からFD 1980/1981に変更されていて、この改正が走る路線、車両変更の大きな変更点だったとまだ未確認ながら感じています。(未確認としたのは、1987/88冬ダイヤの列車番号の確認が取れていないためです)

そうなると、今回のメルクリンH0新製品で発表された客車セットのモデルは、もし1988年夏ダイヤ改正後すぐの過渡期の編成を想定したものとするならば、これだけでは両数的にもちろん足らず、もしかしたら来年度以降、これの増結セットや単品モデルとして、気密仕様の新塗装がアナウンスされるかもしれないと、期待してしまいます。
ただ、そう仮定するとアナウンスされた1等/食堂合造車ARmz 211(43767)は組成されていたのか?という疑問が湧いてきますが、このモデル自体は新設計のため、歓迎したいモデルでもあるわけです。

一方で、なぜメルクリンは特徴的なIRブルー仕様の客車セットに(でき)しなかったのか?という疑問は湧いてきます。食堂車のWRmz 137 "Bord Restaurant"はTouristik塗装としてインテリアは異なるもの同形製品を既にリリースしています。1等区分室や2等開放室の座席車両も既にあり、無いのは唯一の新製2等区分室客車 Bvmz 185ぐらいでしょうか。

最後になりますが、冒頭に記している編成表は、全てIRブルーに塗装(Bord Restaurant食堂車のみOrientrotのIC塗装)かつ気密仕様の車両のみで組成された編成表のため、今回のモデルセットの編成表ではありませんが、1988年夏ダイヤのものであれば、形式が異なるものの参考にはなるかと思います。

このテーマについて、何かご存知のことがあればコメントいただければありがたいです。謎の"FD 1980 Köenigssee" 1988 夏ダイヤです。
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